「赤いきつね」「緑のたぬき」、このふたつは本来、相容れないものである。それは例えるなら、天と地、火と水、太陽と月。対極的なものであるからこそ、お互いが存在していると言っていいだろう。すなわち、赤いきつねがあるからこそ、緑のたぬきがあり、また緑のたぬきがあればこそ、赤いきつねがある。ふたつでひとつなのだ。

その原則を打ち破る商品が誕生してしまった……。「赤いたぬき」である。一度この商品名を口に出して言ってみて欲しい。とても気持ち悪い感じがするのは、私(佐藤)だけではないはずだ。一体どんな味がするのか、赤いきつね・緑のたぬき、そして赤いたぬきの3商品を食べ比べてみた。

・パッケージがややこしい

この商品を購入しようという人は気を付けて欲しい。パッと見は完全に赤いきつねにしか見えないからだ。緑のたぬきの隣に並んでいると、なおのことややこしい。


手にとったら、商品名を今一度たしかめた方がいい。それは赤いきつねなのか? 緑のたぬきなのか? それとも赤いたぬきなのか? 幸い私は、3つの商品をそれぞれ1つずつ買うことに成功した。


・うどんなのか、そばなのか

改めてパッケージをよく見てみよう。この商品は、2018年に行われた赤いきつね緑のたぬきの人気投票に赤いきつねが勝利したことを記念し、期間限定で発売したものである。緑のたぬきといえば天ぷらそばなのだが、赤いたぬきは天ぷらうどんらしい。「たぬき」の文字からそこはかとなく漂う “そば感” は否定できないものの、これはうどんだ。


緑のたぬきと並べてみたら、どっちがうどんでどっちがそばなのかさえも分からなくなる。これは東洋水産のワナではないのか……。


中には何が入っているのか? フタを開けると、大きな天ぷらが見える。その下には乾麺のうどん。そして、黄色いたまごと小さなお揚げの姿も確認できた。


味には大きな違いがあるのだろうか? それぞれ麺の上に粉末スープをあけ、お湯を注いで5分待つ……。


・食べ比べ

5分たってフタを開けてみると……


赤いきつね緑のたぬきを、「龍と虎」とするならば、赤いたぬきは……なんだ? この中途半端な感じは、何なんだ? 両者のおいしいところを取ったはずが、どっちつかずの代物になっていないか?

とにかく順番に食べてみよう。まずは赤いきつね



大きなお揚げと甘めの出汁。ツルリとした麺の食感に、安心感を覚える。これこれ、馴染みの味。


次いで緑のたぬき


出汁を含んでふやけた天ぷらに、 “ワシワシ” とした感触のそば。赤いきつねと比べると、ややポップさには欠けるものの、思い出したように食べたくなる味だ。


・きつねとの違いは?

そして最後に赤いたぬき


すべてにおいて未知数のこの商品。食べてみると、出汁の主張は赤いきつねよりもやや控えめ。麺の食感は、赤いきつねとそれほど違わない気がする。詰まるところ……赤いきつね赤いたぬきは、お揚げか天ぷらかの違いと言ってもいいだろう。



もしかしたら、赤いきつね赤いたぬきを買い間違えても、気づかない人もいるかもしれない。見つけたら一度試して欲しいが……赤いきつねと同化しているので、見つけられない可能性もゼロではないかも?

参考リンク:東洋水産
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24