2020年7月24日、東京オリンピックの開幕まであと約1年。競技を取り巻く環境は急ピッチで整えられている。そんななか2019年7月1日から「各都道府県実行委員会」による聖火ランナーの募集が開始となった。

興味はあるけど、面倒くさそう! という人のために、ランナーの応募について分かりやすくお伝えしたいと思う。正直ちょっとだけ面倒くさいけど、こんなチャンス2度と来ない! おそらく多くの人にとって一生に1度の機会だ。ぜひともこの機会を生かして欲しい!

・応募のポイント

都道府県での応募が開始となったと伝えたが、本稿ではスポンサー企業(東京2020オリンピック聖火リレープレゼンティングパートナー)4社の応募方法を紹介したいと思う。スポンサー企業は6月中旬から下旬にかけて応募を開始しており、都道府県を含むすべての募集が8月31日に締め切られる予定だ。応募に関して、いくつかの条件が設けられている。主なポイントは3つだ。

■ 2008年4月1日以前に生まれていること
■ 国籍・性別は問わない
■ 走行を希望する各都道府県にゆかり(縁)があること


年齢については12歳以上をひとつの目安としており、2020年3月1日(聖火リレー開始月の初日)の段階で18歳未満の場合は、保護者の同意が必要となっている。また、“走行を希望する都道府県とのゆかり” については、「出身地」もしくは「過去の居住経験の有無」もしくは「家族、親族が住んでいる」ことなどを示している。

詳しくは、公式ページの「聖火ランナーに応募いただける方」を確認して欲しい。


・注意事項

さらに応募にあたっての注意事項の主なものは以下の通りだ。

■ 1名ごとに応募を行う。複数人での連名応募は不可
■ 落選者への落選通知は行われない
■ 1名の走行距離は約200メートル。ただし状況によって、走行距離は200メートルを前後する場合がある
■ 走行時は支給されるユニフォームを着用する。これに靴は含まれない


このほかに、走ることを宗教的・政治的な目的に利用するのを禁止している。また、私的宣伝やPR活動も禁止。突飛な髪型やフェイスペイントも行ってはいけないとのことである。詳しくは、公式ページの「聖火ランナー応募にあたっての主な注意事項」をご覧いただきたい。


・5回応募できる

これらを踏まえて、応募は1回ではなく、都合5回まで行うことができる。1つの都道府県への応募と、4つのプレゼンティングパートナーに、それぞれ1回ずつ応募することができるのである。複数の都道府県への応募は不可なので、その点は気を付けて欲しい。


プレゼンティングパートナーは、「Coca Cola(コカ・コーラ)」「TOYOTA(トヨタ)」「日本生命」「NTT」の4社である。各社ともに締め切りは8月31日までとなっている。


実際に4社に応募してみたところ、各社でやり方が若干異なっていることが分かった。各社の応募の大まかな手順と、良い点・気になった点をお伝えしよう。


・日本生命

日本生命は「大切な絆を、つなげよう。」 をテーマに、6月24日から聖火ランナーの1次応募を開始している。8月31日以降で1次選考の通過が通知され、2次応募は9月30日で締め切られる。そして12月以降順次、ランナーを決定する予定だ。


まずは東京オリンピックの公式ページにも記載がある聖火ランナーの募集要綱を確認した後に、メールアドレスを登録する。そのアドレスに届いた確認コードで本人確認を行い、名前や住所などの個人情報の入力へと進む。


続いて、走行を希望する都道府県や走行に当たって配慮(障がいのある方など走る上でのサポート)を要するかなどの設問に答え、最後に日本生命のテーマである「大切な人に伝えたい想い」など入力する。


すべてを入力し終えて送信すれば、1次応募は完了だ。その旨、メールでも届くので内容を今一度確認しよう。


・Twitterアカウントを入れるの?

入力の流れが分かりやすく、迷うことはないのだが、入力には30分以内というタイムリミットが設けられている。これがちょっとだけプレッシャーに感じる。幸い、一時保存できるので、「大切な人に伝えたい想い」がまとまらない時は一旦保存して、下書きをすると良いかも。


それから、Twitterアカウントの入力を任意で求められる。選考には影響しないとのことだが、なぜか抵抗を覚えて空欄にしてしまった……。う~ん、なんかデメリットがあるような気がしてしまった。


・NTT

NTTは「CONNECTING WITH HOPE~ひとりひとりの、希望の光をつなぐ」をテーマに、6月24日から聖火ランナーの応募を開始している。他の3社が2次選考制をとっているのに対して、1度の選考でランナーを決めるようだ。12月にはランナーが決定する予定である。


