もっと可愛く、もっとカッコ良く生まれたかったなあ……。そんな容姿に関する悩みは万国共通。海外掲示板『Reddit』にも「私は可愛くありません。同じ気持ちを抱えている女性の皆さんは、どうやって折り合いをつけていますか?」というお悩みが投稿されていた。
女性から多くのコメントが寄せられるなか、ある男性からのコメントが「素晴らしい」と注目を集めたそうだ。4年前の投稿だが、この度、英メディア『indy100』が取り上げていた。その返答内容が興味深かったのでご紹介したい。
「 女性の皆さん、自分が “美人じゃない” ことにどうやって折り合いをつけていますか?」というタイトルで投稿されたこのお悩み。彼女は、自分のことを「美人じゃない」と書いている。
「私は美人じゃありません。これから先も変わらないでしょう。メイクだってするし、ヘアアレンジだって工夫します。可愛いドレスを着たり、ヒールだって履きます。でも100点満点中90点の見た目にはならないのです」
彼女は自分でも「そんなこと気にしなくていい」と分かっていながらも、どうにも心が晴れず、「世の大半の男の人は、私のことを魅力的だとは思わない」「美人に生まれついた人たちが羨ましくてたまらない」と述べている。そして「私と同じ立場にいる女性は、そのことをどんな気持ちで受け止めているのでしょうか?」と問いかける。
「私と同じ立場にいる女性は、そのことをどんな気持ちで受け止めているのでしょうか? どうすれば自分の容姿を受け入れられ、ありのままの自分を好きになることができるのでしょうか?」
最後には「容姿のことで、自分自身をずっと嫌ってきた」こと、「自分がブサイクだから」という気持ちにとらわれて全てに自信がない気持ちを吐露(とろ)している。
「こんなこと間違っているって、自分でも分かっています。私は悪い人間ではないし、自分のことを嫌わなくたっていいはずです。それでも、容姿がいつだって邪魔してきます。私がブサイクだから、あの子に嫌われたんだ。私がブサイクだから、仲間に入れてもらえなかったんだ。私がブサイクだから、今すれ違った人が笑ってたんだ……って思いが頭から離れないんです」
これに対して、「同じ立場だ」という女性たちから多くの回答が寄せられた。以下がその一部だ。
「私も美人じゃないけど、でも良いところだってたくさんある。賢いし、数カ国語喋れるし、親切だし etc……。美人には美人なりの苦労がある。誰だって長所と短所を持って生きている。あなたの価値は見た目じゃないし(見た目の価値観だって、ただ押し付けられたものだよね)、あなたの人間的な魅力と能力で勝負だよ」
「皮肉なことを言う、ゲーム、読書、パイプを吸う。こういうことするのに、キレイじゃなくったっていいでしょ?」
「一般的な美なんて、ただの押し付け。美しさは国や文化によって全然違うよね。だから気にすることないんだよ」
「自分に『私は美しい』って言い聞かせて。『自分はブサイクだ』って言う人に、何人も会ったことがあるけど、全然そんなことなかった。みんな美しいところを持っていた。あなたのことだって、そう思う人がいるはず」
「誰かが決めた『美』にとらわれる必要ない。あなたはそれ以上の価値がある」
「私も若い頃は見た目に悩んでいたけど、歳をとると自分の見た目を受け入れられるようになるよ」
なかでもひときわ賛同を得ているコメントが、次の男性からのものだ。男性は「マンズプレイニング(男性が、女性を見下して偉そうに説明すること)するつもりはありませんし、あなたの気持ちを軽んじるつもりもありません。でも、こんな見方もあるんだって思ってもらいたくて投稿しました」と始める。異性愛者の男性として「男性側の本音」を伝えたいというのだ。
「例えば、ある女性と同僚やクラスメート、友人の友人なんて形で出会ったとします。こっちは、彼女のことを最初はなんとも思っていなくて、ただ “知り合いの女性” と見ています。でも徐々にその女性のことを知っていく」
男性は、その女性を知るにつれ人間性に惹かれていく。すると容姿や仕草にも魅力を感じていくと説明する。「そして彼女を見るたびに、なんだか気分が明るくなる自分に気づくんです。彼女の体のシルエットやライン、声、匂いが好きになるんです」。
「白黒写真に色がついて、サラウンド音響付きの3D映画になっていくような感じなんです。どうやったら彼女ともっと近づけるか、彼女を幸せな気持ちにできるか考え始める。世界中の誰よりも、彼女のことを見ていたいって思うようになります。彼女こそ完璧で、美しい女性なんです」
そして男性は「恋に落ちた彼は、相手の女性のことを客観的に見たりしない。フィルターを通して、さらに言えば幻想の世界に迷い込んだような感じになります」「彼が見ているあなたと、あなたが鏡で見るあなた自身とは別人です。彼の目には、あなたは美しくて、パーフェクトで、高尚な人物に映っています。彼の人生の中で、あなたこそ、最も力を持った存在なんです」と力強く続け、最後にこう締めくくる。
「こんなこと信じられないかもしれません。僕だって、実際に体験していなかったら、嘘だって笑い飛ばしていたところです。でも、これは本当なんですよ」
……筆者は以前、中島みゆきさんの『オールナイトニッポン』の録音を聞いていたとき、エンディングで、同じ悩みを抱える女子高生の投稿が読み上げられるのを耳にしたことがある。少女は「私は、世界で一番のブスだ」「みんなからブスだと言われる」「死にたいと思う」などと辛い心情を書き綴っていた。
それに対して中島さんは、リスナーに「誰が一番醜く見えるかわかると思います」と重い口調で問いかけた後、少女に対して「世間を狭く見ないでください」「金さえかければ顔は美しくなれるけど、金をかけてもキレイになれないものもある」といった励ましの声をかけ、最後に名曲『怜子』をかけていた。
この回は有名で、「中島みゆき オールナイトニッポン 世界一のブス」などと検索すれば、詳細を見つけることができるはずだ。気になる人、また、自分の容姿に悩んでいる人はぜひ確認してほしい。今回の投稿同様に、中島さんの言葉に胸打たれることだろう。