日本のソウルフード、みそ汁。子どもの頃から慣れ親しみ、私たちは魂にみそを刻みつけるほど何杯も食してきた。白米とは無二の親友で、米を口に運び、あとからみそ汁を注ぐと、口内で “日本” の風味を豊かに醸しだしてくれる。みそ汁は日本のソウルフードだ。間違いない。

そんなソウルフードを極めたお店が浅草にある。その名も、浅草のおみそ汁専門店「MISOJYU」(ミソジュウ)だ。筆者はこの店にとん汁を頂きに行った。なんとそこで日本の原体験を味わったので、ぜひ読者にもご紹介したい。

・「MISOJYU」は観光名所の目と鼻の先にある

というわけで、さっそく筆者がやってきたのが……


雷門だ。

……

いや、間違えた!

(TAKE2)というわけで、さっそく筆者がやってきたのが……


スカイツリーだ。

……

しまった! また間違えた!

このように「MISOJYU」は浅草の名所の目と鼻の先にある。日本のソウルフードを提供するお店なのだが、外観はモダンな感じ。

店前には看板が立てかけられていて、一目でメニューが分かる。午前11時以降は、おにぎりとみそ汁のセットメニューがお得だ(記事の最後に説明します)。待ちきれないのでさっそく店内へ。

「MISOJYU」はスターバックスなどと同じように、先に注文をしてから席に着くシステムだ。散々悩んだ挙句、筆者は『スペシャルセット(税抜1380円)』の「うめ」のおにぎりと、「ごろごろ野菜と角煮のすんごいとん汁」を注文。

さらに「120円(税抜)でおにぎり1つお付けできますよ~」と案内してもらったので、「スパイシーツナ」も追加した。

それにしても人前で「すんごい」って口にしたのは、いつ以来だろう……? 中学生のとき、友達にアレをアレされて「すんごい痛い!」ってブチギレて以来かもしれない。

席に着いて、もう戻れない記憶の彼方に思いをはせていると、店員さんが『スペシャルセット』を持ってきた。知らない間に時間が過ぎていたようだ。人生は長いようであっという間である。


・これは、とん汁だ。けれども、とん汁なのか?

しかし今はそんなことどうでもいい。とん汁を食わねばなるまい。そう、これがおみそ汁専門店の「スペシャルセット」だ。


ほう~。

ほほう~。たしかにすんごい予感がする。

しかし食べてみないことには、本当にすんごいかどうか分からない。これまでの人生で食べたすべてのみそ汁、胸に刻みつけたすべての「みそ」たちと比べさせてもらおう。いざ、実食!

一口食べて驚いた。これは、とん汁だ。けれども、とん汁なのか?

私たちがイメージするとん汁は、おそらくとてもシンプルな味のはずだ。汁を飲めば、みそ独特の風味がストレートに伝わる。豚肉を食べればみそ風味の豚肉の味がするし、にんじんを食べればみそ風味のにんじんの味がする。

ところがこのとん汁は、とても濃厚で深い。みそ独特の香りは抑えられていて、けれども本来のうまみや甘みは、いつものよりずっと濃い。なんというか「みそ感」がまったくない。

さらに豚肉、大根、にんじん、ごぼう……といった食材たちのうまみと甘みが存分に引き出されていて、舌の上で絶妙なハーモニーを織りなす。

この濃厚さをどう伝えればいいのだろう……。そう悩んでいたら、ようやく近いものをイメージできた。ラーメンだ。ラーメンのスープのような濃厚さが、みそ汁で再現されているのだ。

食べれば食べるほど驚く。これは、とん汁だ。けれども、とん汁なのか?


・ああ、私は日本人だ

とん汁に気を取られていたが、注文したのはこれだけじゃない。おにぎりも2つあった。

1つは「スパイシーツナ」。おそらく店の一番人気じゃないものなのに、なぜ筆者は注文したのか。理由はたった1つ。ときたま無性に食べたくなる存在が「ツナ」だ。そしてその瞬間が、このときだった。個人的な感情を優先してしまった。

ツナのしっかりとした味わいと、あとからくるピリッとした刺激が、おにぎりとして見事に調和している。筆者は「無性」から解放されて晴れやかな気分になった。

2つ目は「うめ」。ごはんがしっかりつまっていて、けれどもふわふわで優しい食感。これぞおにぎり。手で握ったおにぎりだ。梅の香りとほどよい酸っぱさ、そして表面にまぶされたゆかりのすっとする風味が合わさって、さっぱり食べられる。

そのときだった。うめを口に運んで、直後に濃厚なとん汁を飲むと、目の前が急にまぶしくなった。

なんだ……何が起きた……ん? 見える……見えるぞ! 古きよき日本の食卓が! 茶碗に白米が盛り付けられていて、具材いっぱいのみそ汁が机の上に並べられている。これがかつての日本……かつての食卓の風景……。それを食べれば感じる……日本の原体験を感じる……。ああ、私は日本人だ。みそ汁は日本のソウルフードだ。


・「MISOJYU」のシステム

というわけで、トリップタイムから帰ってきた筆者が、記事の最後にお店のシステムを説明したい。

「MISOJYU」には「レギュラーセット」と「スペシャルセット」の2種類がある。注文は朝11時から可能だ。

【MISOJYUレギュラーセット 1280円(税抜)】
(レギュラーみそ汁 + おにぎり1個 + 煮卵ハーフ + お新香 + サイドメニュー2品)


【MISOJYUスペシャルセット 1380円(税抜)】
(スペシャルみそ汁 + おにぎり1個 + 煮卵ハーフ + お新香 + サイドメニュー2品)


前出の「すんごいとん汁」が飲めるのは、「スペシャルセット」だ。単品でも注文できる。

朝8時半から11時までは、「朝ごはんセット」(税抜600円)が注文できる。こちらは「朝みそ汁 + おにぎり1個 + 煮卵ハーフ + お新香」という内容。時間が合う方は、出社前に朝ごはんをここで食べてもいいかも。

・今回紹介した店舗の情報

店名 MISOJYU(ミソジュウ)
住所 東京都台東区浅草1-7-5
営業時間 8:30〜19:00
定休日 月曜日

Report:いのうえゆきひろ
Photo:Rocketnews24.

▼机の上には「特別調合」の七味がある

▼みそ汁に入れて飲むとスパイシーでやみつきになった

▼サイドメニューの豆腐が濃厚でクリーミーだった

▼緑茶も美味しかったぞ

▼取材の帰りに浅草の仲見世に寄った。けれども訪日外国人と修学旅行生でごったがえしていた。この時期に行くのは賢明じゃないかも。

日本、〒111-0032 東京都台東区浅草1丁目7−5