2021年7月12日より期間限定で販売されている「かつや」の新商品『鶏ガパオチキンカツ丼(税込759円)』。バンコク発のタイ料理レストラン「マンゴツリー」とのコラボメニューで、本格的な鶏ガパオとチキンカツの合い盛り丼となっているらしい……のだが。

正直に告白しよう。最初にこのメニューを知った時、私(あひるねこ)は深く失望した。失望し尽くした。「かつや」でガパオだぁ……? 何をカフェ飯ぶってんだコラ! “かつや者” ナメてんのかコラ!! しゃらくせぇから発売日の4日後に食いに行ってやったぜ。ワイルドだろぉ?

・まさかのガパオ

タイの定番料理・ガパオライス自体には何の文句もないが、それが「かつや」と絡むとなると話は別である。メリットを考えろ。「かつや」でガパオを食って、オレたち “かつや者” は何を得るんだ? 金か? 名誉か? 地位か? それで満足したと思えるようなヤツがオレ達の中に本当にいるのか?

思わずヨークシン編序盤の団長みたいな口調になったが(『ハンターハンター』第74話参照)、それくらい今回のコラボは異色というか、生粋の “かつや者” であればあるほど困惑してしまうと言わざるを得ない。私もいつもより若干緊張しながら待っていると……


サワディー


ヒエッ……!


来たディー。


・ガパオ来日

おお……マスクを突き破って鼻孔を直撃するこの異国の香り。タイ料理に欠かせないナンプラーの匂いであるが、これがなかなかに強烈だ。なるほど、どうやらこの『鶏ガパオチキンカツ丼』、私が思っていた以上にガチガパオらしい。それではまずチキン単体で食べてみ……


辛っら!!!!

・辛い

口に入れてしばらくすると、唐辛子の刺激が舌中を這いずり回りやがる……。いや、食べられない辛さでは全然ないのだが、何というかこちらの想像のちょっとだけ上を行くような、絶妙なタッチの辛さなのだ。マジか、そういう感じかこれ。

予想外の強パンチを食らうも、味変用に残しておいた温泉たまごと千切りキャベツによって危なく難を逃れる。うむ、おかげでだいぶマイルドになったぞ! これはご飯が進む進むゥゥゥゥゥウウウ!! ……なんだけど。冷静になって一つ思ったことがある。


私は今、一体どこにいるんだろうか?

・困惑

粗びき肉に絡みつくナンプラーの独特な香りに、唐辛子の強い辛み。そこはもはや行き慣れた「かつや」の店舗ではなかった。というより、日本ですらなかった。まるで異邦の地に一人放り出されたかのような激しい孤独感。その感覚は食べ進めるごとに増していき、そして最終的に……


アイム・イン・タイランド……!

・エア入国

「かつや」なのに、「かつや」じゃない。気分はもう転校生だ。ただし、転校先はタイである。バンコク二中である。漂うアウェイ感が尋常ではない。私はうまく馴染めるだろうか? まさか「かつや」の新メニューで転校初日みたいな空気になるとは思わなかったぞ。

まあそれだけ『鶏ガパオチキンカツ丼』が本格的な味だったということだが、あまりにもガパオが過ぎるせいで、どうにも落ち着かないな。隣の席のヤツと少し話すようにはなったんだけど、いまいちバチっとハマり切らないというか。つーかバンコクのノリとかよく分かんねぇよ……!

しかし、そこへ救世主が現れる。チキンカツである。ま、まさか……君も日本からバンコク二中に転校してきたのかい? ガパオのソースや唐辛子がかかってもなお、隠し切れない「かつや」定番メニューの圧倒的オーラ。ハッキリ言おう。この丼におけるチキンカツの安心感は異常である。

・相互作用

結果的に、チキンカツの存在が鶏ガパオのスパイシーな味わいを引き立たせ、鶏ガパオの存在がチキンカツのサクサクジューシーさを引き立たせていたように思う。国は違えど、同じ鶏同士。そこには言葉を超越した友愛の形がたしかにあったのだ。まあ、そもそもどっちも喋んねーけど。


今回の鶏ガパオに対し、懐疑的なスタンスを取ってしまう “かつや者” も中にはいるかもしれない。しかし、バンコク二中に転校した気分になれる機会なんてそうはないだろう。間違いなく「かつや」史に残る異色作なので、一度は食べておいて損はないはずである。

参考リンク:かつや
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

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