ある日のスーパーのお菓子売り場。明治のチョコ菓子「アポロ」や「きのこの山」を作れるキットを見つけてピコーンとひらめいた。これ、組み合わせたら、きのこみたいなアポロを作れるんじゃない?

「我ながらグッドアイディア」「公式に怒られちゃうかな?」と、ほくそ笑みながら作業を進めていたのだが、徐々に違和感がわいてきた。商品のそもそもの設定が、ちょいちょいおかしいのである。


・「手づくりアポロ」&「作ろう! きのこの山」(参考購入価格:各235円)

正確には「手づくりアポロ」「作ろう! きのこの山」といい、チューブチョコでチョコ作りが楽しめる商品である。

内容はチューブチョコ3本と、型取りのためのチョコ型のセット。「きのこの山」には、柄(え)の部分になるクラッカーが同梱されている。

湯せんしたチョコを型に流し込み、冷蔵庫で30分ほど冷やすという、ごくシンプルなキットである。

はじめにアポロを作っていこう。先にピンククリームを入れ、続いてチョコレートを流し込めば「いつもの」のできあがりである。

見慣れたいつものアポロ。


そっくりだけれど、小粒の「ちいさめ」。


そっくりだけれど、大粒の「おおきめ」。


そっくりだけれど、富士山。


ちょっと芸術的なクローバーやハート。


まぁ、ここまではいい。微笑ましいアレンジの範囲といえるだろう。続いて「きのこの山」を作ってみたのだが、「アポロにクラッカーを刺してアポロの山~」なんて筆者の貧弱な発想が打ち砕かれるような展開を見せる。

まずはチョコにクラッカーを立てたら「いつもの」。


ちょっと頭身のバランスが崩れている「こつぶ」。


一方あまり違和感ない「おおつぶ」。食べ応えがある。


この辺りから公式がどんどんおかしくなる。覚悟して欲しい。


ヤマタノオロチのような「よつご」。1粒で4度おいしい?


「きのこの山」としては間違ってはいないが……「しいたけ」。


「かさ」……いや似てるけど、似てるけど、アイデンティティを捨てている。


あまつさえ「たけのこ」! おいーーーー!!


ライバルに化けてどうする! 「きのこたけのこ戦争」をもう忘れたのか!? こういうのはTwitterとかWebメディアのネタでやるものであって、公式の振る舞いじゃないだろう!

いや、むしろクラッカーで「きのこ化」してしまうことで、征服を表現しているのかもしれない。たけのこの特徴であるビスケットもないし、卓上にペタンと立つこともできない。チョコの形状こそ たけのこ だが、分類学上は きのこ である。恐ろしや、きのこ軍勢……!

念のため断っておくが、これらのチョコは筆者が勝手にキメラを生み出したのではなく、最初からそういう型なのである。


・本来の楽しみ方

筆者は驚愕のあまり、それどころではなかったが、本来は同梱のミンツでトッピングしたり、カラフルな色分けチョコを作ったりして平和的に楽しむ商品である。たぶん。

お求めは全国の食料品売り場で。筆者はクラシエの知育菓子シリーズなど、「遊べるお菓子」が並んでいるコーナーで見つけた。

楽しいお菓子作りに、あるいは明治のご乱心に興味のある方は探してみていただきたい。


参考リンク:株式会社明治「キッズおかしランド」
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.