いつからだろう? 夏が楽しみじゃなくなったのは。以前、夏の名作ドラマ『ビーチボーイズ』を24年ぶりに見たところ、私(中澤)はそう考えさせられた。気づけば失くしていた子供の頃のキラキラした眩しさ。主人公・桜井広海(反町隆史)の以下のセリフが今も心に残っている。
「ガキの頃って、夏休み楽しかったよねぇ。結局大したことなんか出来ないんだけど……何で大人にはないんだろ?」──。いや、本当に。39歳のオッサンな上、引きこもり気質な私だが夏を楽しめるようになりたい、もう1度。
・全員、反町
と、そんな話を同僚にしたところ、同じく夏を楽しみたい男たちが5人集まった。
いずれも反町のような夏、もしくは夏のような反町に憧れる男たち。そこでオッサン5人で美容室に行き「全員、反町隆史にしてください」と言ってみたぞ。
我々が訪れたのは東京・青山にある美容室『SHEA(シア)』。読者の方はすでにご存じかもしれないが、ロケットニュース24的カリスマ美容師・佐藤幸治さんのいる店だ。
これまで、ディカプリオ、キムタク、煉獄さんなど、数々の無理難題を叶えてきた佐藤さん率いる美容師軍団であれば、きっと我々の夏も反町にしてくれることだろう。
一方で、いくらスゴ腕美容師と言えども髪を伸ばすことはできない。そこで現在の髪の長さも鑑み、それぞれに合った反町をオーダーしてみた。
・中澤星児の反町
髪を伸ばすことはできないと言ったそばから恐縮だが、私がオーダーしたのは『ビーチボーイズ』時代の反町。サーファーっぽいワイルドなロングヘアで、3カ月前マッシュルームカットになった私では後ろ髪が足りない。
だが、私の中で反町と言えばこのスタイル。5人も反町になるのに桜井広海がいないのはありえない。何より、私が一番なりたい反町はこれだ! そこで無理を承知でお願いしたのだが……
足りないのは後ろ髪だけではなかった。
「一応、画像の通りに再現しました」と佐藤幸治さん。前髪のウェーブに努力の後が垣間見えるが、毛量の不足が深刻だ。しかし、念のためサングラスを掛けてみたところ……
反町感がちょっとだけ増した気がする。少なくとも、自分的にはギリ反町になれた気がしているのだから、グラサンは侮れない。ひょっとしたら反町の本体はグラサンだったのかもしれない。
元から無理筋だった割には近づけた気がした。やはり美容師さんって凄い。残り4人は少なくとも毛量や長さ的な問題はクリアしているため、よりガチの反町に近づけることだろう。そんな4人の反町化は次ページで!
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
イラスト:稲葉翔子
・【衝撃】オッサン5人が美容室で「全員、反町隆史にしてください」と言ったらヤバイことになった / あるいは反町だらけのビーチボーイズ(その2)
私(中澤)の反町化の過程で浮彫になった毛量問題。しかしながら、我々の中には美容師さんに「毛量多いですねぇ」と言われた人物がいる。原田たかしだ。今度こそ毛量に抜かりはない。
・原田たかしの反町
原田たかしがオーダーしたのは『GTO』時代の反町。鬼塚先生は、私たち世代からすると『ビーチボーイズ』と並んで2大反町である。
耳が出ているミディアムヘアだが、襟足は長めに残しているため、そこそこの長さが必要。とは言え、元々ミディアムな上に2カ月髪を切っていない原田は長さ的にも不足はない。美容師さんも「問題なくできると思う」と太鼓判。まさにMr.パーフェクトだ! イッケェェェエエエ!!
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ~♪
POISON!
……はいカット。原田さ~ん! ちょっとカメラの調子悪いみたいなんで仕切り直させてもらっていいっすか? ハイ、さーせん! もう1回POISON前からお願いしゃーす!! 3、2、1……
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ~♪
POISON!
