安宿の沈没者──そう言われて、あなたはどういう人たちか想像がつくだろうか? なんとなくイメージがわくかもしれないが、いちおう説明しておこう。これは、「安宿に長期滞在している人」を指す。

そんな沈没者の何人かと私は出会ったことがあり、今でも時折思い出さずにはいられない。なぜなら……特徴ありまくりだったからだ。誰かに語りたくて仕方がない……! というわけで、今回 “あるある” という形で紹介したいと思う。私が20年前にインドで見た沈没者たちについて。

・あくまで「私が見た人たち」

本題に行く前に、1つ言っておきたいことがある。タイトルにある通り、これはあくまでも「私が見た人たち」の話であり、沈没者全員に当てはまるものではないってこと。そもそも、沈没者といっても人によってさまざまで、ひとくくりに出来ない部分が多い。国籍はさまざまで、性格もバラバラ。

私が見た範囲でも、他の旅行者に親切な人がいた一方で、海外旅行初心者への説教が趣味になっている人、何かにつけて「お前が未熟だからボラれるんだ」と怒りをぶちまけるのが好きな人、酷い場合は詐欺に加担している人……ほんとうに色々な沈没者がいた

だから共通の特徴を挙げるのは難しいのだが、私が昔の記憶を辿りながら「大体こんな感じだった」という印象をまとめたのが以下の30項目。ただし何度も言うが、沈没者のすべてが当てはまるわけではない。なおかつ20年前の話なので、今はどうなっているのかわからない。

なので、「ふ〜ん、昔のインドにはこんな沈没者がいたのね」くらいの軽〜い気持ちで見ていただければ幸いだ。それでは、どうぞ〜。


【私が20年前のインドで見た「安宿で沈没している人」の特徴30連発】

1. 「母国へ帰る気はない」って言いがち
2. やがて「どこかへ行きたい」ってことを一切言わなくなりがち
3. 一日を無為に過ごしがち
4. 宿周辺の定食屋情報に精通しがち
5. 宿の亭主と熟年夫婦のような関係を築きがち
6. 宿に新しく来た宿泊者にとっては、不気味な存在に映りがち
7. 「平和主義者なのか、旅慣れた人なのか、攻撃的な人なのか謎」だと思われがち
8. 「現地の人と仲が良いのかそれとも煙たがられているのかが謎」だとも思われがち
9. 「そもそも母国へ帰れるのか?」と心配されがち
10. そんな心配をよそに、本人は「ファミリー」「ピース」「ラブ」「エンジョイ」って言葉ですべてを解決できると思いがち
11. 現地の人しか分からない方言を覚えがち
12. ケルアックかギンズバーグの本、持ちがち
13. ウィリアム・バロウズとかアンディー・ウォーホールとかを崇拝しがち
14. 60年代の文化について話を始めたら、止まらなくなりがち
15. そんなことを喋っている時の息が、周囲から「ガンジャ臭い」と思われがち
16. そもそも衣服からして、ガンジャの匂い漂いがち
17. 明らかにクロな行為でも、グレーゾーンとポジティブに解釈しがち
18. 滞在しているエリア内にいる “ボッタクろうとするヤツ” の顔を全員覚えがち
19. “ボッタクろうとするヤツ” を蛇蝎(だかつ)のごとく嫌いがち
20. “ボッタクらないヤツ” とは長期的な信頼関係を築きがち
21. と思いきや、実はそいつが今まで “ボッタくってた” と判明して激怒しがち
22. とにかく、ガンジャを安く買う方法に精通しがち
23. ハシシを安く買う方法にも精通しがち
24. そういう系のパーティー、開きがち
25. パーティー時は、普段の無気力さがウソのようにエンジョイしがち
26. パーティーが終わったら「3」の状態に戻りがち
27. 急に落ちるから、周囲が心配しがち
28. 誰かが “安く買える方法” を教えたら元気を取り戻しがち
29. パーティー、アゲイン
30. 「29」と「3」を何度か繰り返したのち、現地で “ビジネス” はじめがち

参考リンク:Wikipedia「ガンジャ」
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.