
今から8年前の2010年、東京・中板橋にあるカレー屋さんがTwitterで話題となった。そのお店は「だいすき日本」といい、ネパール人のビカスさんが営んでいた。当時客が来ないことを嘆く悲しい投稿が注目を集め、その後に一気に人気店になったのである。それから6年を経て、弟分が最寄りに店を出したことを機に、自らの店を閉めた。
彼の作るカレーを惜しむ人は少なくなかったのだが、この度、復活することになったぞ! 2018年12月17日、つまり昨日から再スタートしたのである。それも馴染みの中板橋。ビカスさんがいい人であるがゆえに、多くの人の協力を得て、この日を迎えたのだ。
・自ら退いた
ビカスさんがお店を閉めたのは、2016年8月のことだ。弟分がすぐ近くに店を出し『だいすき日本2号店』と名乗ってしまった。ビカスさんは当初「問題ないだろう」と思ったものの、ビカスさんに会いに来た人が間違えて2号店に行くケースが頻発。おまけに料理や接客が芳しくなく、これではかえって応援してくれる人にも迷惑がかかると、彼は8年間続けた店を閉めた。
お店を辞めた後、ビカスさんはホテルでフレンチシェフとして料理の腕を振るったという。もはや「だいすき日本」ではないのに、彼を慕う人はそのホテルにまで食事に来てくれていたそうだ。
・中板橋の人々
そんな彼が店を再開するに至ったのは、中板橋の人々の強い後押しがあったから。
ビカス「ホテルに勤めてても、ずっと中板橋に住んでいたんだよ。歩いてるとねえ、「ビカスさ~ん!」とか「ビーさん!」って声かけられてね。「またお店やってよ」って、みんなが言ってくれて。またやることにしました」
実際、お店を再開するにあたって、地元の人は彼に対してあらゆる協力を惜しまなかった。パソコンが苦手な彼に代わってメニュー表を作ってくれたり、テレビを備え付けるラックを壁に取り付けてくれたり。
本当は廃棄する予定だった、前の店のウッドテーブルと電飾看板は、向かいのお茶屋さんが保管してくれていたそうだ。「いつかお店を再開したい」、その思いは、ひょっとしたらビカスさん自身よりも、むしろ地元の人たちの方が強かったのかもしれない。
・小さな街にだいすきな日本
地元の人に背中を押されて、ここ中板橋で再開することにした彼なのだが、もっと大きな街でやるという選択肢はなかったのだろうか? そのことを尋ねると、彼はこう言う。
ビカス「池袋とか新宿とかあるけど、大きな街には僕の好きな日本はない。小さな街に、僕の好きな日本がある。(中板橋の)ほかでは考えられないよ。歩いてると、みんな声かけてくれる。うれしいんだよねえ。ネパールにいるみたい」
・絆を育む
そんな人のつながりを生む環境を、新しいお店では用意している。お店の一部を開放して、寄り合いスペースとして活用する予定なのだとか。食事をするだけでなく、ふらりと寄れるコミュニティ空間にしたいとのこと。
また、価格も以前のまま。据え置きで行くそうだ。もう少し商売っ気を出した方が良い気もするけど、「気軽に来てほしい」というのが、彼の商売のポリシーだ。
・人の力に
お店を再開するのは決して単純な決断ではなかったはず。彼自身「大変になる。そのことはわかってる」という。それでも、再開を決意したのは、彼のある信念によるものだ。
ビカス「人の力になりたい。熊本地震の時にも炊き出しのボランティアに行ったけど、いつも人の支えになりたいと思ってる。「今が良ければいい」「自分さえ良ければいい」って人もいるだろうけど、いつかみんな人の支えが必要になる。だから今、僕は人の支えになりたい」
自分のことを後回しにしてでも、人のためになることを考える。そんなちょっとお人よしなところが、地元の人に愛されているのかもしれない。事実、彼の住むアパートの保証人も、お店の保証人も地元の人が買って出てくれたという。「愛されている」という言葉でしか説明できないほど、中板橋の人とビカスさんの絆は強いものだ。
ビカス「まるで日本で生まれたみたいに、みんなに優しくしてもらってるよ」
嬉しそうに微笑む彼の瞳が少し潤んで見えた。
2018年12月17日、また新しい「だいすき日本」の歴史が始まる。できるだけ長く続けたいという彼。「ここに骨を埋めろ」とさえ地元の人に言われると笑う。前のように、人が良すぎて閉店することがないように、長く長くずっとお店が続いてくれることを願うばかりだ。応援してるよ、ビカスさん!
・今回訪問した店舗の情報
店名 だいすき日本
住所 東京都板橋区仲町37-7
営業時間 11:00~16:00 / 17:30~22:30
定休日 不定休(年末年始12月30~1月1日休業)
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
▼取材時に少しカレーをご馳走になった。前と変わらぬ、思いのこもった優しい味だ。心癒される
佐藤英典








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