ホームラン打ったことない松井秀喜やないか。
え? そんなことある? 反町を目指していたはずが、打撃力のない松井になってしまうことなんてあるの? 髪型は確かに鬼塚先生なのだが……Mr.パーフェクトは予想外の落とし穴に激しく散った。さながら夏の夜に打ち上げられた花火のように。
・砂子間正貫の反町
反町になるには髪質以外も必要であることを知った我々。髪型だけでなく、どことなくワイルドさの漂うその雰囲気も重要なのかもしれない。というわけで、お次はロケットニュース24編集部一ワイルドな男・砂子間正貫の出番だ。
木下大サーカスからサハラ砂漠のラクダ使いまで、様々な職を転々としてきた砂子間正貫。生き方のワイルドさだけならひょっとしたら反町以上と言えるかもしれない。そんな砂子間が目指すのは映画『男たちの大和』の反町。
坊主が少し伸びたような本作の反町は、反町史上最も男らしい反町と言えるかもしれない。まさに砂子間正貫にぴったりの反町と言えるのではないだろうか? 雰囲気が合っているためか、特に詳細なやり取りもなく一瞬で終わるカット。正直、気づいたら……
こうなっていた。
「男らしさ」で言うと、大分反町に近づいてきた気がする。ただ、なぜだろう? パッと見で「あー反町ね!」という感じがしないのは。歯に衣着せずに言うならば、ただの坊主のオッサンがそこにいた。
・あひるねこの反町
やはり、みんなにイメージが根付いている作品から選ぶのがベターかもしれない。そこで、あひるねこがチャレンジするのは『相棒』時代の反町である。
冠城亘(かぶらぎわたる)は、警察官の役でサイドも襟足も短めなため、髪の長さ的にも問題なし。その上で、よりリアルの反町に近づけるため、髪を下ろしているバージョンでセットしてもらったところ……
ただの、あひるねこやん。
なぜだ……? 今一度状況を確認すると、我々は間違いなく「反町隆史にしてください」とオーダーした。カリスマたちもそのオーダーの通り全力を振るった。その結果、シンプルなあひるねこが爆誕した。現在発生したこの状況を素直に整理したら……
「反町隆史=あひるねこ」という式が成り立ってしまう。バカな!? ロケットニュース24編集部内に反町がいたなんて。そして、反町なんだったら、この企画に参加する前に言ってほしかった。しかし、それがあひるねこという男である。
・Yoshioの反町
反町の定義があいまいになってしまった。それと言うのも、髪を下ろしたことが全ての始まりだ。『相棒』を目指すなら前髪を上げないといけない。そこでYoshioは、完全に冠城亘バージョンの反町をオーダー。
七三分けだが、前髪を上げているためエアリーな爽やかさがある。さらに、サイドとバックが短いので男らしさもあって、好感度の高そうなヘアスタイルだ。
普段から七三にしているYoshio。七三愛はロケットニュース24随一と言えるかもしれない。今、その育て上げた七三の真価が問われている。踊るハサミ! 舞うスプレー缶!! 我々の希望を乗せて、いざ反町へ!
全員の想いが一つになったラスト反町。そして、セットが終わった時、誰もが驚愕せずにはいられなかった。マジかよ!? こ、これは……
_人人人人人人人人人人_
> 中 井 貴 一 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
反町を目指していたはずが、またもや中井貴一が降臨してしまったのである。キムタクだろうが、反町だろうが、中井貴一にしてしまうYoshio。一体、どうやったら、この呪縛から逃れることができるのか?
・反町に教えられたこと
結果的に、全員が敗れ去った今回の反町チャレンジ。しかし、我々は知ることができた。あのワイルドイケメンっぷりは反町自身が放つ内なる魅力であったということを。
すなわち、反町のようになれるかは我々次第ということだ。ならば、今日も歩き続けよう。どこかで失くした眩しい夏を探して──
風がゆれてる
波が唄ってる
俺は今日も歩いてる
Ah Forever You Love(Forever Your Friend)
あの日のままの笑顔がここに静かに時を刻む
Forever Your Heart いつの日も(Forever Your Friend)
何も言わずに支えてくれたおまえと2人よろこび感じてる
変わらずに流れてゆく
時は止められない
これからの道で何があっても
今を忘れないさ
Oh 忘れないさ
Thank you for wonderful summer
We are the BEACHBOYS & GIRLS!
~終~
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
イラスト:稲葉翔子