東京オリンピック・パラリンピック開催にともなう交通混雑や、市民生活への影響を緩和する目的で、2020年限定で祝日が移動されたことは記憶に新しい。開会式や閉会式が休日に重なるように変更されたわけだが、結果的にオリンピックは延期。変更された祝日だけが残った。

同じ理由で、新たに令和3年(2021年)限定で祝日が変更になる。具体的には「海の日」「スポーツの日」「山の日」が開会式・閉会式に合わせて移動される。

いわゆる「五輪特別措置法」による措置だが、正式に公布されたのが12月4日ということで、すでに紙に印刷・販売されている多くのカレンダーや手帳は対応していない。自分で直す必要があるから要注意だ。家にあるカレンダーを信じて行動すると大変なことになるぞ。


・「海の日」「スポーツの日」「山の日」が移動

2021年に限り、「海の日」は7月22日に、「スポーツの日」は7月23日に、「山の日」は8月8日になる。8月8日はもとから日曜日なので、「国民の祝日に関する法律」に基づき、翌8月9日が振替休日となる。結果として7月に4連休、8月に3連休が誕生する。その分、10月の3連休は消滅する。

この連休中にオリンピック開会式・閉会式が行われる予定。「アスリート、観客等の円滑な輸送と、経済活動、市民生活の共存を図るため」の措置だ。ラッシュ時の満員電車は外国人も驚くTOKYOの代名詞ともなっているが、多くの人が通勤・通学する事態を避けることで混雑緩和を見込んでいる。

では例年なら祝日だった日はどうなるか。

「海の日」 2021年7月19日
「山の日」 2021年8月11日
「スポーツの日」 2021年10月11日

いずれも平日になる。くれぐれも学校や仕事を休まないように! 1人だけ家にいて、コントのようになってしまうぞ。


・買ったカレンダーは対応している?

ここ数年、改元、天皇陛下即位関連行事、東京オリンピックと、暦の変更に翻弄されているカレンダー業界。

全国カレンダー出版協同組合連合会(JCAL)によると、現在流通している2021年カレンダーは、2020年2月時点の情報をもとに印刷されている。「予定どおり夏にオリンピックをやる」とされていた時期だ。当然、今回の祝日の変更は反映されていない。


通常、カレンダーの製造は2年前に始まり、1年前には印刷に取りかかるという。秋には書店や文房具店に並び始めるので、それも納得のスケジュール。

現在店頭で手に入る2021年の手帳、ダイアリー、カレンダーは変更に対応していないはずだ。筆者の手元にあるカレンダーも、すべて変更前のものだった。

家にあるカレンダーをめくってみて、7月、8月、10月を自分で直そう。スマホアプリなどのデジタルカレンダーはすでにアップデートで対応済みのものが多いようだ。


・オリンピックなかったら?

なお、オリンピックが再び延期や中止になった場合については言及されていない。オリンピックを延期しても「変更した祝日は据え置き」だった2020年の例をみると、そのまま残る可能性がある。国民生活の混乱を避ける意味でもその方がいいだろう。

繰り返すが、この措置は「2021年限定」の特例だ。翌年からは海の日(7月の第3月曜日)、山の日(8月11日)、スポーツの日(10月の第2月曜日)に戻る。まぎらわしいが間違えないように注意しよう。


参考リンク:内閣府首相官邸官報全国カレンダー出版協同組合連合会日本印刷新聞社
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.