関西の方には馴染みがないかもしれないが、「幸楽苑」といえば福島県発祥のラーメンチェーン。主力商品がラーメンであることに異論はないと思う。しかしメニューの片隅に、隠れキャラのように「パン」があることをご存じだろうか。
当初はわずか4店舗での限定販売だったが、ひっそりと全国展開していたそのメニュー。以下にご紹介したい。
・らーめんドッグ(税込340円)
まずはこちら「らーめんドッグ」である。世の中には焼きそばパンがあるのだから、ラーメンパンがあっても一向におかしくはないのだが、ちょっと味の想像がつかないメニューだ。
給食で出てくるような素朴なコッペパンに挟まれているのはナルト、メンマ、チャーシュー、サラダ菜。
チャーシューは「チャーシュープレミアム」として販売されている大きな1枚モノと
細切れにして甘辛くタレをからめたもの、2種を使った豪華仕立てだ。そしてラーメン……
と思いきや、ラーメンは入っていない!
繰り返すが麺はない! ラーメンの「具材だけを挟んだドッグ」である!! そこにたっぷりのマヨネーズがかかっている。
気を取り直して食べてみると、テリヤキのような甘塩っぱいチャーシューにマヨネーズがマッチ。これだけで「おかず」として成立しており、フカフカのコッペパンと合わないはずはない。意外にも完成度が高く、文句なく美味しい!
メンマの歯ごたえはもちろん、ときおりシャキシャキと存在感を主張する野菜たちもアクセントになってよい。ほんのり醤油風味で、ラーメンスープをイメージしているのかもしれない。
話題性を狙った奇抜な商品かと思ったら、なんとも素朴な味で、いままでなかったのが不思議なくらいである。「30年前から購買部の定番でしたけど?」という顔をしている。
「軽食」「サイドメニュー」くらいのボリュームなので、ラーメンだけだとちょっと足りない、というときにプラスして食べられるぞ。
・餃子ドッグ(税込290円)
パンメニューはこれだけでは終わらない。「餃子ドッグ(お好みソース味・サルサソース味)」というものもある。
まずはお好みソース味。コッペパンに挟まれているのは、その名のとおり餃子。
味つけは、こちらもたっぷりのマヨネーズとお好みソース。サラダ菜が彩りを添えている。
具だくさんの餃子はお好みソースとの相性ぴったり。ピロシキや肉まんのような、具材がたっぷり詰まった食事パンを想像していただけるとよい。
そもそも餃子が単体で美味しいのだが、酢醤油で食べる「オレが主役」の餃子とは印象がまったく異なる。
お好みソースが甘いので、全体的に非常に優しい味になり食べやすい。まろやかでマイルド。そこに、ちょっと酸っぱい紅ショウガが効いている。紅ショウガは神!
こちらはチーズソースがかかった「サルサソース味」。コッペパンにはピリ辛のサルサソースが染み込んでいる。
意外性はあるが、チーズに少々クセを感じるかもしれない。「味が自然に馴染んで一体感を出している」という点では、筆者としては「お好みソース味」の方が好み。
餃子ドッグ自体は目新しい商品ではないと思うが、出来たてで食べるとやはり美味しい! 焼きたての餃子を挟める優位性はラーメン屋ならでは。
・ひっそりと販売中
9月現在「一部店舗では販売しておりません」とはあるものの、東北・甲信越・関東の幸楽苑で広く取り扱っている。テイクアウトやデリバリーにも対応。
筆者の訪れた店舗では紙メニュー・タブレット端末ともに「お持ち帰り」のコーナーに掲載されていたが、店内でもオーダー可能だった。取り扱いがあるかどうかは、公式サイトから最寄り店のメニューページをご確認いただきたい。
小規模なテスト販売を経て全国展開するのはよくあることだが、筆者の知る限り大々的にPRすることもなく、まさに「裏メニュー」のごとく鎮座している。
予告なく終売することも考えられるので、気になる方はお早めに。ラーメン屋でパンを食べるという不思議体験、ぜひお試しあれ!
参考リンク:幸楽苑<店舗検索>
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
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