先日、松のやでとんかつを食べていたところ、不意にから揚げを食べる他の客の姿が目にとまった。そういえば、ここのから揚げを食べたことが無かったな……。よく考えれば松のやだけじゃない。吉野家でも、なか卯でも、かつやでも。近所にある毎日のように利用しているチェーンの飯屋で、から揚げを食べたことが無い。
いつだってそれぞれのチェーン店の定番である、牛丼なり、とんかつなり、海鮮丼なり、そういったものしか食べてこなかった。そこでちょっと思ったのだ。これ等の、あくまでから揚げが主力ではないチェーン店の中で、どこのから揚げが一番ウマいのだろう……と。
・から揚げ
ところで、今回挙げたチェーン店の他にも、から揚げを扱っている所はあるだろう。例えばすき家や、大戸屋、そしてやよい軒など。その辺りの店舗がスルーされているのは、単に近場に無かったからだ。ということで、今回は4社のから揚げの比較となる。
ということで買ってきたのがこちら。なお、吉野家のから揚げは一部の店舗限定だ。販売している店舗のリストは公式HPで確認できるぞ! 他は恐らくどこの店舗でも扱いがあるとは思うが、もしかしたら店舗によっては無かったりするのかもしれない。
参考までに値段も書いておくぞ。吉野家は、からあげ丼でも単品でも購入可能。単品の場合、1個から税込み127円で買える。だが、今回ゲットしたのは少しコスパが良くなる6個入りで税込み699円のほう。なか卯は「ゴーゴーからあげ」で、から揚げの他に竜田揚げもついて税込み450円。かつやは1パックで2個税込み165円のものを、2パック分。松のやは、3個入りで税込み230円だった。
食べる前にサイズも比べておこう。どこも置いた時のデカさや厚みにバラつきがあるため判定が難しいが、それぞれ中くらいのサイズのものを並べてみたのが以下の写真だ。
サイズ的にはかつや(1個82.5円)が少し抜きんでており、吉野家(1個116.5円)と松のや(1個76.7円)が同じくらいだろうか。そしてなか卯(1個45円)が一番小さい。括弧の中に、単純に値段を個数で割った場合の、から揚げ1個の値段も記しておいた。こうしてみるとコスパにもそれなりに差があるようだ。
・なか卯
それでは順に食べていこう。まずはなか卯。サイズは最小だが、しかし値段も最安。どんな味だろうか。
食べてみると、まあ普通にから揚げである。こいつが一番最初なので、まだ他社と比較してどうなのかもわからない。ただ、少し濃い目の味付けに感じなくもない。ちなみになか卯の「ゴーゴーからあげ」は、購入時に「うま塩だれ」か「カレーケチャップ」のどちらかのソースを選ぶことができる。
今回は「うま塩だれ」を選んだので、これをつけた場合の味もお伝えしておこう。使用すると、味変できて気分転換はできるが、個人的に少し主張が強いように感じた。かなりストロングに塩辛い。ビールやレモンサワーと一緒ならいい感じになるかもしれない。
・松のや
お次は松のやだ。
食べてみると、なか卯と同じ系統の味がついているが、やや薄めか。衣の揚がり具合や、衣に染み込んだ油のにおい的に、松のやの方が美味しく感じた。さすがは揚げ物が専門ということなのだろうか。ジューシーさも中々のもの。ここで松のやが一歩リードという結果。
・吉野家
お次は吉野家を食べてみよう。
おっ? なか卯とも松のやとも違う、どこかさっぱりした味付けだ。デフォルトで、爽やかな柑橘系の酸味に近しいフレーバーを感じる。公式HPをチェックしたところ「吉野家特製のたれに漬け込んだ」とある。きっとその辺りに何か仕掛けがあるのだろう。
ジューシーさでは松のやに一歩ゆずる気もするが、そこまでの差ではない。それより特徴的な味付けが好ましい。さっぱり系のテイストとから揚げの相性は抜群だ。少し悩んだが、ここでトップに躍り出たのは吉野家。
・かつや
最後はかつや。デカいというのはそれだけでビジュアル的に好印象だが、味はどうだろう。
ほほう……THE からあげ。今回食べた中で、良くも悪くも一番特徴やクセが無いのが かつやだ。から揚げと聞いて思い浮かべる味そのものという感じ。安定と安心の味でウマい。王道的なから揚げを求めるなら かつや。
・勝者は
ということで4社を食べ比べてみたが……個人的なベストは吉野家としたい。から揚げは万民に愛される最強の料理の一角だと思うが、やはり食べすぎるとオイリーさがクドくなるという弱点を抱えている。まあ、これは全ての揚げ物に共通する宿命だと思う。
吉野家のから揚げのさっぱりした爽やかな味付けは、その弱点を補う効果がある。これだけの量のから揚げを一度に食べた筆者。しかし、吉野家のから揚げだけは最後までクドさを感じなかった。食べれば食べるほど、味付けの巧妙さが効いてくる感じ。
ただし1個あたりの値段が最も高いのも吉野家だ。そのためコスパも含めての評価となると、ぶっちゃけどこも甲乙つけがたい。今回はあくまでから揚げがテーマ。ゆえに味のレビューはしなかったが、なか卯の場合は竜田揚げがついてくる。から揚げと竜田揚げを合わせて10個も入っているのだ。普通に食べる場合にこの点は無視できないだろう。
コスパも欲しいがデカさやジューシーさも欲しいとなれば、そこはその両方をほどよく有するということで、松のやがベストな選択となるかもしれない。まさに隙間を突くかの如き絶妙な価格と仕上がり。
また、今回は自分で何もアレンジをせずに食べ比べたが、何か独自のタレや、レモンなり塩なりで味付けして食べる場合に最強なのは、おそらくかつやだと思う。シンプルな味付けは、ポケモンでいうところのイーブイのような可能性を秘めている。好みの味に染め放題だ。
それにしても、まるで4社とも被らないよう示し合わせたがごとく、コストと味の面でそれぞれ違った方向性のオリジナリティを有するから揚げを取り扱っていたという点は興味深かった。
最後に述べておくが、今回の結果はあくまで筆者の個人的な味の好みに照らし合わせたもの。あくまで参考程度にして、皆さんも自ら食べ比べ、自分の好みに合ったから揚げを探してみてくれ!
参考リンク:松のや、吉野家、なか卯、かつや
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
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