世界各地の機内食をご紹介する本シリーズ、今回はトルコのLCC(格安航空会社)『ペガサス航空』編である。『ペガサス航空』という社名を聞いた瞬間、失礼ながら「大丈夫か……?」と不安になってしまったのは日本じゃありえないネーミングセンスのせいだろう。

しかし私の今回の日程・ルートではペガサス航空以外の選択肢がなく、不安を抱えつつもチケットを購入。なおLCCとはいえ全日空くらいの料金だったことをご報告しておこう(日によって変動する)。ペガサス航空、それなりにチャンとしてたらいいな……!

・パリからトルコへ

この日の最終目的地はエジプト。まずパリからトルコへ飛び、エジプト行きに乗り換えるという計画だ。

機内の雰囲気は……「あぁ、LCCだなぁ」って感じ。

ペガサス航空の機内食はLCCらしく全て有料。事前にホームページで画像を見た限り、種類も多くチャンとしていそうではあった。私が予約しておいたのは『Chicken Schnitzel(チキンカツレツ)』。価格は98トルコリラ(約1147円)。

3時間25分の短いフライトであるため、離陸後すぐに機内食が運ばれてきた。ジャン! こちらがペガサス航空の機内食になります!


・こんなに絞ったの初めて

デーンと乗っかったジャンボなチキンカツ2枚! 無駄にゴチャゴチャとした機内食が多い中、これはシンプルで好感が持てる。好き嫌いも分かれにくいと言えるだろう。

そして特筆すべきはコレ。最初デザートのオレンジかと思ったのだが、よく見ると生レモン! 機内食でこのサイズの生レモンを見たのは初めてだ。

通常「レモンサワー」と「生しぼりレモンサワー」では50〜100円ほど価格が違ってくるもの。にも関わらずパック入りのレモン果汁ではなく、あえて生レモンを使用してくるとは……ペガサス航空、なかなかやるな。

さらには用途不明のビン入りオリーブオイルも。オイルだってワインだって「パック入り」と「ビン入り」では価格が2倍ほど異なるのが常識だ。にも関わらずこんなにタップリとオイルが詰まっているなんて……ペガサス航空、デキル。

さっそく「これでもか」とレモンを生しぼり……アッツアツのチキンカツをムシャリ。


うまぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜い!!!!!!!!!!!!!!


・機内食は今後全部これでいい

世界中には様々な食文化があれど、考えてみれば「レモン生しぼりチキンカツ」が苦手な人ってほぼ存在しないのじゃなかろうか? そういう意味では「レモン生しぼりチキンカツ」こそ、唯一無二の “機内食の正解” なのではないか。

よって今後、全ての航空会社は機内食に「レモン生しぼりチキンカツ」を採用すべきなのである……などと思わずにいられないほど、ペガサス航空のチキンカツはおいしかった。これで1147円は安い。少なくとも1500円くらいの価値はある。

パンに挟めば即席チキンフィレオバーガー! 周囲の羨望の視線が痛い!

サラダには塩コショウとオリーブオイルを。

生チョコみたいに濃厚なチョコレートムースを食べたころ、無性にノドが乾いてきたが……

もちろんドリンクは別料金である! これぞLCCの醍醐味!

ふと窓の外を見ると神々しい欧州の夕暮れ。LCCから見る景色だって、ファーストクラスとなんら変わりはないのだなぁ。


・機内食おかわり

なお私は事前に予約していたが、同じ機内食が普通に機内販売で売られていた。

チキンカツをもう1つ頼みたかったのだが……

2本目の飛行機でも機内食を予約していたため断念。イスタンブールのサビハ・ギョクチェン国際空港には多くのペガサス航空便が就航しており、「聞いたことない」とか言っていたのが申し訳なく思えてきた。

ジャジャン! こちらが本日2食目『Grilled Seabass(スズキのグリル)』144トルコリラ(約1685円)です!

深夜便で照明が暗かったため画質が悪くて申し訳ないが……

ン……ウマイ! 蛋白でクセのない味付け。言われなければ機内食だと気付かないほどのクオリティである。金額を考えればやはり先ほどのチキンカツに軍配が上がるが、魚好きなら選んで損はないだろう。添えられた焼き野菜が嬉しい。

シロップがジュプジュプに染み込んだカステラは甘すぎて残してしまった……お酒のツマミにはいいかもしれない。

とかやってたら、あっという間にエジプトへ到着! なおペガサス航空のスタッフはみな優しく、飛行中に不安を感じることもなかった。人生で一度くらいは乗るチャンスがあるかもしれないペガサス航空……もしその時が来たら、必ず機内食を注文してみてほしい。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.