太陽の下、会場を埋め尽くす人・人・人……夏フェスはバンドマンにとって憧れのステージだ。中でも、日本における夏フェスの元祖・フジロックはまさに夢! その証拠に、前年の一般公募枠オーディション『ROOKIE A GO-GO』の応募総数は1350組とズバ抜けた数だ。
通常、すでに売れているミュージシャンだけが呼ばれるが、無名でも大舞台に立てる唯一のチャンス。新人が己の夢を賭けて身を投じる激戦オーディションに、結成13年・平均年齢36.5歳のバンドがエントリーしてみた!!
・『ROOKIE A GO-GO』とは
くるり、ART-SCHOOL、ASIAN KUNG-FU GENERATION に THE BAWDIES、Suchmos など、出身アーティストを数え上げればキリがないこのオーディション。2019年の募集期間は3月8日から4月26日まで。そう、戦いはすでに始まっている。
スケジュールを見ると、出演者発表は7月上旬予定となっていた。実に3カ月弱。長く厳しい戦いをくぐり抜けた者だけが夢のステージに立てるのである。
・結成13年・平均年齢36.5歳のバンド「フリサト」
私(中澤)も、10年以上ライブハウスでバンド活動を続けてきた身。2019年で37歳になるので、もはや新人オーディションという年齢じゃないことは分かっている。
だがしかし、バッターボックスに立たなければホームランは打てない。一歩を踏み出さなければ目的地にたどり着くことはできないのだ。というわけで、私の所属するバンド・フリサトでエントリーしてみることに。
・「Eggs」からネット応募
『ROOKIE A GO-GO』は、郵送またはアーティスト視聴サイト「Eggs」からネット応募することができる。この「Eggs」への登録は、無料で簡単なのでササッと終わった。曲もものの数秒でアップでき、すぐにマイページに反映される。
応募資格によると、エントリー曲として指定できるのは1曲だが他の曲も審査の参考にするとのこと。そのため、オリジナル楽曲2曲以上の登録を呼びかけている。そこで、以前レコーディングのもようをお届けした3曲と、これまた以前作成の様子をお伝えしたMVを登録。
結成13年・平均年齢36.5歳であるフリサト。その活動歴のおかげか、画像や音源などの資料には困らない。と、思いきや……
やっぱりあった自己PR!
Eggsの登録でプロフィールを入力し、エントリーで結成や活動歴などの活動状況を入力した上での自己PR!! 私はマジでこの項目が苦手だ。みんな何を書いてるんだろう? 詩とか書くのかな? 多くのミュージシャンは、文字では伝えられないから音楽をやっているんじゃないだろうか。
しかし、ここではこれまでの経験が力になった。つまり、サマソニ応募の際に書いたPRをコピペしたのである。というわけで入力したPRは以下の通り。
「結成13年。メンバーが入れ替わりながらも、ライブハウスで10年以上活動。
その活動の中で出会ったのが現メンバーです。
そう、全員がライブハウスで知り合った音楽仲間。
飲んでいる時や対バンなどでよく会う人と、やがて話すようになり、気づけば同じバンドのメンバーになっていました。
脱退に解散など、それぞれにバンド人生を歩んで来たメンバーの平均年齢は36.5歳。
でも、同じ方向を向いている。同じスピードで歩ける。前を向ける。
僕たちにとってはそれが奇跡。
だから、もう一度、今一度、何度でも、ゼロから這い上がっていこうぜ。」
──イケメンではない。上京した時は信じていた才能もないかもしれない。なんで始めたのかなんてもう忘れた。でも続けてきた。メンバーが脱退しようとバンドが解散しようと。ただ良いライブがしたくて。
・何度でも
そんな日々の中で、いつもライブハウスで顔を合わせるヤツがいた。アフロに薄汚れたジーパンとキャンパスシューズで目だけはギラギラさせたアイツ。レザージャケットでガラが悪く何言ってるか分からないアイツ。ボサボサのロン毛で掴みどころのないアイツ。
道端で出くわしたら避けて通る。
っていうか、バイト何やってんの?
──現フリサトのボーカルとベースとドラムである。
脱退に解散など、それぞれにバンド人生を歩んで来たメンバーの平均年齢は36.5歳。輝くようなルックスはない。才能もないかもしれない。もはやオッサンなので「新人の登竜門」である夏フェスは不利になるだろう。
だが、もう一度、今一度、何度でも、ゼロから這い上がっていこう。結果は追ってご報告したい。
参照元:フジロック2019「ROOKIE A GO-GO」
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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