『キユーピー』といえば、マヨネーズでお馴染み食品メーカーだ。よく間違えるが、「キ “ュ” ーピー」ではなく、「キ “ユ” ーピー」である。さて、そんなキユーピー株式会社は今年創業100年。それを記念して、東京・六本木に期間限定カフェをオープンしている。

そのお店のコンセプトは「サラダとタマゴの魅力を発信するカフェ」。実際に行ってみると、なんとプリンがあるじゃないか! マヨネーズが入ったプリンだと!? それ、うまいんじゃないの!?

・100周年記念

お店の正式名称は「kewpie 100 years, start! CAFE」だ。創業100年を機に、新たにスタートを切る心意気がうかがえる。営業期間は2019年3月15日から31日まで。期間に限りがあるためか、開店前から10人程度の列ができている。


その列の後に並び、しばし待った後に店のなかへ。店内には同社の商品をイメージした装飾が施されている。店舗中央には巨大なキユーピー人形。これはぜひとも記念撮影して、Instagramにアップしておきたい。


・日本人に野菜を食わせてきた

メニューを見ると、ランチは当然サラダが中心。キユーピーマヨネーズがこの世になければ、日本人は習慣的に生野菜を食べることはなかったかもしれない。そんな生野菜を食べさせることに長けた企業だ。サラダは得意に決まっている。


だが、残念ながらこの日の私(佐藤)はサラダな気分ではなかった。あいにく時間も限られており、サクっと食べて店を出たい。そう思ってメニューの裏側を見ると……。


「なめらかマヨプリン」だと!!!!



プリンにマヨネーズって合うのか? いや、待てよ。キユーピーはタマゴのスペシャリストだ。たまごを使ったプリンと、たまごを使ったマヨネーズ。その2つを究極の形で調和させているに違いない。うまいに決まっている。ということで、「彩り野菜とたまごのサンドイッチ」1000円にセットでプリン(+200円)を付けてオーダーした。


・ジャム放題

料理を待つ間、店内を見渡してみる。私の座った店舗の中ほどのカウンター席には、マヨネーズをはじめとする調味料が並んでいる。



同社の傘下、「アヲハタ」のジャムは使い放題だぞ!


・主役はプリン

そうして来たのが、これだ!


具材たっぷりで断面が非常に美しい。


サラダとたまごがコンセプトのお店だけあって、野菜の美味しさが際立つ。


だが、主役はこれじゃない。……主役はプリンだ、ここのプリンと出会うために、私はお店に入ったようなものだ……


・期待ハズレか?

ということで、ここからはプリンを全力で紹介しよう。まずは、その見た目だ。


私はどちらかといえば、トロトロプリン派である。個人的にはプリンに固さを求める、その考えを理解できない。あくまでも、柔らかい方が良いと考えている。治一郎のプリンは至高だ。その点、ここのプリンは見た目からしてやや固そう。イチゴがのっている点も、私にはマイナス要素。余計なものはない方がいい。


う~ん、期待ハズレか。と思いつつ、ひとくち口に入れると……


・いつもそばにあった味

懐かしい甘さが口に広がる。ここに来るのは間違いなく初めてのことだ。期間限定での出店のため、過去にどこかでこの味に出会ったことはない……はずなのに、「知っている味」と錯覚してしまう。

どこで食べた味か? ふと私の脳裏によみがえったのは、亡くなった祖母のことだ。祖母の家の近くには小さな商店街があり、私が幼少の頃は、毎週土曜日に夜市を行っていた。土曜日になると、その商店街のケーキ屋さんでプリンを買ってもらえた。それがとても嬉しかったことを、ふと思い出した。あの味に似ていると感じるのは気のせいだろうか


過去に思いを馳せながらプリンを食べていると、店内には聞き覚えのあるBGMが。この曲は、1990年に終了した日曜日のラジオ番組『キユーピー バックグラウンドミュージック』のテーマ曲だ。

この曲を聞くと、お昼前の日曜日の記憶が蘇る。1964年から30年以上にわたって続いたあのラジオ番組。やはり私が子どもの頃、母は家事をしながらラジオを聞くのが好きだった。タイトルコールのあとに流れるこのクラシカルな曲は、昼前のひと時を優雅に彩っていた。それがどんな家庭であっても。


キユーピーは今年で創業100年。私の人生45年は、その100年のなかにすっぽりと収まっている。自らが重ねた時間のそのすべてに、キユーピーがいるのだと、改めて気づかされた。そして、このプリンの味はその100年もの長きにわたる味の歴史をあらわすと共に、新しい年号を迎える未来に向けて、同社の始まりを予感させている。

プリンを食べて泣きそうになったのは初めてだ


・今回訪問した店舗の詳細

店名 kewpie 100 years, start! CAFE(東京)
住所 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ 森タワー ヒルサイド2F(ヒルズカフェ)
期間 2019年3月15~31日
営業時間 11:00~22:00

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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