最初に自薦・他薦を選択する。自薦の場合は、メールアドレスを入力して同意事項にチェックをつけて送信。すると、自動返信メールにURLが記載されているので、そこからエントリーぺージへとアクセスする。


エントリーぺージでは、募集コンセプトに沿った活動や実績などに関する自己PR・応募動機の入力を行う。そして一時保存した後に、再度メールが送られてくるので、続けて個人情報を入力していく。


最後に入力内容を確認して、「聖火ランナーエントリー 送信する」を押して応募完了だ。メールで応募内容が送られてくるので、今一度確認しておこう。


NTTは、NTTらしい便利な機能を用意している。それは、「dアカウント」によるかんたん入力だ。NTTドコモの回線を使用していれば、ドコモにログインするだけで個人情報入力の手間を省くことができる。


便利なのは確かだが、エントリーフォームを入力するのに神経を使っている最中、不意にdアカウントのログインパスワードが思い出せないということも考えられる。実際、私(佐藤)はテンパってしまって思い出せなかったので、かんたん入力を諦めてしまった。間違いなくログインできる人は、かんたん入力を使った方が良いだろう。


・TOYOTA

TOYOTAは「動かせミライ! その一歩を、地元から。」をテーマに、6月24日から聖火ランナーの1次エントリーを開始している。1次エントリー通過者は10月初旬をめどに通知され、10月中旬締切(予定)で最終エントリーの応募が実施される。12月中旬にはランナーが決定する予定である。


TOYOTAのエントリーページは4社のなかでもっとも分かりやすくできている。入力項目は1ページに集約されており、すべての項目をそこで入力することができる。


最初に個人情報を入力した後に、走行を希望する都道府県を選んで、自己PRと応募動機を入力。


その後、入力内容を確認して送信をしたら完了である。登録したメールアドレスに同じ内容が送信されるので、改めて内容を確かめておこう。


先に紹介した2社に比べると、はるかにシンプルで分かりやすい。逆にプロセスが単純すぎて、心配になってしまうくらいである。


・COCA-COLA

COCA-COLAは「キミ色で、走れ。」をテーマに、6月17日から聖火ランナーの募集を開始している。他社と比べると特殊なスケジュールが組まれている。プレ選考の応募期間は、8月31日締切であることは同じなのだが、7月中からプレ選考の結果の発表が始まる。応募完了から3~5週間でプレ選考当選者に通知を送るとのことなので、最短で7月15日にはプレ選考当選者が発表されるかもしれない。


本選考は7月から10月まで。そして12月以降に聖火ランナーが発表される。応募には、聖火ランナーとグループランナーの2種類がある。ここでは聖火ランナーの応募にのみ触れ、グループランナーについては後述する。

プレ応募にはまず「COKE ON」アプリを端末にインストールしなければならない。そのうえで、対象商品を購入して指定のマークをカメラでスキャンするか、対応自販機に接続して「応援ポイント」を獲得する必要がある。



なお、聖火ランナーの応募には1ポイントを要する。


ポイントを準備したうえで、アプリの「応募」から必要な項目を入力していく。内容は他社と同じく、個人情報と自己PR・応募の動機などである。応募が完了したら、登録したアドレスにメールが届くので、改めてその内容を確認しよう。


・なんでアプリ? なんでハッシュタグ?

はっきり言って、面倒くさい! アプリをインストールしたうえで製品を買ってマークのスキャンする手間は、他社に比べて不親切と言わざるを得ないだろう。先に挙げたグループランナーもあきれるような手間がかかる。

グループランナーは10人以下の仲間で、ハッシュタグ「#アクエリチャレンジ」をつけて動画を投稿するというものだ。正直に申し上げて、他社ではそんな広告企画を一切やっていないというのに、なぜCOCA-COLAは応募を宣伝の機会にしてしまうのか……。なんとなく残念な気持ちになってしまう。どうしてこうなったのか? と言いたい。


・まとめ

という訳で4社の応募を比較してみたところ、TOYOTAが圧倒的に応募しやすいと感じた。いずれにしても入力には多少の手間がかかることが否めない。入力時にあせらないように、400字程度の自己PR文をあらかじめ用意することをオススメする。各社のテーマに合わせて、いくつかPR文を準備できると、なお良いだろう。

8月31日の締め切りまで、まだ時間は十分にある。一生に1度の機会と思って挑んでみて欲しい。

参照元:オリンピック聖火ランナー募集日本生命NTTTOYOTACOCA-COLA
Report:佐藤英典
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