ロケットニュース24

【暴走】ディズニーマニアがキャストしか入れない「サンクスデー」に潜入した結果…

2020年1月17日

1年に1度だけ「東京ディズニーリゾート」では特別なプログラムが開催される。どれほどディズニーを愛していても、どれだけ東京ディズニーリゾートに足を運ぼうと “選ばれし者” しか入場できない特別な数時間……。それが『サンクスデー』である。

超ざっくり『サンクスデー』を説明すると、この日入場できるのは東京ディズニーリゾートで働くキャストたちだけ。社員がキャスト(準社員・アルバイト)をもてなし、日頃の感謝の気持ちを伝えるディズニー魂全開の特別プログラムである。その『サンクスデー』にディズニーマニアと潜入することになったのだが、やはり “ヤツ” の暴走は止まらなかった……。

・ディズニーマニアがサンクスデーへ

1992年に「準社員感謝デー」として開始されたサンクスデー。途中で名称を変更し、今年で21回目の開催となる。冒頭でもお伝えした通り、基本的には関係者しか入場できない特別プログラムに、なぜかディズニーマニア・田代大一朗も取材で招待されたという。

ウォルト・ディズニーのことを敬愛の念を込めて「ウォルト」と呼び、また将来的には「ミッキーマウスになりたいです☆」と本気で口にする田代(年齢不詳)。田代のディズニー愛が暴走し、関係者に迷惑をかけてしまう可能性も決して低くないので、念のため私(P.K.サンジュン)も同行することにした。

さて、やってきたのは夜の東京ディズニーシーである。サンクスデーは閉園後のパークで開催され、その対象は2万4000人に及ぶという。というか、東京ディズニーリゾートで働いている人ってそんなにいるのか……。2万4000人とは、ちょっとした市町村ではないか。


「僕もサンクスデーに来るのは初めてです! あー、ワクワクするなぁ~!! だって素晴らしいと思いませんか? ディズニーを愛するキャストさんたちに、ディズニーを愛する社員さんたちが感謝の気持ちを伝えるんですよ? 舞浜がハピネスで溢れかえっちゃいますよね!」


「よね」と言われても知らないが、確かに開園を待つ私服姿の集団が「全員キャスト」だと思うとなかなかスゴイ。しかも開園を待つその表情は “この日に賭けてる感” が尋常ではないように見えた。サンクスデーとはそこまでビッグなイベントなのだろうか。


「それはそうですよ! いつもおもてなしする側のキャストさんたちが、この日だけおもてなしされる側になるんですから。この日だけの特別なショーや特別なフードもあるそうですが、それ以上に “キャストさんは全員が超1流のディズニーマニア” だってことを忘れちゃダメですよ☆」


確かに──。適当にアルバイトを探していて、たまたまディズニーで働いているキャストなど滅多にいないハズ。彼ら、彼女たちは「ディズニーが大好きだから」ここで働いているのだ。そう思うと、開園を待つ彼らの異常な熱気もわかる気がする。

そして始まったサンクスデー。満面の笑みを浮かべたキャストさんたちが、続々と東京ディズニーシーに吸い込まれていく。そのキャストさんたちに、なぜか全開で手を振り続けるディズニーマニア。ヤツのエンジンが早くも火を噴く寸前である。

果たしてディズニーマニアはどうなってしまうのか? 数々の名言(?)が飛び出したサンクスデーの様子は続きは2ページ目へ急げ!

参考リンク:東京ディズニーリゾート
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

【暴走】ディズニーマニアがキャストしか入れない「サンクスデー」に潜入した結果…(2ページ目)

・ディズニーマニア、いきなり感動

ついに幕を開けた東京ディズニーリゾートの年に1度の特別プログラム、サンクスデー。まず立ち寄ったギフトショップ「ヴァレンティーナズ・スウィート」で、ディズニーマニアに異変が起きた

ごった返す店内のお客さんは、普段は全員がキャストさん。だがこの日はレジを含めた店内の接客を、全て社員さんたちが行っている。当日限りの「お菓子つかみどりサービス」なども行われていたが、その様子を見ていたディズニーマニアがなぜか口を開こうとしない。


──あれ? 田代さん、どうかしました?

「いや……自分……胸がいっぱいで……」

──え?

