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僕が命がけでラグビーW杯を盛り上げる! 脱サラして「ラグビー登山家」になった男の挑戦は最終章へ

2019年7月9日

あと72日。これは何の数字かというと「ラグビーW杯」までの残り日数である。2019年9月20日、ここ日本で4年に一度の祭典が開幕する。そのことをどれだけの人が知っていて、なおかつラグビーに興味を持ってくれるのだろうか。

2015年W杯の「世紀のジャイアントキリング(南アフリカ戦)」で巻き起こった熱狂を再び──。ラグビーに携わる人は期待と不安が入り混じっているのが現状だが、自国開催のW杯を盛り上げるために一念発起した男がいる。ラグビー登山家の長澤奏喜さん(34歳)はラグビボールを抱え、出場国の最高峰に “トライ” する挑戦を2017年から続けているのだ。

・長澤さんってどういう人?

高校からラグビーを始めた長澤さんは、大学生活までプレーして一般企業に就職した。いわゆるどこにでもいる元ラガーマン。しかし、2015年W杯の南アフリカ戦が転機となり、仕事をやめて「世界初のラグビー登山家」になることを決意した。

理由は仕事に追われるばかりで日本代表の勝利を期待していなかった自分を後悔していたこと、自国開催を控えながらも冷めていく世間のラグビー熱を見て本気で日本代表を応援しようという気持ちになったからだ。

脱サラしてラグビー登山家に転身すると、ラグビーが盛んなニュージーランドやオーストラリアといった国をはじめ、アフリカの紛争地帯での登山、他にもトンガの無人島で遭難しつつも一歩ずつ前進(ゲイン)してきた。

さまざまな人に背中を押され、これまで出場25カ国のうち20カ国の最高峰にトライ。そして開催まで残り時間が少なくなった今、1人の日本人による命がけの挑戦はいよいよクライマックスを迎えている。

・カナダの最高峰へ挑戦

5月から世界屈指の難関であるカナダとアメリカの最高峰に挑戦。まずはカナダのローガン山(5959m)で4700mまで登ったのだが、思わぬ山の試練が襲いかかってきた。そう……

チームメイトが高山病にかかってしまったため、担いでスタート地点に戻らざるを得なかったのだ。その後、予定を急遽変更してカナディアンロッキー山脈の最高峰・ロブソン山(3954m)へ挑戦。年間30〜50人の登山者のうち、成功確率30〜40%という超難関に先頭を切って登るも天候不良により最終地点までアタックできなかった。だがしかし。

当初、目標としていた場所への登頂は叶わなかったものの、仲間と助け合う行動こそラグビーに根づく「One for all,、All for one」の精神ではないか。あと一歩届かず、最終的にはバンクーバー市内の最高地点であるエリザベス女王公園(167m)にトライしたが、カナダのローガン山へはいずれ再挑戦するつもりだそうだ。

・デナリへ再挑戦

今回、カナダでの挑戦でアクシデントが起きた一方、昨年登れなかったデナリにはリベンジを果たした。そう、6月上旬からプロジェクトの中でも最難関とも言えるアメリカの「デナリ(マッキンリー)」に登頂したのである。

標高6190メートルともなれば気温はマイナス40度。厳しいシーズンの登山というだけでなく、高山病や凍傷などとも戦いながら21日の死闘の末にトライでねじ伏せた。

・残すは3カ国

今後の長澤さんの予定だが、7月にジョージアのカズベック山(5047m)とロシアのエルブルス山(5642m)、そして8月に富士山と残す山は3つ。そこから大会開幕までクラウドファンディングで支援してくれた人たちと開催都市の最高峰にトライする。

常識がありふれた今の時代、非常識を常識に変えることは難しいし時には非難も伴う。しかし、これまでどの分野にも必ず道標になったパイオニアという存在がいた。まっすぐな思いで挑戦している彼がW杯を通じて日本、そして世界を振り向かせる。日本で一生の一度かもしれないW杯まであとわずか。それこそあと72日だ。

参考リンク:長澤奏喜HP「# World Try Project」Facebook、Instagram @nagasawa.sohki
執筆:原田たかし
Photo:長澤奏喜

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