『おはぎバーガー』という名の和菓子がある。名前のとおりアンコがお米にサンドされており、見た目がハンバーガーのようだから『おはぎバーガー』だ。バーガーとはいっても、バンズ(パン)やパティ(お肉)があるわけではない。

基本的におはぎと素材は同じで、お米とアンコ。ただ、『おはぎバーガー』は一般的な「おはぎ」とポジショニングが逆になっており、お米が外でアンコが中である。

一見あべこべに見えるが……おはぎのポジショニングは本来コレが正解なのでは? もし正解なら、『おはぎバーガー』の方がノーマルおはぎより美味しいかも? と気になって仕方がなかったので買ってみた。

・おはぎのポジショニングについて

言うまでもなく、普通の「おはぎ」はお米がアンコに包まれている。言い換えればアンコが外でお米が中になっているわけだが、私は個人的に長年このポジショニングに疑問を抱いていた。


鯛焼きや回転焼きを見ればお分かりのように、包む系の甘いお菓子ではアンコが中ってパターンが多い……にもかかわらず! なぜ「おはぎ」はアンコが外なのだろう?


プリンのカラメルソースが容器の底にあるとテンションが上がるように、おはぎだって甘いアンコが内側に入っていた方がワクワクするのではないだろうか? アンコを外側に出しちゃったらネタバレというか、なんなら「中は米かよ」と残念な気持ちになる人だっているはず。

加えて、色が黒いアンコを外側にすることで見た目が地味になる点もデメリットとして挙げられる。もしも白いお米部分を外側に出したら……それだけで華やかになるのでは?

——と思っていた私にとって、『おはぎバーガー』はまさに「コレコレ!」という商品だった。オンライン販売していることを知るとすぐに購入。数日後、届いた『おはぎバーガー』を見たら……


高級な和菓子のよう。ノーマルおはぎが定食屋だとしたら、こちらは懐石料理的な雰囲気。見た目では『おはぎバーガー』の圧勝と言っていい。崩すのは気が引けるが、味を確かめるべく『おはぎバーガー』にかじりついてみよう。すると……


第一印象としては控えめな甘さ。また、全体にモッチリしていながら、バンズ(お米)はややパリっとしている。このあたりのバランスが絶妙で、もっとパリっとさせると硬くなってしまうし、モチモチしすぎるとバンズがフニャフニャになってしまうだろう。


ちなみに後で知ったことだが、お米は「焼き」の工程を入れているらしい。つまるところ、ただポジショニングを変えているだけでなく、細かな調整が加えられているようだ。

裏を返すと、素人が単純に「おはぎ」のポジションチェンジを実行しても、ここまでの美味しさにはならないだろう。たとえば、外側のお米をいかに長時間モチモチにキープするか等に悩まされるのではないだろうか。


・「おはぎ」の米とアンコを逆にした方が美味い?

まとめると、お米とアンコの位置を逆にしたらノーマルより美味いとは一概に言い切れなさそうである。そもそも、『おはぎバーガー』がノーマルおはぎより美味いかどうかも、意見が大きく割れるように思う。

大衆中華のチャーハンが時として何よりも美味しく感じることがあるように、ノーマルの方が上品な「おはぎバーガー」より美味いと感じる人だっていそうだ。なんなら、ノーマルの味の方が一般ウケはしそうでもある。


……いや、そう思うのは私がノーマルおはぎを食べ慣れているからだろうか? はっきりしたことは分からないが、『おはぎバーガー』が日本人の “慣れ” に挑戦している商品なのは間違いなさそう。

ちなみに、公式サイトによれば価格は1つ300円(おはぎバーガー和栗のみ税込350円)。おはぎとして考えたら高い気がするが、高級和菓子と考えたら安いのか? あるいはハンバーガーの1種と考えるべきなのか? そもそもこいつは一体何なんだ? 完食した今もよく分からない……。

参考リンク:おはぎバーガー
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼おはぎバーガー。手前にあるのが「胡麻づくし」で……

▼インスタ映えしそうな木苺(手前)は季節限定。

▼こちらが「七穀(季節限定)」。なお、どれも手の平にちょこんと乗るサイズ。