あなたはLINEの有料スタンプは使う方だろうか? アナログ世代の筆者はスタンプはおろか、LINE自体もほとんど使わないのだが、先日ネットをパトロールしていたらめちゃめちゃ面白いスタンプを見つけた。往年の名作『ベルサイユのばら』のスタンプだ。
知らない人はあまりいないと思うが、巨匠・池田理代子氏による、フランス革命時代を舞台にした歴史ラブロマンス漫画だ。イラストが美麗なのはもちろん、大げさすぎるくらいのドラマチックな表情は感情を表現するのにぴったり。しかも文字をカスタマイズできるカスタムスタンプなのだ。これたぶん、いろいろな使い方ができるぞ。例えば……
・スタンプ使用例
自分の職場に対する愛を叫ぶとか
ちょっぴり本音をぶちまけるとか
ライターの悲劇を表現するとか。
もちろんライターだけでなく、きっとサラリーマンでもいい感じに使えるぞ。
上司に遅刻の連絡をしたり
世の理不尽を嘆いたり
ライターとはまた違う悲劇を表現したり
おねだりしたり。
アントワネット、オスカル、アンドレときらびやかなメインキャラがスタンプを固める中、さりげなく存在感を放っているのがルイ16世だ。「わ…わたしだって……」の名シーン。
ご存知の方も多いだろうが、作中でアントワネットは王妃でありながらフェルゼンという青年貴族と恋に落ちる。夫であるルイ16世は、アントワネットとは対照的に地味で愚鈍で冴えない男性として描かれるのだが、実はとても誠実で愛情深い人なのだ。フェルゼンとの不貞を密告されたとき、それを知ってもなおアントワネットを愛していること、ふがいない自分を情けなく思っていることを独白するシーンだ。
ちなみに筆者は『ベルサイユのばら』も『オルフェウスの窓』も大好きで、ベルサイユやレーゲンスブルク(オルフェウスの舞台)で聖地巡礼をするほどガチなのだが、このシーンを選んでくれたことに感謝したい。ルイ16世の人間性を見事に表現している。
・カスタムスタンプの使い方
筆者も初めて使ったのだが、iPhoneの場合、文字を自由に変更できるカスタムスタンプの使い方は次の通り。まずは通常のようにスタンプを購入する。この時点で文字入れできるが、あくまで文字数やイメージを確認するためのもので、あとから何度でも変更できる。
購入後、トーク画面でスタンプを呼び出し、最下段までスクロールさせると「テキストを変更」というボタンが現れる。
スタンプショップに画面が遷移するので、テキストを入力する。何文字入れられるかはおそらくデザインによって異なり、『ベルサイユのばら』は6文字だ。その6文字が、デフォルトの文章に組み合わさって表示される。デザインの制約を受けるので、長文は入れられないと思った方がいいだろう。
文字入力画面を閉じて「テキストを変更する」をタップすれば新しい文面でスタンプがダウンロードされているはずだ。
現在のところ、それぞれのスタンプに個別のテキストを割り当てることはできないようだ。例えば「リンゴ」と入力すると全てのスタンプに「リンゴ」と入ってしまうので、違う文面にしたいときは同じ作業を繰り返す必要がある。
・未読の方はぜひ
今の時代の漫画と比べると、「ベルばら」の薔薇やら星やらを背負っているキラッキラの人物描写だったり、演劇のようなオーバーアクションだったりが、滑稽(こっけい)に見えることもあるかもしれない。それを逆手に取った、ちょっと笑える今回のLINEスタンプのような商品も多く、作者の池田理代子氏の度量の広さがある。
しかし、作品そのものは強いメッセージ性のある歴史大作なので、未読の方はぜひ読んでみて欲しい。涙なしには読めないし、人間とは……愛とは……と考えさせられる。昔読んだときには、アントワネットの一番の味方であったはずのオスカルの終盤の行動が全く理解できなかったが、大人になった今なら少しわかる気がする。久しぶりに再読するのもいいぞ。「ベルばら」が面白かったら『オルフェウスの窓』も間違いなくイケるはずなので、ぜひどうぞ!
参考リンク:LINE STORE、池田理代子オフィシャルサイト
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:LINE(iOS)