オッス! 俺、佐藤! 今をトキめく47歳。さそり座のAB型だ。今年話題のスイーツ「マリトッツォ」に、すっかりドはまりしちまって、マリトッツォおじさんと化してるっつう訳。
そんな俺がひょんなことから、関東を中心に店舗展開しているカフェ「エ・プロント」に行くことになったんだけど、そこで真っ黒な飲み物を発見しちまったんだよ! これ墨汁!? 一体全体、どうなってるのーーーッ!!!!!!
・マリトッツォを食べに行ったのだ
実を言うと、エ・プロントは2021年7月9日からマリトッツォの販売を開始したんだ。「流行(はや)り」と言われ始めてから半年以上が経過して、今このタイミングで販売を始めるとは、何かあるに違いない! そう確信した俺は、東京・立川の店舗へとやって来た。
カウンターのショーケースを見ると、あったあった! 「ピスタチオ & フランボワーズ」(税込550円)と「レアチーズ & プラリネ」(税込495円)の2種類のマリトッツォがケース最上段に控えてやがる。
何を隠そう、この俺、マリトッツォおじさんでありながら、ピスタチオおじさんでもあったりする。ということは、ここでの選択肢は1つだ。ピスタチオのマリトッツォを選ぶに決まってるんだよ! エ・プロントの実力を見極めてやろうじゃないか。「遅れて来た新星」か? それとも「タイミングを見誤った凡愚(ぼんぐ)」か? 食えばわかるさ……。
・黒いレモネードだと……
ふと見ると、スペシャルレモネードとやらが目に留まった。なんだコレは?
ド真ん中にあるコレは……。ブラックだと!? 黒、黒いレモネードか? あの涼し気なレモンの色をどす黒くしちまったっていうのか? 『レモン哀歌』の高村光太郎が「トパアズ色の香気」と、レモン果汁がほとばしる様を美しくうたったというのに、それを黒にしたのか。
なんてことだ……。なぜかわからないけど、俺の心臓が激しく脈打っている。これは味を確かめない訳にはいかないな。
・黒く塗りつぶせ
ということで、ピスタチオのマリトッツォとブラックレモネード(税込550円)をイートインで頂くことにした。
見てくれよ、コレを! こんなに黒いんだぜ。硯(すずり)に垂らした墨汁みたいじゃねえか。水彩画の水バケツにポタリと垂らした黒色にも等しい。これがレモネードだって? そんなはずがねえ! 俺の知ってるレモネードはこんなんじゃなかった! 俺の知ってるレモネードはどこに行ったんだ!?
お店の人は言っていた。「よくかき混ぜてからお召し上がりください」と。そうか、よくかき混ぜるのか、そうさせてもらおう。かき混ぜると……
全体が黒くなった! グラスの底に残されたレモン色さえも、真っ黒にそまっちまったじゃねえか!
俺は思う。人生は時に過酷な試練を強いるものだ。素直なだけではダメだし、真面目なだけではやってられないこともあるだろう。米作家レイモンド・チャンドラーの名作『プレイバック』にこんな一節がある。
「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」
そうなんだよ、たとえ目の前が暗くなるようなことがあったとしても、強さをもって困難に立ち向かい、そして優しさをもって強く生きることが大事なんじゃないかってね。たとえレモネードが黒く染まったとしても、美味しく頂く優しさを忘れてはいけないんじゃないか。そう思ったんだ。
実際に飲んでみると、口当たりはとってもまろやか。レモンのトゲトゲしさはなく甘さも控えめ。ちなみにこの黒色は竹炭の成分によるものなのだとか。竹炭の味も匂いもしない。味は「優しいレモネード」ってところだな。
・おっちょこちょいな俺
おっと、いっけね! 大事なことを忘れるところだった。マリトッツォは美味かったぞ!
ピスタチオおじさんの俺から言わせれば、もっとピスタチオしててもよかった。これはクリームの甘さとフランボワーズの酸味が強く、ピスタチオの存在感がちょっと乏しかったかな。でも美味かったぞ。
そんな訳で、黒いレモネードは墨汁か? と思ったら、全然違った。そもそもそんな訳ないもんな(笑)。これから夏本番、みんなもレモネードを飲んで、暑い夏を乗り切ってくれよな! また会おうぜ、バイビー!!
・今回訪問した店舗の情報
店名 エ・プロント ルミネ立川店
住所 東京都立川市曙町2-1-1 ルミネ立川 1階
時間 9:00~20:00 (短縮営業中)