犬と比較すると、猫はそっけないとか、ツレないとか。そういうイメージって、それなりにあるかと思います。確かに猫ってちょっとクールな感じしますよね。まあたまに、めちゃくちゃ甘えてる動画とかをSNSで見かけますが。

それはともかく、クールなイメージのわりに、猫と飼い主の間の絆は、犬なんかのそれと同じくらい強固である可能性が出てきました。まあ行動的には、やっぱりちょっとそっけないというか、クールなんですけどね。ツンデレ……いや、クーデレというヤツでしょうか。

・愛着行動

2019年9月23日付けで、CurrentBiologyに論文が掲載されています。これによると、親密さを表す愛着行動を調べるテストで、人間や犬に対しては行われていたものの、どういうわけか猫には行われていなかったものを猫にも実施したのだそう。

その結果、犬などと同じくらい、猫も飼い主のことを想っている可能性が示されました。実験に参加したのは約80匹のさまざまな年齢の猫と、その飼い主たちで、テストの方法は以下のとおり。


1. 見知らぬ部屋で飼い主と共に2分過ごす

2. その後飼い主は部屋を出て、猫は2分間置き去りにされる

3. 戻ってきた飼い主と2分間過ごし、猫の反応をチェック


同じテストにおいて、人間や犬の場合、保護者や飼い主との間にしっかりとした絆ができていれば、彼らが戻ってきたのを見てすぐに安心します。逆に絆ができていない場合は、過剰に甘えたり、あるいは距離をとったりするそう。過剰な甘えや距離をとるのは、彼らがストレスを感じていることを示すのだとか。


・行動はともかく

テストしてみると、猫の場合も同様の結果が出たそう。しっかりと絆ができている猫の場合、とりあえず飼い主が帰ってきたことを確認(ちょっと近寄ってきて、飼い主に撫でさせたりします)。そうして安心すると、飼い主が撫でていてもスルーして部屋の探索に出かけます。

イマイチ絆ができていない猫の場合、膝の上に座り込んで全くどかなくなるなど過剰に甘えたり、あるいは部屋の隅にじっとして動かないまま飼い主から距離をとるようです。CurrentBiologyの方では、論文の終盤に各反応をまとめた動画もあるので、気になる方は見てみてください。

んー、過剰に甘えてくるほうが懐いてる猫な気がしていましたが、そうでもなかったみたいですね。むしろ少しあっさりめな感じの方が、猫の場合は信頼関係ができていると言えるみたいです。

あれ? じゃあめちゃくちゃ甘えてくる猫たちって、もしかしてちょっと不安を抱えてる系だったのでしょうか? しかし、これはあくまでも「猫にとって未知の環境」におかれた時の行動。住み慣れた家での行動とは単純に比較できませんね。

いやでも猫を飼っていたら、ちょっと知らないところに連れて行ってチェックしたくなりそう……。やってみた結果、絆ができていないパターンが出てショックを受けてしまう可能性も……。「好奇心は猫を殺す」ならぬ、飼い主(の心を)を殺す

まあ絆ができていても、自分が満足すると飼い主をスルーするところは、そっけなさを感じざるを得ません。でも内心では安心して、飼い主の存在を意識しながら探索に戻っているようす。ちゃんと内心では飼い主のことを想っているのでしょう。たぶん。

また興味深いことに、別の研究で人間の赤ん坊に対して行われたテストでは保護者との間に絆ができていた割合はおよそ65%だったそうですが、今回の猫の場合もおよそ65%だったとか。ちなみに犬のときは58%。

個人的にはむしろ、この結果にちょっとソワソワしますね。だってこれ、人間の大人がそれぞれの対象と絆を結べている割合を示しているようなものじゃないですか。それがすべからく60%前後。他者と絆を結べる人間の大人の割合がこれくらい……なんてことはないですよね? 怖いなぁ。

参照元:CurrentBiology
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.