突然だが、読者の皆さんの願いは何だろうか。「長生き」や「世界平和」など様々だと思うが、筆者の願いは「家系ラーメンを食べられるお店の増加」である。家系中毒者はいつ禁断症状に見舞われるかわからない。補給地点が多いに越したことはないのだ。
こってりインフラの整備がよりいっそう進むことを願っていたところに、朗報が飛び込んできた。なんとあのかっぱ寿司が家系ラーメンを始めるらしい。しかもトッピングが他の家系とは一線を画しているのだとか。飢えた筆者はその新メニューの先行試食会に前傾姿勢で急行した。
・寿司屋の家系ラーメン
人気サイドメニューであるラーメンに着目し、これまでも “本格ラーメンシリーズ” を実施してきたかっぱ寿司。
第1弾から第6弾までの累計販売数は440万食を突破し、今回の第7弾では満を持して家系ラーメンを提供する形だ。実施は9月13日からで、価格は税抜390円となっている。
家系の有名店「吉祥寺 武蔵家」の監修のもと、店主の方の許可が得られるまで何度も改良を重ね、約半年の期間を費やしたのだという。もはや短期弟子入りである。良い意味で寿司屋のやることではない。
個人的にはその情熱に称賛を送りたいが、とはいえやはり、実際に食べてみないことには始まらない。
運ばれてきたラーメンにはチャーシュー、海苔、ほうれん草と各種具材が備わっており、見た目は完全に家系だが……果たして味の方はどうなのか。ライターのはしくれとして、そして1人の家系好きとして、持ちうる限りの情感をもってお伝えしていきたいところだ。
麺を箸で持ち上げ、いざ実食。
…………。
…………。
…………。
ウマっ。
メチャクチャ普通のリアクションをしてしまったが、説明させてほしい。あまりに違和感がなさすぎるのだ。見た目だけでなく味の方も完全に家系すぎて、普段ラーメン屋で食べている時の素のテンションがひょっこりと顔を出してしまった。
とろみのある濃厚な豚骨醤油の風味が口に広がり、脳の中のこってり野(や)をしっかりと刺激してくる。紛れもない家系のパンチ力は、いま食べているものがかっぱ寿司のメニューであることを忘れさせるほどだ。
スープの表面に浮かぶ鶏油(チーユ)は、豚骨とのバランスを考慮したうえで1食ずつ配合しているとのことで、そういったこだわりも高い再現度につながっているのだろう。
加えて、スープと相性抜群の麺も美味しさを盛り上げてくれている。かっぱ寿司で通常使っているものより太い、家系特有の中太麺を採用しているあたり抜かりはない。つるりとしたモチモチの食感が次の1口、また次の1口を触発する。
ラーメン屋のものと遜色のない一品。これだけでも驚かされたが、特筆すべきはここからだ。家系の醍醐味として、トッピングによる自由なカスタマイズが挙げられる。冒頭で述べたように、かっぱ寿司では寿司屋ならではのオリジナルトッピングが楽しめるのだ。
1つ目はガリである。元から卓上に置いてあるものをラーメンにポンと乗せるだけでいい。場当たり的なトッピングに聞こえるかもしれないが、そもそも家系ラーメン屋でも卓上に生姜があったりする。つまりエビデンス(根拠)に基づいた組み合わせなのだ。
実際にガリを加えてみると、味わいがさっぱり感を帯びてさらに箸が進む。普通の生姜と比べて甘みがあるので味変ぶりもひとしおだ。いっそ「ガリって家系用なのでは」という気さえしてくる。
そしてもう1つは追いシャリである。こちらは税抜100円で頼むことができるトッピング用の酢飯だ。
今度こそ場当たり的なトッピングに聞こえるかもしれないが、家系ラーメン屋には酢が置いてあったりするし、スープとライスの親和性については言うまでもない。先ほどからの寿司屋と家系ラーメン屋の符合は何なのか。デキているのか。
ともあれ追いシャリを投入してみると、冗談抜きで美味しい。スープと良く絡んでサラサラいけてしまう。酢飯に乗っていたネギとゴマも良い仕事をしている。
正直言って、この追いシャリという点においては家系ラーメン屋を凌駕しているように感じられた。追いシャリのためにかっぱ寿司に来ようと思えたほどだ。
・家系を食べたことのない人も
そんなこんなで、トッピングによるブーストもあり、運ばれてきた丼はあっという間に空になってしまった。これほどの完成度の家系を全国チェーンで食べられるのは愛好者にとってありがたい限りだし、ボリューム的にも食べやすいため家系初心者にもおすすめできる。
かっぱ寿司では9月4日から “北海道ネタ ぞくぞく入荷フェア” も実施しているので、興味のある方はそちらもチェックしてみてほしい。ちなみに今の筆者の願いは、「かっぱ寿司の家系の永久存続」である。
参考リンク:かっぱ寿司 公式HP
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.