和洋折衷(わようせっちゅう)とは、和の文化と西洋の文化を程よくミックスすることを指す。さしずめ、なか卯の新商品『キーマカレー親子丼』は “和印折衷” とでもなるだろうか?
2021年4月13日から発売開始となった『キーマカレー親子丼』は、その名の通りキーマカレーと親子丼が合体した料理である。当初は「ずいぶん変化球だな」と思ったが、食べてみて考えが変わった。変化球どころじゃねえ……もはやこれは “魔球” であると──。
・なか卯といえば親子丼
とにかく親子丼が美味しいことで知られる なか卯。実は牛丼やいくら丼も美味しいことはさておき、それでも「なか卯といえば?」と聞かれたら「親子丼」と答える人が多いハズだ。
「ねぎ牛丼」「チーズ牛丼」「とろろ牛丼」などなど、多彩な変化が可能な牛丼と比べて、親子丼は変化をつけにくい料理である。これまでもせいぜい「チーズ親子丼」や「トリュフの親子丼」が発売された程度で、野球で例えるなら「親子丼」は直球が主体のストレート系ピッチャーなのだろう。
それでも新たな可能性を探るため、なか卯の親子丼が変化球の習得に乗り出した。選んだパートナーは、まさかのキーマカレー。ともすれば親子丼の持ち味が消えかねない、かなり勇気のある選択だ。
・キーマカレーを操れるのか?
というのも、どう考えても「親子丼」より「キーマカレー」の方が主張が強いことは目に見えている。なんなら主役であるハズの親子丼が食われてしまい、最終的にはカレーになってしまっている可能性もゼロではない。大丈夫なのか、なか卯。
というわけで、その実態を確かめるべく なか卯で『キーマカレー親子丼』をオーダー。価格は590円で、いつもの親子丼に「キーマカレー」と「にんにくの芽」をトッピングしたメニューが『キーマカレー親子丼』だと考えていいだろう。
食前、香りは100%カレー。目を閉じれば目の間に親子丼がいるとは誰も気付かないハズだ。本当に大丈夫なのか、親子丼。なか卯のエースはお前なんだぞ? お前にカレーを受け止め切れる懐の広さはあるのか? さっそく一口食べてみると……
まあ、カレーかな?
キーマカレーの風味がそこまで強くないので親子丼も善戦しているが、それでも元々の主張が強いキーマカレーを取り込むまでには至っていない。親子丼の風味が加わっているので「マイルドなカレー」と言ったところだろうか?
ただし、キーマカレーの味がボヤけてしまっている感もあるので、カレーとして食べた場合はやや物足りない感じも受けた。1つだけ良いところがあるとするならば、カレーと親子丼が合わさって “カレーうどんっぽい風味” は楽しめたこと。いずれにせよ、なんとも形容し難い摩訶不思議な丼である。
・見失いそうな味
カレーっぽいけどカレーほどの刺激はなく、親子丼だけど親子丼の姿はほぼ確認できず……例えばスマホを眺めながら『キーマカレー親子丼』を食べたなら、途中で「俺は何を食べているんだ?」という錯覚に陥る人が続出するハズ。変化球どころではない、完全に魔球である。
というわけで、なか卯の『キーマカレー親子丼』はなかなかの問題作なので興味がある人は1度ご賞味いただきたい。今後2度と発売されない可能性もゼロではないので、歴史の証人になるなら今がチャンスだ。
参考リンク:なか卯
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.