一生に一度あるかないか。2020年10月25日、そのような歴史的瞬間が訪れようとしている。秋華賞で無敗の三冠を達成したデアリングタクトに続き、これまた無敗での三冠達成に期待がかかるコントレイルが菊花賞に出走するのだ。
もし勝ったら2週連続で日本競馬の歴史に新たな1ページが刻まれる。菊花賞といえば「もっとも強い馬が勝つ」との言葉が有名だが、ド本命は言うまでもなくコントレイル。ここまで順調に来ている絶対王者に死角はあるのだろうか。
・史上8頭目の三冠馬へ
菊花賞の注目は皐月賞、日本ダービーの二冠を制して挑むコントレイルが史上8頭目の三冠馬になるのか。それに尽きる。ちなみに長い歴史の中で三冠を達成したのはセントライト、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン 、ディープインパクト、オルフェーヴル。いずれも歴史に名を残す名馬がズラリと揃う。
コントレイルはここまで6戦6勝で、秋初戦の神戸新聞杯を持ったままの楽勝劇。もし無敗のまま三冠を制したら史上3頭目の快挙で父・ディープインパクト以来15年ぶり。それに加えて親子揃っての三冠は史上初と記憶だけでなく記録にも残るレースとなる。では三冠達成はできるのか──答えはYESだ。
・ライバル不在
というのも、コントレイルの三冠達成を後押しするのがライバル不在の環境だ。半兄に昨年の菊花賞馬・ワールドプレミア(父ディープインパクト)を持つヴェルトライゼンデ、他にも春に人気を背負ったサトノフラッグなどが出走を予定しているが実力差は明らか。
そして何より春に激戦を繰り広げたサリオス(とはいっても皐月賞で半馬身差、ダービーでは3馬身差だが)が別路線へ進んだことでより三冠に近づいた。しかも、サリオスは毎日王冠で古馬を一蹴。改めて能力の高さを証明してみせたのだからもう答えは出ているだろう。
・粗探ししても問題なし
他に重箱の隅をつつくように粗探しをしても問題なし。長距離となれば血統が気になるところではあるものの、父・ディープインパクトは長距離ウイナーを数多く輩出しているし、不安はそこまでないと思われる。また、近年の菊花賞はスタミナというよりもスピード勝負。
コントレイルが2400メートルの舞台でスピードの違いを見せつけたことを考えると、これといって不安視する必要はないだろう。ましてやどの馬も淀の3000メートルは未知の領域である。もはや菊花賞でコントレイルが敗れる未来は考えられず、他馬が一矢報いるシーンなんてなさそうだ。
・不安ゼロ
あとは天候、枠順あたりが敵となる可能性はあるが、現時点で馬場が渋ることはなさそうで三冠への視界は良好。2枠3番に入ることも好材料。内枠に入った馬が好成績というデータさえも「どうぞ勝ってください」と言わんばかりである。
無事に3000メートルを走りきれば “ディープインパクト産駒の最高傑作” を証明する結果になるだろう。競馬に絶対はないだけに決して簡単なレースではないと思われるが、コントレイルであれば一生に一度あるかないかの光景を私たちに見せてくれるに違いない。