我が目を疑った。これは……アレじゃないのかと。福岡出身の記者の目には、どこからどう見ても、地元でよく売られているあの “ひよ子” にしか見えない。
だがしかし、どうやらベツモノのようである。商品名は “かいつぶり” といい、滋賀県の県鳥をモデルに作られた饅頭とのこと。なるほど? いやいや、それにしてもクリソツすぎるでしょ! これはいっちょ、問い合わせてみるしかなかろうもん。
・琵琶湖のいたる所にいた かいつぶり
滋賀県の「鮎屋」は昭和42年創業の企業で、名物のひとつが “かいつぶり” という饅頭。この饅頭がなかなかに曲者で、上に書いた通り福岡の “ひよ子” とそっくりなのだ。
記者は滋賀県内のイオンの土産物売り場にて入手(9個入・税別750円)したのだが、「あれ、なんでこんなところで ひよ子が売っているの?」と思ったレベルである。どうしてこうなった。
そもそも “かいつぶり” ってなんぞやと思い、饅頭のパッケージを見ると説明書きがあった。それによれば別名・鳰(にお)とも呼ばれる鳥で、かつては琵琶湖のいたる所に生息していたという。滋賀県では馴染み深い存在のようだ。
なるほど。かいつぶり饅頭にはかいつぶり饅頭なりのストーリーがあるのだろう。帰宅して後すぐさま開封してみると、うむむむ。やはり “ひよ子” っぽい……!
よく見ると異なる点もあるのだが、それにしても似すぎだ。パッとわかる違いといえば “かいつぶり” はしっとりした肌質であることと小ぶりであること、背に “鳰” と銘が入っていることくらいだろうか。
手で持つと “ひよ子” のようなサラッと感はなく、指にベトっと生地が付く。口に放り込むと、白餡の味は “ひよ子” に似たところがあるがよりバター感が強く、後味のもったりさも “かいつぶり” の方が強い。
これはこれで “ひよ子” とはまた違った美味しさではないか。全くのベツモノとまでは言い辛いが、饅頭の性質上致し方あるまい。しかしなぜ、ここまでビジュアル味共に似通ったものになってしまったのだろう。
・販売元に聞いてみた
気になったので販売元に問い合わせてみた。まず、かいつぶり饅頭はいつ頃生まれたものか尋ねると、「20年以上前ですかねえ」と教えてくれた。ひよ子より歴史が浅そうではあるが、そのあたりはいかがなものか。
似ていると言われたことはないかと聞いてみると……
「う~ん、そうですね。よく言われますねえ。テレビでもその旨、取り上げられたみたいですね」
と、あっけらかんとした答えが返ってきたではないか。あまりに気に留めていない様子に、思わず笑ってしまったことはここだけの秘密である。いやはや。なんというか、記者が気にし過ぎたのかもしれない。
似ていようがいなかろうが、ひよ子は “ひよ子” かいつぶりは “かいつぶり” でいいじゃない。そんな気持ちにさせられてしまった次第。かいつぶり饅頭は滋賀県外で、現在(2021年7月)は手に入りづらい状況らしいが、見かけたら手に取り目で確かめ、味わってみてくれよな!
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
▼ひよ子にクリソツなかいつぶり
▼かいつぶりは滋賀の県鳥とのこと
▼それにしても似すぎでは……
▼味は結構違いました