「さっき “これが今日初めてのレジ打ちなんです” と言っていた社員さんがいたんです。慣れない手つきで一生懸命レジ打ちをしていました。精一杯キャストをもてなしたい気持ちがそれだけでも伝わってきて……自分……!」

──いやいやいや。レジができて然るべきでしょ。上司たるもの現場仕事もある程度はできなきゃ。

「それを見守るキャストさんたちの表情もまた優しかったんです。もてなしたいピュアな気持ちと、それを見守るピュアな気持ち……。なんて温かいんだ……。この瞬間に立ち会えただけでも来てよかったと思いました」

──まだ5分ですよ? あと僕の話聞いてます?


・ディズニーマニアが気付いたこと

ディズニーマニアの感受性、恐るべし。その後、オリエンタルランドの上西社長や加賀見会長の挨拶を含めたセレモニーが催され、ミッキーやミニーも登場。ひとしきり盛り上がったところで、園内の散策を開始した。そこで私は “ある事実” に気付いてしまったのだ。


──確認になりますけど、今日ここにいる人たちって全員がキャストさんなんですよね?

「はい、そうですよ☆」

──つーか、さっき明らかなおっさんが1人で歩いてましたよ? あの人もキャストさんなのかな?

ディズニーの仕事は幅広いですからね。アトラクションのアテンドだけではなく、乗り物や設備の整備、パークで販売するスイーツやパンの調理、またキャストさんたちの衣装を管理する仕事などもあるんですよ」

──なるほど……。でもミニーのカチューシャをみんなで付けて写真を撮る女の子のグループとか、普段見かけるお客さんそのまんまですね。さっきは、爆買いしてるアジア系のおばさんみたいな集団もいましたよ。

「あ、そうか、そういうことか……!」

──はい?

「確かにサンジュンさんが言うように、一般のお客さんのように見えるかもしれません。そして実際にみんな “普通の人” という顔も持っているのでしょう。ただ……」

──ただ?

「ただ、キャストとしてその日の仕事を始める瞬間、つまりゲストに笑顔になってもらおうと心から願った瞬間に魔法がかかるんですよ! これは大発見だ!!」

──え?

「さっき、加賀見会長が仰ってましたよね? どれだけいいハード(設備)を整えても、ソフト(接客)が伴わなければどうしようもない、って。上質なハードに命を吹き込むのは上質なソフト、つまりディズニーを愛するキャストさんたちです。そのキャストさんたちには魔法がかかっていたんです!」

──ちょっと魔法のくだりがわかりません。


何をきっかけに暴走が始まるかわらかないディズニーマニアと共に、園内の散策は続く。やはりと言うべきか、同じアトラクションで働くキャストさんたちはグループとして一緒に来園しているケースが多いようで、当然のように普段自分が働いているアトラクションやショップに足を運んでいた。

またこの日、園内には特別な音楽が流れており、例えば以前のショーで使用された音楽がかかり始めると、普段はダンサーだと思われる集団(もちろん遊びに来てるだけ)が突然踊りだしたりもしていた。無邪気なまでの自由さ──。完全にロサンジェルスである。

それを見守るディズニーマニア・田代は、いよいよ感極まりつつあった。田代がこの日最大の暴走を起こしたのは、人気アトラクション「トイ・ストーリー・マニア」を訪れたときのこと。ただでさえ常人には理解しがたい田代の言動に “スピリチュアル的な要素” が加わったから手が付けられない。

ディズニーマニアのスピリチュアル発言とは? そこにいたという伝説の人物とは? またディズニーマニアがショックを受けた私の何気ない一言とは? ディズニーマニアの大暴走は最終ページを見届けろ!

参考リンク:東京ディズニーリゾート
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

【暴走】ディズニーマニアがキャストしか入れない「サンクスデー」に潜入した結果…(最終ページ)

・ディズニーマニア、目撃する

普段はゲストをおもてなしする側のキャストさんたちであるが、わざわざ東京ディズニーリゾートで働いているだけあって、ゲストとしてのポテンシャルも非常に高い。簡単に言うと楽しむのが上手、もっと簡単に言うと超ノリノリなのである。

それが如実に表れていたのだが、大人気アトラクション「トイ・ストーリー・マニア」での風景。エリア内に設置されたミスター・ポテトヘッドとキャストさんたちの会話が、目にしたことがないレベルでメチャメチャ盛り上がっていたのだ。

ポテトヘッドのトークに対し「こんばんはー!」「なーにー?」……などなど、ノリノリでアンサーするオーディエンスたち。また、その風景を見守る社員さんたちも実に幸せそうであった。ハッピーオーラがあふれる中、私が感じたのは寒気──。目をやるとそこには、唇をわななかせる田代が立っていた。


「これですよ……これ……。この風景……」

──ん? どうかしました?

