集めているつもりもないのに、気がついたら身の回りにあるリラックマグッズ。名前は知らなくても見たことはある、という中高年も多いだろうから、誰もが知る国民的キャラクターと呼んでも過言ではないだろう。元祖「仕事を選ばない子」キティ先輩に負けず劣らず、私たちの生活に深く浸透している。

しかし、彼(と呼んでいいかわからないが)の真の正体を知っている人がどれくらいいるだろうか。

先日モスバーガーで食事をしていたときに、ふとトレーマット(トレーに敷かれている紙)に描かれたキャラクター紹介を見たときの筆者の衝撃……! こ、こんな設定だったの!?


・リラックマの正体って……

丸っこいフォルムに、どこか愛嬌のある表情。シーズンごとに変わるテーマでカラフルに描かれたクマのキャラクターだが……

リラックマとは「OLのカオルさんの家にいきなり住みついた着ぐるみのクマ」「背中にチャックがありますが、中身は秘密」なんだそう! しかも調べてみると、カオルさんとは都内在住アラサーの商社勤めOLで、アパートで1人暮らし中。やけに生々しい設定だ。

カオルさんは優しく真面目な女性なのだが、満員のエレベーターで遠慮したら途端に次のエレベーターが点検中になるような “ツイてない” 人で、「なんだかなぁ」な日々を過ごしている。

そんなカオルさんの家に、背中チャックのリラックマと、赤いボタンのコリラックマがやってきて居候するというのが基本ストーリー。

100歩ゆずって、着ぐるみであることはまだいい。背中にチャックがあるというのはイラストでも確認できるし、別に秘密でもなんでもない。筆者も知っていた。かの有名な「クマのプーさん」の仲間たちだってぬいぐるみで、しっぽが取れたり綿が飛び出したりするからな。

しかし、リラックマといえば立ち上がったり動くのが大嫌い、食いしん坊で、無為にダラダラ過ごす姿がセールスポイント。キイロイトリに「ナニヲイットルカ」と突っ込まれるのが定番の、ちゃっかり者キャラじゃないか。


突然女性の家に転がり込んで、ゴロゴロして過ごすって……それってヒモ……!


ちなみにコリラックマも「胸に赤いボタンがついているので、本物のクマではないみたい」とのこと。見た目からすると「洋服のボタン」の意味だと思うけれど、スイッチのことだったらどうしよう。

キイロイトリはもとからカオルさんに飼われていたペット。趣味は「貯金」だ。小鳥なのに貯金て……。


・でも癒やされる

ちなみに上記の設定はNetflixオリジナル作品『リラックマとカオルさん』に詳しい。仕事と家を往復するだけの日々にちょっぴり疲れたカオルさんは、リラックマたちの「頑張らなくていい」姿勢に救われる。

作中では着ぐるみのスペアが山ほどあったり(着替えたり洗濯したりできる)、人間と同じくらいの身長だったり、カオルさんのピンチにはアルバイトをしたりと、衝撃の事実が確認できるぞ。


リラックマの誕生は2003年。「たれぱんだ」が登場したときも思ったが、ゆるゆるとダラけていることに価値がある、人を急かさないキャラクターが愛される時代なんだなぁと思う。裏を返すと現実世界では頑張ることを求められ過ぎているのだ。ちょっと笑えて、甘え上手で、「休んでいいんだよ」といってくれるキャラクター、それがリラックマ。

Netflix作品は、リラックマたちの表面のふわふわまで感じられるストップモーションアニメ。好評を博し、続編『リラックマと遊園地』の製作も決定している。


参考リンク:リラックマ公式サイト(プロフィール)『リラックマとカオルさん』公式サイト
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.