暑くなると、身体から放たれる汗のニオイが気になってしまう。混み合った電車で、自分は汗臭くないだろうか? と心配になる人もいるだろう。目には見えないけど、確実に人に影響を与えるもの、それがニオイだ。
そんなニオイをテーマにした『におい展』が、2021年7月9日から東京・町田市の商業施設「町田モディ」でスタートしている。会場に行き、いろいろなニオイを嗅いだ結果、1番印象に残ったのは、身近なあのニオイだった!
・美臭と悪臭が繰り返される
においを体感できるこの催しは、2016年に名古屋パルコで初開催している。以降、全国を巡回し累計動員数は27万人にも及ぶそうだ。私(佐藤)は今回初参戦である。入場料800円(税込)を払って、その奥深いニオイの世界へと足を踏み入れた……。
場内には、さまざまなニオイを詰め込んだ瓶がアチコチに置かれている。展示物だからといって、手加減したニオイを用意している訳ではない。良いニオイはむちゃくちゃ良いニオイ! 悪臭を放つモノは悶絶級の臭さだ。本気で嗅がせに来てるぞ。
警戒しながら歩を進めると、激臭レベル2の「くさや」があらわれた! 激臭ジャンルのものはあまりにもニオイがキツイので、扉付きのボックスに収められている。
とはいえ、クサヤ程度で怯(ひる)む私ではない。「くせえ魚だな」くらいの感想でその場を通過した。次に出て来たのは、激臭レベル3の「ドリアン」。これもまあ想定内。私の耐え得る激臭レベルは、この世でもっとも臭い食べ物のひとつに数えられる「シュールストレミング」に設定されている。
何しろ過去に何度も嗅いでいるから、多少の臭さには耐えられるのだよ。したがって、それよりも低いレベルの激臭は「匂わない」に等しい。
悪臭のものばかりが続く訳ではなく、合間には良いニオイもある。たとえば、戦国武将が戦(いくさ)の前にまとった香りも、良いニオイのひとつだ。
織田信長・豊臣秀吉・徳川家康・直江兼続の4人のモノが再現されていて、中でも気に入ったのは織田信長である。大変高貴な香りで、ひと嗅ぎすれば目が覚めて気持ちが整えられるようだった。清らかさのようなものを感じ取ることができたぞ。
・ラスボス「最臭兵器」
信長の香りで気持ちが引き締まったところで、次にあらわれたのは「加齢臭 & 足のにおい」。せっかく気分が高まったのに、なんだよ足のにおいって!?
40代後半の私には、加齢臭は自分の分だけで十分だ。とはいえ、素通りする訳にもいかないだろう。ボックス内にぶら下がっている靴下のニオイを嗅ぐ………、グオーーー! 悶えるほどの悪臭だ!!!! 俺より足の臭いヤツのニオイだ。そんなヤツいるのかよ!? 大げさではなく、頭が痛くなりそうになった……。他人の体臭は臭いのである。
そして迎えたシュールストレミング。嗅ぐだけでなく食ったことさえある私には、馴染みの香りだった。全然驚かないし、悶えることもない。
この後に香水の香りやカメムシのニオイを嗅ぎつつ、ついに最後の展示に到達した。その名も「最 “臭” 兵器」だ……。
なんでも、ここまで嗅いだすべての悪臭をブレンドしたような強烈なニオイらしい。ゲームで例えるなら、苦戦した中ボスたちの集合体みたいなヤツ。つまりラスボスだ。嗅いでみると、たしかに全部の悪臭がしている!
調香師さんは優秀だな。あの悪臭をバランス良く配合できるとは。さすがニオイのプロである。それにしても臭い! 臭すぎて苦しい……。
新鮮な空気を求めて会場から出た。
・もっとも印象に残ったニオイ
と、そこにあったのは、コーヒー豆の入った瓶だ。なぜこんなところにコーヒー豆が……。なんでもコレを嗅ぐと、鼻がリセットされるらしい。ほんとかなあ~、半信半疑で嗅いでみると、本当にリセットされた!
さっきまで嗅覚は悪臭でダメージを受けているような感じだったのに、それが全クリアされた。ゼロ! 嗅いでいたすべての香りの名残りが、キレイに去った。ゲームで例えるならすべての状態異常から回復した感じである。
ということで、もっとも印象に残ったのはコーヒーの香りだ。もしも日常で悪臭に遭遇したら、コーヒーの香りを嗅いでみると良い。スキッとリフレッシュできるぞ。
なお、この展示は9月30日まで。近くの方はこの機会にぜひ。ちなみに、現在「におい展2」の企画制作が進行しているらしい。そちらもお楽しみに!
・今回訪問した施設の情報
場所 町田モディ B1階特設会場(東京都町田市原町田6丁目2-6)
会期 2021年7月9日~9月30日
時間 10:30~20:00
定休日 なし(施設に準ずる)