2019年10月4日に公開される、映画『ジョーカー』の前評判が異常に高い。ヴェネツィア国際映画祭で先行上映された際には、多くの映画評論家たちが『ジョーカー』を大絶賛。早くも「アカデミー賞間違いなし」との声も挙がっている。
アメコミ大好き、もちろんジョーカーも大好きな私、P.K.サンジュンも、早い段階から今作に目を付けていたのだが……。先日行われたマスコミ試写会で『ジョーカー』を鑑賞し終えた私は率直にこう思った。「ツライ、ツラすぎる。こんなに救いようがない映画は滅多にない」と──。
・ジョーカーとは
最初に宣言しておこう。この記事にネタバレは含まれていない。ストーリーについても触れていくつもりだが、全て予告編動画などで触れられている範囲内なので、安心してご覧いただければ幸いだ。
さて、まずは念のため「ジョーカー」そのものをご存じない方のために、ジョーカーのキャラクターを簡単に説明しておきたい。ジョーカーはバットマンの宿敵で、アメコミ界屈指の人気を誇る “悪のカリスマ” 的な存在だ。
ジョーカーは超人的な能力を有しておらず、武力的に言えば「弱い」と言って差し支えない。ジョーカーの武器は狂気。理解不能で常軌を逸しまくったジョーカーにとっては、殺人でさえもジョークである。何をしでかすかわからない最悪のサイコパス、それがジョーカーだ。
・理不尽な仕打ちの数々
コミックのジョーカーでは、その正体は不明とされているが(というか諸説ある)、今作ではアーサー・フレックを「ホアキン・フェニックス」が演じている。ストーリーはズバリ「アーサーがなぜジョーカーに変貌したのか?」だ。
ややエキセントリックなところもあるものの、確実に優しい心も持ち合わせているコメディアンのアーサー。だがしかし、時代なのか運命なのか、アーサーには数々の試練が待ち受けている。
1つだけでもトラウマになってしまいそうなド級の困難が、矢継ぎ早にアーサーを襲う、つまり “襲い続ける” のだが、ハッキリ言って途中から観るのがツラすぎた。あまりにも理不尽な仕打ちの数々に、私は実際に目を閉じ耳をふさいだ。一言、観るに堪えない。
役作りのために24キロも減量したというホアキン・フェニックスは、見事に歪んでいくアーサーを演じきっている。だがそれだけにアーサーが可哀想で可哀想で仕方なくなり、とんでもなく暗い気持ちになることは覚悟しておいた方がイイ。
・ある意味で最悪の結末
これがバットマンだとしよう。どんな困難があろうとも、どんな理不尽な仕打ちを受けようとも、最終的には正義になるから観客は救われるのだ。だがジョーカーは悪役。「あの困難もいま思えば良かったのかもね」とはとても思えない。だって、最終的に悪になってしまうのだから。
脚本や世界観は素晴らしく、そしてホアキン・フェニックス演じるジョーカーは、まさに怪演である。最高傑作との呼び声が高い「ダークナイト」のヒース・レジャー演じるジョーカーとは単純に比べられないが、ホアキン・ジョーカーにも圧倒されることは間違いないハズだ。
結論からいうと、私は多くの人に映画『ジョーカー』をご覧になっていただきたいと思っている。思っているが、観終えた後「おもしろかったね~」なんて軽々しく言える映画ではないということだけは、きっちりお伝えしておきたい。しつこいようだが『ジョーカー』は、どこまでも救いようがない作品である。
私は映画評論家ではないから『ジョーカー』がアカデミー賞を獲得するかはわからない。ただいつか『ジョーカー』を思い出したとき「あれはスゴかったな……」と心に残る作品ではあるハズだ。それだけに「前評判高いから観に行ってみるか~」なんて意見を目にすると、やや違和感を覚えることも事実である。
参考リンク:映画「ジョーカー」公式サイト
Report:P.K.サンジュン
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▼予告編を見直してもツライ……!