ロケットニュース24

あのWikipediaから「申し上げにくいお願いですが」というタイトルのメールが届いた話 / 寄付したら1年後にこうなった

2018年8月7日

Wikipedia(ウィキペディア)に寄付したら、戸惑うほどにアツい内容の自動返信メールが来た──という記事を、以前に本サイトで公開したのだが、覚えているだろうか? 覚えていない方はその記事を参照していただくとして、簡単に言うと、1度寄付をしたらエゲつないほどに “ワンモア寄付” を求めるメールが届いたのである。

あれから1年──。再びWikipedia からメールが送られてきたのでレポートしよう。そしてそのメールもまた……パッションがエグい! タイトルは、「雄一郎さまへ ー申し上げにくいお願いですが – 単刀直入に申し上げます」だ。

やはりと言うべきか、メールの内容をひとことで言うならば「寄付してください」である。それに尽きる……のだが、行間からにじみ出る “激しく寄付を求めている感” が尋常ではない。以下で紹介しよう。

・Wikipediaからのメール

「一年前、あなたは¥300 を寄付してくださることで、ウィキペディアが引き続きその価値を何億もの読者に届けることを叶えてくださいました。あなたの変わらぬご支援に感嘆するとともに、心から感謝いたします。

寄付してくださるのは読者全体のわずか1%ですが、あなたはその貴重な一人です。そして今年もまた、あなたのお力添えが必要です。

心からのお願いです。今年も再び寄付してくださいませんか。

あなたはこう思われるかもしれません。「私が今すぐ寄付をしなくても、ウィキペディアは困らない。他の誰かしらが寄付しているだろう」と。繰り返しになりますが、ウィキペディアに寄付してくださる読者は全体の1%未満です。ウィキペディアの存続は、あなたのご厚意にかかっています。

ウィキペディアの存在に意義を感じてくださっているあなたのような方のおかげで、必要なときにいつでも使えるウィキペディアを維持することができています。

昨今のインターネットに目を向けてみると初めてウィキペディアに出会ったときのことを思い出します。当時のインターネットは自由気ままな場所で、ウィキペディアもそんなクリエイティビティ精神と可能性に導かれて誕生しました。以来、ウェブの世界は大きく変貌を遂げました。

誰もが決まった大手ウェブサイトを利用し、つくり出すことより消費することに追われています。いっぽう、ウィキペディアは変わらず独立性を保ち、一般の方々によって執筆され、そこには以前と変わらない情熱が生き続けています。それを守り続けるためにも、ぜひとも寄付をお寄せください」


——以上……ではなく、まだまだメールは続くのだが、あまりにも長いので引用はこれくらいにしておきたい

どうだろうか? Wikipedia の寄付催促メールについて知っている人にとっては「安定のWikipedia」って感じだろうが、知らなければ「絶対に客を帰らせないセールスマン」に話しかけられた時にも似た “怖さ” を感じるかもしれない。

・タイトルでビビった

だが何にもまして私が驚いたのは、ちょっと変わったメールタイトル「雄一郎さまへ ー申し上げにくいお願いですが – 単刀直入に申し上げます」だ。


そんなタイトルのメールがWikipedia から届いたら、どうしても “えっ?” となってしまう。すぐに「たぶん寄付だろうな」と勘づいたとしても、ついつい気になる人は多いはずだ。

そしてWikipedia はそういう心理を計算し、「申し上げにくいお願いですが」をタイトルにしている。「申し上げにくいお願いですが」のすぐ前に、「◯◯さま」を置いて呼びかけるようにしているのも工夫の1つなのだろう。

つまり、Wikipedia はそれだけ必死。マジのマジで寄付を欲しているということだ。


ただし……!


この “必死の寄付してアピール” には、Wikipedia の関係者からも批判の声があるのだとか。なんでも、Wikimedia財団(Wikipediaの運営母体)の資金調達チームに在籍していたピート・フォーサイス氏は、「寄付のお願いの文章は「『一切の広告を掲載いたしません』という広告」であり、「ウィキペディアの恥」だと語ったらしい。

そんなことがWikipedia 内の「寄付のお願い (ウィキペディア)」というページに掲載されている(2018年8月6日時点)から、気になる人は確認してみてくれ。

ちなみに、Wikipedia 内のそのページによると、日本はアメリカに次いで世界で2番目にWikipedia へのアクセス数が多い国なのだそうだ。しかし2014年のデータでは、ウィキペディアへの寄付総額のうち日本からの寄付は2%ほどで、「寄付で運営するということ自体を理解していない人が日本人の大部分を占めている」という財団の調査結果もあるのだという。

そんなことを言われたら悔しい……というか、本音を言うと寄付を続けたらどれだけ寄付してアピールが激化するのかが気になるので、私は今後も少額ながら寄付し続けてみようと思う。その結果、どんなメールが来るかは追って報告したい。震えずに普通にして待て!

参照元:Wikipedia 「寄付のお願い (ウィキペディア)」
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

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