このところ競馬がアツい。G1シーズンに突入したということもあるが、その理由の大半はウマ娘。今じゃネットのトレンドに往年の名馬がランクインすることも珍しくなく、一大ムーブメントとなっているのだ。ウマ娘から競馬の世界に入った人も決して少なくないと思われる。

競馬への入り口は人それぞれ。いろんな形があるだろうが、ウマ娘が人気爆発する一方で個人的に悲しいニュースを聞くことになった。そう……「KADOKAWA」が発行する月刊誌「サラブレ」の休刊である。

・青春の1ページ

サラブレは1995年創刊の競馬雑誌。26年と長い歴史があるだけにショックな人も多いだろうが、私も人一倍このニュースに衝撃を受けた。何しろ、サラブレは私の競馬への入り口。いわばバイブルだったからだ。

私が競馬を覚えたのは1997年。天皇賞(春)でサクラローレル、マヤノトップガン 、マーベラスサンデーの3強対決を見たのがキッカケだった。当時私は中学1年生。年齢のことはさておき、とにかく私はトップガンの追い込みに心を奪われて興味を持った。

そして今のようにネットで情報がすぐに出てくることもない時代、興味を持ったら手にするのが雑誌であるが、数ある競馬関連ものの中から私が選んだのがサラブレだった。理由は至ってシンプル。付録で競走馬のポスターがついていたからだ。

・サラブレのよさ

ただ、すぐにポスター目的だけじゃなくなったのがサラブレという雑誌である。読んだら読んだで中学生でも楽しめるような内容だったから、ハマるのに時間はかからなかった。

競馬を取り扱っていながらそれほど内容がギラついていないと言おうか、初心者にもとっつきやすいようなコーナーが多く……要するに予想だけじゃない競馬が盛り込まれていたのだ。

それに加え、ダービースタリオンの特集があったのも大きかった。当時はゲームで競馬ブームが起きており、中でもダビスタが大人気。ネットのない時代だと得られる情報も限られていただけに、発売日が楽しみで仕方なかったのを思い出す。

・血統を学んだ場所

毎月読むようになってからというもの人気コーナー「金満血統王国」で競馬の知識はさらに上昇。それをダビスタに落とし込み、インブリードやニックス、はたまたアウトブリードといろんな手で最強馬を目指して配合を繰り返した。

親によって適性距離が違えば適性馬場、さらには天候の得意不得意もあるなど、今だと当たり前のように考えられることもすべてルーツはサラブレから。血統は知れば知るほど奥が深く、子供ながらに「競馬って面白いなぁ」と夢中になったものだ。

そのおかげで今でも血統に関しては種牡馬や牝馬の名前を聞くだけで「あぁ、確かあの馬の親か」といった具合に連想できるし、ある程度の適性も弾き出される。おそらく、40代から上の世代はダビスタとサラブレのニックス配合で競馬好きになった人が多いのではなかろうか。

・サラブレはモバイルへ

今のように昔の映像がすぐに見られなかったあの頃、基本的には思いを馳せるしかなかったなか、週末の競馬中継、深夜に放送されていた「三冠物語」、そしてサラブレが私の情報源だった。そのサラブレが一区切りを迎えたことに寂しさを感じずにはいられない。

とはいえ、サラブレは6月号(5月13日発売予定)を最後にその後の刊行を休止するも、廃刊になるワケではなく今後は携帯サイト『サラブレモバイル』で運営を続けていく。書店で会えなくなるのは名残惜しいが、これからも変わらず競馬への入り口となってほしい。

参考リンク:サラブレ
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.