YouTubeの動画やブログの記事には商品のレビューがあふれている。

なにか欲しい物があった時、それらをチェックするのはもはや普通のことであろう。ライダーである筆者も、バイク用のギアやウェアを購入する時は必ずレビューを確認した上で購入するのが習慣になっている。

ある日、「なんかいいバイク用品ないかな~?」なんてボーっとネットサーフィンをしていたところ……とんでもない動画が筆者の目に留まった!

!?

お尻をバーナーで炙る動画……⁉

その動画のタイトルは「【火で炙って検証!!】難燃&高耐久デニムをガチテスト〈オックスフォード アーマライトジーンズ〉」。どうも『アーマライト』という難燃・高耐久な生地でできたライディングパンツの検証動画のようだ。

新人YouTuber顔負けの体を張った企画だが、驚くべきことに公開しているのは1972年創刊の老舗モーターサイクルマガジン『ヤングマシン』の公式YouTubeチャンネルである。


──いやいやいや、さすがに嘘でしょ! 常識的に考えてヤングマシンがそんなことするわけがない。とりあえずこのサムネイルは絶対合成! と思って再生してみたところ……

ホンマに炙っとるやんけ!!!!!!!!


しかも10秒間バーナーで炙ったにもかかわらず、『アーマライトジーンズ』はほとんど焦げていないらしい。


その後も炙られた男性がアスファルトの上を10m引きずられ、耐久性を証明するような実験が続き……

さすがにこれはあり得なくない? なんかこう、上手いことしてごまかしているんじゃない? 一度芽生えた疑いはモヤモヤと心に残り、気持ち悪い。

うーむ。……それならば、だ。自分で確かめる他、ない……よね?


・アーマライトジーンズを買ってみた

届いたのは、ジーンズ本体とプロテクター。

アーマライトジーンズは、実際に触ってみるとぶ厚めながらも至って普通のストレッチジーンズだ。多少の通気性はあるが、秋や春に着るのがちょうど良さそうな素材感。

プロテクターはもっちり触感。万が一の事故でもしっかり衝撃吸収して怪我を防いでくれそう。


さっそく着用してみたところ……


あれっ? なんかスタイル良く見える!?


コレめっちゃいいかもーーーーーーっ!!!!


・実験の舞台は川

突然場所を移しているが、これは川へやってきたためである。

なにか(主に筆者自身ということになる)が燃え上がったときはすぐに飛び込めるよう、本収録は川まで2mの場所で行っている。この先も安心して読んでいただきたい。


さっそく薪に火をつける。自分の尻を炙るための火を育てるのは複雑な気持ちだ。

激しく燃え上がり始めた炎の威力を確かめるために、まずは枯草を火に当てて実験してみたところ……

当たり前だがあっという間に燃え上がった。

10秒もかからなかったんじゃないだろうか。筆者、絶句である。こんなものを尻に当てるのか。


この日は気温32℃、文句なしの真夏日である。そんな中焚き火なんてしているのだから既に汗だくになっている。

しかし燃える草を見ているうちに暑さとはまた違う、恐れから来る脂汗が毛穴からにじみ出てきたのを感じた。


躊躇(ちゅうちょ)していても仕方がない、やってしまえ!


思い切って尻を焚き火に差し出してみる。


しかし……


アッチィ!!!! アチィよこれ!!!!!!!!


わずか3秒、思わず飛び上がってしまった。

説明が不足していたがアーマライトジーンズ、難燃性素材ではあっても断熱性は一切ない。つまり炎の熱はしっかりと尻に届いている。当たり前だけどめちゃめちゃ熱いって!


何度挑戦してみても……

熱いものは熱いーーーーーー!!!!!!


どんなに頑張っても5秒が限界! あの男の尻はどうなってるんだよ!!!!

とは言え合計すると20秒近くは火に晒されていたため、穴のひとつやふたつ空いていても不思議はない。現地で確認したところ──

パッと見の問題はなし。

自宅に帰って再び確認しても一切焦げていない。どうやら動画で見た難燃性は本物のようであった。

難燃性が素晴らしいのであればキャンプにも使いやすいはずだ。というのは、焚き火の際に火の粉で穴が開く心配がないから。これまで焚き火中のパンツにはさんざん悩んできたが、ようやく解決することができそうだ!


・摩擦にも強いが……

ここまで来たら最後まで試してみたい。しかし引きずってくれる人もいなかったため、

這ってみた。


10mほどを匍匐(ほふく)前進で進んでみたところ……


一切のダメージなし! スゲェ!!!!

さすがにノーダメージ過ぎて、どこまで這えばスレるものなのか気になってきた。ということで、

再チャレンジしてみたところ……


なんと、1か所破れが出てしまった!!

おそらく2回目は足を曲げて摩擦が膝に集中する姿勢をとっていたため、さすがに耐えきれなかったようだ。しかし10mでは無傷で、20mでようやく小さな穴ひとつ。ヤングマシンの実験とも一致している。


──以上、動画に疑いを持って自ら実験してみたが、ヤングマシンの動画には嘘偽りがなかった。アーマライトジーンズの耐久性と彼らのガチ実験に疑問を持ってしまったことを非常に申し訳なく思う! 疑ってごめんなさい〜!

それにしても……ガスバーナーの火に10秒耐えるお尻って、一体どんな耐熱性を持っているんだろうか?


参考リンク:YouTube「YoungMachineヤングマシン」
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
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▼ヤバすぎるヤングマシンのレビュー動画はこちら!

▼デニムに付属の冊子には、なんとヤングマシン動画のキャプチャーが掲載されていた。なんとまさかのメーカー公認!

▼良い子は絶対にマネしないでほしい

▼破れた部分は縫い直しておいた。これからのツーリングの心強い味方になりそうだ!

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