かつて中国住みだった沢井メグが中国料理を粛々と紹介するコーナー『現地日本人にも超絶愛されているのに、なぜかイマイチ日本でメジャーでない中国料理』。第5回は「木須肉:むーしゅーろう」だ。
この文字を見て、何のことだかわかる人の方が少ないのではないだろうか。しかし、料理自体は見たことがあるかもしれない。でも名前が知られなきゃメジャーになんてなれないじゃない! ということで、今回は名称の秘密から紐解いていきたい!!
・木須肉とは!
「餃子」→ 知ってる、「西紅柿炒鶏蛋(トマトと卵の炒めもの)」→ 字を見りゃわかる。でも「木須肉(むーしゅーろう)」はマジで意味不明! 肉料理ということはわかるけど、木須って何だよ!? 中身を知ってますます混乱だ。「豚とキクラゲの卵炒め」の何をどうしたら「木須肉」と呼ばれるのだろう。
木須肉は、元の名を「木樨肉(むーしーろう)」と呼ぶそう。漢字が得意な人はピンときたかもしれない「木樨」はキンモクセイなどモクセイ科の植物のこと。料理を見た昔の人が「黄色のふんわり卵」をキンモクセイの花に見立て、その名をつけたのだというのだ。
それがいつしか似た音の「木須肉」と呼ばれるようになった……と言われている。卵をお花に見立てるなんて、それを料理名につけちゃうなんて、何それメッチャ風流やんかー! これは平安貴族も土下座するレベル。
そう聞くと味わいも2倍3倍になっちゃいそう。では、さっそく「木須肉」を作ってみよう!
【材料】
・豚肉の小間切れ:150グラム
・卵:3個
・乾燥キクラゲ:6グラム
・ニンジン:1/2本
・ネギ:白い部分1/4本
・ショウガ:1かけ
・片栗粉:適量
・酒:小さじ1
・中華スープの素(創味シャンタンなど):小さじ1/2
・砂糖:少々
・塩:少々
【作り方】
1.キクラゲを水につけて戻しておく。卵を溶いておき、ネギとショウガはみじん切りにして、ニンジンは薄切りに。豚肉に軽く片栗粉を振って、下準備完了。
2.フライパンを熱し卵を炒める。西紅柿炒鶏蛋の要領でかき混ぜすぎず、鍋をゆするようにすると良い。表面が半熟状態になったら、一度、皿に移す。
3.フライパンを洗って再び熱し、ショウガ、ネギ、ニンジン、豚肉の順で炒める。肉が8割方色づいてきたところで、キクラゲを投入。酒、中華スープの素、砂糖を入れ、最後に塩で味を整える。
4.3のフライパンに2の卵を戻し、炒め合わせれば完成!
プリップリの豚肉とフンワリした卵、そしてコリコリのキクラゲの食感がたまりませんなぁ! 白ご飯にかけて丼にしても好(ハオ)だ!
それにしても、こんなに美味しいのにどうしてメジャー入りできないのかしら……やっぱり「豚とキクラゲの卵炒め」という呼び名に華がないからかな。なんか地味だもんねえ。由来も含めて「木須肉(むーしゅーろう)」って呼んだ方が、パッっとするんじゃない!?
なお、この作り方は、私・沢井が中国で食べたものを勝手に再現したものであり、もしかしたらあなたの知ってる木須肉とは違うかもしれない。入っている野菜も、元はニンジンじゃなくて、キュウリだしね。
適当にアレンジして好みの味にしてもらえれば、これ幸い。私は、日本にいながら中国風味を味わえたら、それだけでまぁまぁ幸せだ。そして、それを誰かと共有できたなら、これ以上の幸せはあと5~6個くらいしかない。それではまた次回まで! 再見、88~!!
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.
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