「みんななんて幸せそうなんだ……」

──確かに楽しそうですよね。やっぱり楽しむコツを知ってるんですね。

「この空間にあるのは愛だけです。普段がんばってくれているキャストさんたちに楽しんでもらいたいという社員さんたちの愛、その気持ちに全力で応えようとするキャストさんたちの愛。そしてディズニーが好きでたまらないというみんなの愛。これこそ、これこそ……」

──これこそ?

これこそウォルトが目指した世界ですよ! サンジュンさん!! 間違いなく今日この場にウォルトが来てますよね!」

──よね、って言われても……。

「僕にはわかります。いや、感じます。園内の至るところで、幸せそうなキャストさんたちを見守るウォルトの存在を。微笑んでいます、幸せそうに微笑むウォルトがそこらじゅうにいます」

──シックスセンスが開いちゃったかな?


・ディズニーマニア、反省する

そこにウォルト・ディズニーがいたかどうかは定かではないが、田代いわくこの日の光景は「ウォルトが目指した世界」であったようだ。確かに誰もが東京ディズニーリゾートを目一杯楽しもうとしていたし、実際に楽しんでいたことだろう。だって、1年に1度のサンクスデーだもの。

また、もてなす側の社員さんが馴れ馴れしく接客する光景が1度もなかったことも印象的であった。その挙動は、普段ゲストをもてなすキャストさんたちを同じで、親切丁寧そのもの。社員だからと偉そうにしている人は皆無で、この日のコンセプトである「感謝の気持ち」を体現していた。

帰り際、あまりのハッピーオーラに私まで感化されたのだろうか、田代にふと問いかけた。その何気ない一言がディズニーマニアにショックを与えてしまうとも知らずに


──でもアレですね。さっきは普通のおっさんとか、普通のお客さんに見えるっていったじゃないですか?

「はい」

──もちろん今も普通の人に見えるんですけど、この人たち全員がキャストさんだってわかってると、他人って感じがしないから不思議ですね。

「……サ、サンジュンさん」

──はい?

「なんて美しい発見なんだ。そう、全員他人であるもんか。もしかしたら、そこにいるのは僕が食べたパンを焼いてくれた職人さんかもしれないし、僕が乗ったアトラクションをメンテナンスする整備士さんかもしれない」

──まあ、その可能性もありますよね。

「なのに僕ときたら……!」

──え?

「今日すれ違った全員に感謝の気持ちを持てていたでしょうか? 風景として見過ごしてしまっていないでしょうか? 僕はディズニーマニア失格です!」

──いやいやいや。それはさすがにストイックにもほどがあ……

「そしてサンジュンさん!」

──は、はい!

「サンジュンさんこそ真のディズニーマニアです!」

──それは違います。


というわけで、個人的に「サンクスデー」は「普段の東京ディズニーリゾートよりも感謝の気持ちがマシマシのハッピーイベント」と感じた次第だ。それもそのハズ、話を聞いたキャストさんの1人が言っていた。「夢がかなう場所」それが東京ディズニーリゾートなのだと──。


※ おまけ ※


──田代さん、田代さん。2時間くらい経ちましたけど、いい加減寒くないんですか? ずっとヒートテックとYシャツ1枚ですよね? てか、今日の最低気温6度ですよ?

「全然大丈夫です。というか、むしろ温かいくらいなんです。普段なら凍え死んでもおかしくない気候ですが、みんなの幸せな気持ちが伝わってきて体の芯からポカポカしてるんです☆」

──くちびる真っ青ですけどね。


──完──


参考リンク:東京ディズニーリゾート
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼とてもとても楽しいんですが、ディズニーマニアと一緒だと超カロリー使います。

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