
私事で恐縮だが、飴が好きである。口寂しくなった途端に手を伸ばしてしまうし、満腹の時にも気付けば口の中に放り込んでいるので、微妙に腹を下すこともままある。そんな危うい知性の持ち主である筆者だが、最近「理想の飴とは何か」についてよく考える。
美味しいだけではいけない。美味しくとも瞬時に溶けてしまっては非常に残念なので、口の中で長持ちしてもらう必要がある。しかし逆に、あまりよろしくない味の飴に長持ちされても、それはそれで悲嘆に沈むことになる。
美味しさと持続時間。それらが高い次元で両立された時にこそ、「理想」は顕現するのではなかろうか。そして、その険しき壁に挑む飴が先日新たに生まれ落ちた。造り手はなんと、あの不二家である。
不二家と言えば、不朽の名商品である「ミルキー」を擁する菓子メーカー。このたび2021年9月14日に発売された新商品も「ミルキー」シリーズに属している。
その名も「カッチコチミルキー」という。なかなかに身も蓋もないネーミングだが、それだけにわかりやすい。通常の「ミルキー」よりも硬いハード仕様で、そのぶん美味しさが長続きするらしい。
一体どれほど違うのか。加えて言うなら、味は通常と変わらぬまま美味しいのか。確かめるべく、筆者は「カッチコチミルキー」を入手した。
実物のパッケージには「硬くなりました」の文言とともに、硬質化したペコちゃんが描かれていた。なぜ彼女はこのような姿になってしまったのか。深く考えても意味はなさそうなので意味のある話をすると、参考小売価格は80g216円だった。
ちなみに、比較のために購入した通常の「ミルキー」は120gで同じく216円。この辺りの数字だけ見ると「カッチコチミルキー」は割高と言えるかもしれない。しかし重要なのは、実際のそれぞれの舐め心地だろう。
というわけで、まずは通常の「ミルキー」から改めて実食し、どれくらい長持ちするかを測ることにした。これまでの人生で「ミルキー」の持続時間を計測したことがなかったがゆえに、やや緊張しながら舐めた。
それでも時間が経つにつれ、その柔らかな舐め心地にじわじわと癒されてくる。結果、約8分程度で溶けてなくなった。
続いて今回の主役である「カッチコチミルキー」の計測に移ったところ、こちらの持続時間は約10分という結果に。「あれ、大して変わらないじゃないか」と思った方は多いだろう。筆者も最初はそう思った。
舐め方を誤った可能性も踏まえて何回か測り直したが、結局それぞれ大体同じ時間になった。では両者のあいだに差異はないのかというと、実は決してそうではない。ここで肝になってくるのが、上でも言及した「カッチコチミルキー」の硬さである。
この飴、本当に硬いのである。パッケージの裏面に「本当にカッチコチです。噛まないでね」と注意書きが付されているくらいには硬い。そう言われると噛みたくなってしまったので試しに全力で噛んでみたのだが、歯が壊れるかと思ったし、泣きべそもかいた。
この尋常ならざる硬さが何をもたらすかと言えば、「事故のない安定感」である。通常の「ミルキー」のようなソフトな飴や、あるいはそれ以外の普通の飴を舐めている時、つい無意識に嚙み砕いてしまい、舐め終わるのが早まるといったことがあるかと思う。しかし「カッチコチミルキー」にはそんな余地が一切ない。
ひとたび強く噛んだなら、それを心から後悔するくらいの、トラウマになるくらいの硬度が「砕ける」確率を絶無にする。つまり安定して約10分というタイムをたたき出せることが「カッチコチミルキー」の強みであり、長持ちすると言える所以なのだ。
加えて、両者は味も異なるように感じた。「ミルキー」がお馴染みの優しく落ち着いた甘さであるのに対し、「カッチコチミルキー」は少しこってりとした濃厚なクリーミーさを有している。よく観察してみれば、見た目にも練乳の色味が強い。
ともあれ、こちらもまた実に美味しい。ハードなキャンディが好きな方、味が長持ちしてほしい方、何ならそれ以外の方にもお勧めしたい。好奇心に負けて強く噛んでしまうと人智を超えた硬さに恐れおののく羽目になるが、そこさえ注意すればクオリティの高い一品でしかない。
少なくとも筆者にとっては、「理想の飴」に程近い一例を示されたような格好だ。いやはや、さすがは不二家。剛柔併せ持ってこそ一流メーカー、といったところだろうか。
参考リンク:不二家「カッチコチミルキー」商品HP
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
西本大紀








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