オリーブオイルはひと昔前は「ちょっと珍しい調味料」というイメージだったが、2019年のいま日本ではすっかり定番化したように感じる。ありがとう、速水もこみち。
さて日本では珍しさもなくなったオリーブオイルだが、本当に私たちはオリーブオイルのことを知っているのだろうか。先日、あるドキュメンタリー映画を試写して、私は初めて「世界一のオリーブオイル」の存在を知った。さっそくサンプルを取り寄せて食べてみたところ衝撃どころの話ではなかった!
一口食べた瞬間、「今までの食べていたオリーブオイルは何だったのか!? 別の液体か!?」と思うほど全くの別物。美味しすぎてグビグビと飲めるレベルだったのだ。
・世界一のオリーブオイル『ピクアル種』のエキストラバージン
今回、試食してみたのはスペインのアンダルシア州ハエン県にある「カスティージョ・デ・カネナ社」のエキストラバージン・オリーブオイル『ファミリーレゼルブ・ピクアル』。ピクアル種と呼ばれるオリーブを搾ったオイルだ。こちらはオリーブオイルのミシュランと呼ばれる『FLOS OLEI(フロスオレイ) 2020』で史上初の100点満点を獲得! 名実ともに「世界一」となったのだ。
期待しながら開封した瞬間……思わず「うわぁ!」と声をあげてしまった! 新鮮な生の果実のような香りがしたのだ。目を閉じれば青空の下の青々としたオリーブの木が思い浮かぶほど。油っぽい香りはない、そこには果実があった。
キラキラと輝くオイルはまるで黄金のようだ。ひとくち飲んでみると……
これがオイル!? サラッとして喉ごしがよく、何より野性的な香りがすばらしい。風や草原の匂いだ。食べ物にたとえるなら酸味がないトマトジュースである。
・他のオリーブオイルと全然違う
比較のためにスーパーで売っていた「エキストラ・バージン」を飲んでみたが、う~ん……本当に同じ“オリーブオイル”? サラダ油に香りづけをした液体のように感じてしまった。
高いグレードのオリーブオイルを知る人から「日本で売っているオリーブオイルは本物とは言えない」と聞いたことがある。そのときは「何煽ってるんだよ」と冷ややかな目で見ていたが、たしかにそう言いたくなるほど鮮度が違う。これが世界一のチカラなのか!
・おいしい秘密 / ソコソコの品質を大量生産 → 品質重視への大革命!
どうやったらこんなに美味しいオリーブオイルが作れるのだろうか? 12月6日から公開の映画『エキストラ・バージン〜世界一のオリーブオイル〜』によると、カネナ社を含むハエン県の生産者たちの間である「大革命」が起きたからだという。それは「時期を限定した早摘み」だ。従来より1~2カ月早く、そして実が若い数日の間に一気収穫することでこの極上のオリーブオイルが誕生したのだそうだ。
詳しくは映画でご覧いただけるが、昔からオリーブの収穫は12月以降という習わしがあり、その慣習を打ち砕くのは並大抵のことではなかったという。今の形になるまで10年20年と長い時間がかかったそうだ。従来の大量生産から品質重視へ。これまでのやり方に甘んじず、オリーブのポテンシャルを信じた生産者たちの努力が「世界一」への鍵だった。
過渡期の苦労を思うと泣けてくる……でも、諦めずによく作ってくださった! あまりの美味しさに生産者に感謝を伝えたいくらいである。
・日本でも買えるよ!
さてそんな世界一のオリーブオイルだが、日本でもお店やネットで買えるぞ!
こんな重厚な裏話を知ったあとでは「さぞお高いんでしょ~?」と思ったが調べたところ、カネナ社の『ファミリーレゼルブ・ピクアル』は250ml入りが2160円(税込)、500mlで3888円(税込)と、スーパーなどで見かけるオリーブオイルより高値ではあるが、手の届かないものではない。正直、万単位かと思っていたので拍子抜けした。
もしあなたが、この世界一のオリーブオイルが気になったならぜひ映画もご覧いただきたい。背景を知ることで、より美味しさを噛みしめることができるだろう。
参考リンク:映画『エキストラ・バージン〜世界一のオリーブオイル〜』公式サイト、オリーブオイルソムリエの店 GRANCHER
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.
▼こちらがそのオリーブオイルだ!(試食用なので製品版とはボトルが異なります)
▼カスティージョ・デ・カネナ社の
▼ピクアル!
▼パンにつけてよし!
▼チーズに合わせてよし! オイルの香りが素晴らしいのでタンパクな味の食材と合わせると良さげである
▼市販版のボトルはこんな感じ
▼あまりの美味しさに私のなかでも革命が起きました。出会えてよかった
▼映画の予告編。12月6日~YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開予定
▼公開初日には鑑賞&オリーブオイルの試飲会も行われるそうだ! 世界一の味が気になる人にはオススメのイベントである