生まれてはじめて映画館で見た作品は『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』。峰不二子のような女になりたくて、香水はシャネルの5番を愛用する日々。もちろん初恋の相手はルパン三世だ。そんな記者が、どれだけこの日を待ちわびていたか……。
ルパンシリーズ初となる、フル3DCG長編アニメ『ルパン三世 THE FIRST』が2019年12月6日より公開されたのだ。はやる気持ちを抑えながら見たところ、史上最高にイケてるルパンを拝むことができた。コレはヤバい。隠れていたルパンの魅力に、みんなが気付いちゃう!!
・3DCGの力が素晴らしい
『ルパン三世 THE FIRST』は3DCGアニメということもあり、上映前から賛否両論あった。個人的には2Dだろうが3Dだろうが、そこにルパンが居てくれるのであれば、何ら問題はない。しかし、違和感を覚えた人もいるという。その気持ち、わからなくもない。
実際に目にしてみた感想は「2Dよりルパンがカッコいい!!」ということだ。立体感があり、動きが滑らか。スクリーンの中に引き込まれ、スピード感も抜群だ。要所要所でルパン一味がポージングを取る様も、めちゃめちゃイケている。
アニメでありながら、まるでルパンたちがリアルに生きているかのよう。思わず、スクリーンの中のルパンに「私も連れてって。泥棒はまだできないけど、きっと覚えます」と語りかけたくなるから不思議だ。これが3Dの力か……!
・宮崎駿版ルパンが好きな人にオススメ
さてここで、ざっと『ルパン三世 THE FIRST』のあらすじをお伝えしよう。今回のお宝は、かのルパン一世も狙っていたという “ブレッソン・ダイアリー” 。謎を解いた者は莫大な富を手にすることができるとされ、第二次世界大戦中にはナチスがその行方を追い求めたという。
ルパン一味や本作のヒロイン・レティシア、そして彼女の育ての親を名乗るランベールと謎の男ゲラルトたちが、この宝をめぐり争奪を繰り広げるのだ。本作を通じて最も強く感じたことは、『カリオストロの城』色が強いということ。
ルパンが優しすぎるところや、不二子ちゃんのお色気シーンが少ないこと。登場人物たちのセリフや行動、それらすべてが宮崎駿版ルパンに通じるところがある。2019年はカリオストロが公開されて40周年であるが、そのあたりも意識されているのだろうか。とにもかくにも、宮崎駿版ルパンが好みである人には、激しくオススメできる。
・4DXは迫力抜群
本作を見るにあたり、個人的に失敗したなと思ったことがひとつだけある。せっかくの3DCGアニメなので、3D上映を見るに限るだろうと、わざわざ前日に4DXの予約を取った記者。4DXといえば、視覚だけに頼らず五感に訴えて上映する方法だ。
となれば、当然3Dで見られるものと思っていたのだが、なんと2D4DXだったのだ。とは言え、4DXで見る同作の臨場感はいうまでもなくキレッキレ。あちらこちらに仕掛けがあり、迫力抜群だ。機会があれば、4DXで見てみると良いだろう。
ポスターにもなっている、ルパンのビジュアル。シルクハットとステッキを携えたルパンの、その姿の意味が理解できるシーンは特に4DXで見る価値アリだ。アクションシーンなのだが、本作イチの見せどころだと言っても過言ではないだろう。
・ありがとうモンキー・パンチさん
惜しむらくは、この作品をモンキー・パンチさんに見ていただけなかったことか。彼が3DCGを楽しみにしていたことは、生前のコメントより明らかになっている。きっと制作陣も、同じ気持ちだったのだろう。
作品を見ると、モンキー・パンチさんに対する敬意の念が込められていることが良くわかる。特にエンドロールに注目だ。いやはや、今こうして私たちがルパン作品を楽しむことができるのも、すべてはモンキー・パンチさんのおかげ。改めてご冥福をお祈りいたします。
まあ正直なところ、『ルパン三世 THE FIRST』は往年のルパンファンにとってみれば、いまひとつ物足りない気がしない……ではない。とは言え、本作は多くの人に長く愛される作品のひとつになったことは確実。
3DCGアニメということもあり、新たなルパン像がここに作り上げられたと言えるだろう。だまされたと思って、あなたも見てみるといいだろう。見た上で「思ってたんとちゃう!」「想像以上に素晴らしい作品じゃないか」なんて言わないでね。だって、裏切りは女のアクセサリーでしょ?
参考リンク: ルパン三世 THE FIRST
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
▼お帰りルパン。待ってたよ~!