はじめて出会った時のことは、決して忘れない。あの頃私(K.Masami)はまだ小学生だった。帰宅しランドセルをおろしたところで、テーブルの上に置いてあるクッキーのような食べものに気付く。
親の食べかけか、はたまた私のために皿に盛っておいてくれたのか。どちらにせよ目にしたからには、食べねばなるまい。気軽な気持ちでソレをかじったところ、冗談抜きに歯が折れるかと思ったよね。
もはや凶器になるレベルでかたいソレは、北九州の人にはお馴染み『くろがね堅パン』だったのだ。いまだに、アレ以上にかたい食べものはないと思っている。がしかし、大変良い勝負をする『かたやき』という伊賀名物があることを知る。これは、食べ比べずにおれようか……!!
・木槌付きのかたやき
『かたやき』は忍菓となどとも呼ばれるようで、かつて伊賀忍者が携帯した携行食・非常食が元であるとする話があるようだ。原料は小麦粉や砂糖など、とってもシンプル。青のりやゴマをトッピングしたものがスタンダードのようである。
商品によっては、小さな木槌が付いているところがポイントだ。木槌で叩かねば、とてもじゃないが食べられないということだろうか。なかなかやりおる……!
対する『くろがね堅パン』も小麦粉や砂糖を原料としており、つまり素材的には両製品に大きな違いはないことがわかる。おそらく製法に、それぞれのかたさの秘密があるのだろう。
・ゴリゴリにかたい「堅パン」
まずは記者にとって馴染み深い、堅パンから食べていこう。うむうむ……相変わらずかっっったいな!! 試しに『かたやき』の木槌で叩いてみると、4つに割れた。なるほど、この木槌はなかなかに便利ではないか。
破片を口に放り込み噛むと、ゴリゴリと、およそ食べものをかみ砕く音とは思えない音が出る。味は練乳を使用しているからか、ほんのり甘めだ。かたいが、ウマい。
・軽いがかたい「かたやき」
お次は『かたやき』だ。記者がこちらを口にするのは、はじめてのこと。恐る恐る口に入れると、こちらもかっっったいじゃないか!! 手にした感じは軽く、もっと優しいものかと思いきやトンデモナイ。
仕方がないので木槌を使い、叩き割る。素朴な優しい味わいで、上にかかっている青のりが良い働きをしている。こちらはこちらで、ウマし。
ともに驚くべきかたさで、歯が弱い方であれば即座にへし折られそうな勢いである。敢えてどちらがより、かたいかというと……大変難しいが、個人的には気持ち『堅パン』であるように思う。
というのも、これらには “厚み” という大きな違いがあるのだ。堅パンの方がかたやきよりも、ひと回りほど厚い。その分、さらにかたく感じたのではないかと考える。
それにしても、両方とも容赦ないかたさで、思わず笑いがこぼれるほどだ。冗談抜きに、心構えなく食べようとすると危ない。「これはカタい食べものだ」としっかり肝に銘じた上、機会があれば食べ比べてみてほしい。ただし、じゅうぶんに気を付けてくれよな!
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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▼三重の「かたやき」と北九州の「堅パン」どちらがかたいのか!?
▼ちなみに「かたやき」は税込540円、「堅パン」は280円で購入したぞ
▼「かたやき」も木槌がなければ、食べ辛いほどにかたいが……
▼分厚い「堅パン」のほうがかたいかな?
▼とは言え甲乙つけがたいかたさである