みんな、もうとっくの昔に忘れちまってるだろう。2014年に発売前からネット上で爆発的な話題となった山崎製パンの商品のことを。あるパンの一部だけを商品化した、アレだよ、アレ! 『メロンパンの皮 焼いちゃいました。』だよ! 当時、関西で先行発売されると聞いた私(佐藤)は新幹線に飛び乗ったのだが、その日に全国発売が発表されたのはいい思い出だ。何しに大阪に行ったんだ……。

そんなメロンパンの皮が、ひそかに進化して発売されていた! 私はとうの昔に別れた恋人とすれ違ったような衝撃を受け、思わず手に取り心の中で叫んだ! 「メロンパンの皮、会いたかったよ~!!」と。

・年々進化

さて、いつもの前口上はこれくらいにして……。本当に忘れてしまった人のために説明すると、この商品は2014年10月頃に、Twitterで商品が紹介されたことをきっかけに注目を集め、関西で先行発売されたものだ。「こんなの待ってた!」や「関西に引っ越したい」との声まで出ていたのだが、その後、本当に関西に引っ越した人がいるかは定かではない。


その翌年、2015年には『メロンパンの皮 焼いちゃいました。 2(ツー)』が発売されたが1(ワン)ほどは話題にならなかった。


さらにその翌年の2016年には、もう1段階進化した『メロンパンの皮 焼いちゃいました。 3(スリー)』が発売された。まるでドラゴンボールのスーパーサイヤ人のごとく、ここまでの3年間で2段階もパワーアップしたのだ。


年イチの進化に「オラ、ワクワクすっぞ!」となっていたのは、どうやら私だけで、1のインパクトが繰り返されることはなかった。私だけが注目していることに気付いた時、私の興味もそこで途絶え、その後に4(フォー)、5(ファイブ)と発売されていったかどうかは、確認できていない。


そして時は流れ……


・どうしたんだよ、皮?

2020年3月のある日のこと……、またまた立ち寄ったローソンのパンコーナーで……。見覚えのある顔(パッケージ)。これは!


別人のようになったメロンパンの皮が!?

どうした? 何があったんだーーーッ!!


何だかよくわからない源氏名(商品名)になっちまいやがって、なんだ? 『「メロンパンの皮 焼いちゃいました。に「チョコの山」のせちゃいました。』(税別151円)って何だよ? 会わない間にナニがあったんだ!!


・妄想会話

妄想癖のある私は、ついその商品名を見て、いらぬ妄想をかき立てられた。以下はメロンパンの皮と私の妄想会話の要約である


佐藤 「どうしたんだよ、そんなケバケバしい格好になりやがって」

 「ほっといてよ、あんたには関係ないでしょ」


佐藤 「関係あるよ! 昔はもっとけなげに自分の持ち味を生かして頑張ってたじゃないか」

 「フッ……」


佐藤 「鼻で笑うな。何があった!?」

 「アタイ、気づいたの。正直にやってたら、自分だけバカ見るんだなって」


佐藤 「そんなことないだろ。けなげに頑張ってたから、応援する人もいたんじゃないのか?」

 「応援? ふざけないでよ。デビュー前はみんなあんなにチヤホヤしてたのに、私なりに年々進化を続けたっていうのにさ。もう誰も見向きもしない。バカみたい。あんたもどうせバカだと思ってたんでしょ。だから、ほっといて」

佐藤 「皮ーーーッ!!」


・食べてみよう

という訳で、売れなくなったから、同じく山崎の商品「チョコの山」と合体したのかもしれない。ピンでは厳しいので、コンビを組んだと言ったところだろうか。開封してみると、見た目はほぼチョコの山である。持ち帰る際に、一部山が崩れてしまったのはご愛敬だ。


さて、食べるのに困った。チョコと皮を同時に口に入れるのは難しい。したがって、チョコの山を崩しつつ食べることになる。その結果……。


ただのメロンパンの皮になってしまった。合体した意味……


という訳で、『メロンパンの皮 焼いちゃいました。』は細々と進化を続けているので、あたたかく見守って欲しい。がんばれよ、皮!

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24