禁煙なんて、本気を出したらいつでも出来る。——そう思いながらタバコを吸い続けること約15年、これまで30回以上も失敗を続けている私に、ついに本気を出すときがやってきた。
つまり、マジで、ガチで、禁煙することにしたのだ。そのために、ハードな6つのトライアルをこなしたので、以下で詳しく紹介しよう。これは、単なる禁煙レポートではない。死ぬ気で駆け抜けた、「地獄の6日間」の記録である。
・医者から「肺に白い影が見える」と言われて
まず最初に、私が本気の禁煙に踏み切った理由に触れておきたい。ザックリと簡潔に言えば、病院でレントゲンを撮ったら、医者から「肺に白い影が見える」と言われたからだ。
幸いなことに、私は肺がんではなかったものの、医者からそう告げられた瞬間のショックたるや……。頭が真っ白になり、その空白を埋めるように、「なんで今までタバコを吸い続けて来たんだよーーー!!!!!」という後悔が怒涛の勢いで押し寄せてくる感じとでも言おうか。
とにかく、もう二度とあんな気持ちを味わいたくない。だから、禁煙! 本気のヤツ! 次はマジで頑張る!!
・計画的に禁煙をするために
とはいえだ。ただ単に、「今日からタバコをやめる」という方法は過去に何度も実践しており、失敗し続けている。
ここはひとつ、計画的に自分の中の “タバコ吸いたい欲” を叩き潰すことにしよう。と考えた私は、確実に禁煙するため、6日間かけて6つのメニューを実行に移すことにした。その概要は、以下の通りである。
【6日間で禁煙に成功するためのメニュー】
・1日目 → 何もしない
・2日目 → 水蒸気フレーバーのガジェットを使う
・3日目 → 大食いチャレンジ
・4日目 → 自分の頭皮をマイクロスコープで見ながら仕事
・5日目 → 喫煙者の息を吸いまくる
・6日目 → シュールストレミングの匂いを嗅ぎながら仕事
——簡単に説明すると、1日目で禁煙が出来なければ、2日目のやり方で挑み、それでも無理なら3日目の方法で……という具合に、やり方を変えて禁煙に挑む形。そして、4日目以降は徐々にキツくなり、「コレをやるくらいなら素直にタバコやめるわ!」というメニューを自分に課すこととしたのだ。
完璧に計算された禁煙計画。……だったのだが! 先に結果を言ってしまおう。ことごとく失敗した! 繰り返す、ぜ〜んぶ失敗した!! いまだに信じられないのだが、マジで、ガチで、失敗した!!
なぜ、そうなったのかというと……初日と最終日の様子を見てもらえれば、根本的な原因が分かってもらえるのではないだろうか。というわけで、禁煙トライアルの記録を公開しよう。
【1日目:何もしない】
初日。これでタバコをやめるぞという気持ちで、心がパンパンに膨れ上がっていた。モチベーションMAXだ。だったら……特に何もしなくても、手応えを掴めるんじゃないのか? 気持ちだけで、イケちゃうんじゃないのか? という期待から、初日は何もせずに、ノーガードで挑むことにした。
タバコ休憩ナシで仕事をするって、何て新鮮なんだろう。非喫煙者は、こんなにも爽やかな時間を過ごしていたのか。心なしか、自分自身までも爽やかになったようだ。だけど……どこか、しっくりこない。指先が落ち着かないような……。
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とか思っていたら、タバコ吸ってた。やってもうた。まあ、でも大したことじゃない。まだあと5日もあるのだから。
それから、不運な連続失敗が重なり、いつの間にか最終日を迎えることに。そこで……皮肉なことに、タバコをメチャメチャにウマイと感じてしまったのだ。詳しく説明していこう。
【最終日:シュールストレミングの匂いを嗅ぎながら仕事】
正直な話、これだけは勘弁して欲しかった。心の底から、やりたくなかった。だって、シュールストレミングって(笑)。世界一臭い食べ物じゃん。無理だって! 倒れるって! という気持ちでいっぱいだったので、まずは何もせずに「タバコを吸いたい気持ち」を押さえ込もうとしたものの、やはり無理。
夕方を過ぎた頃に、ようやく重い腰をあげ、シュールストレミングの缶を開けることにしたのだ。
・まるで爆弾処理
まずは、シュールストレミングの缶と、ホースを二重のビニール袋に包む。ホースは匂いを嗅ぐための “管” であり、袋を二重にする意味は説明不要だろう。缶を開けた瞬間に、回りの協力者が袋を締め、匂いを閉じ込めるという計画。今思えば「どうかしてるぜ!」な見込みのもと、私はゴム手袋を装着し、長袖を着て完全防備。
「一体何をやっているんだ!? これが禁煙に関係あるのか?」と薄っすら感じつつ、シュールストレミングの缶に缶切りを突き立てると……!
突き立てると……!!
ギヤァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
その場は一瞬で地獄と化したのだ。しかも……!! よく見たら、自分の服に、シュールストレミングの汁が・飛・ん・で・る!!
もう一度……ギヤァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
もはや、「臭すぎる」という言葉さえ頭に浮かんでこない。オーバー・ザ・激臭! あまりの出来事に、思考回路が一瞬でショートしたような感じだ。脳が「危険! 危険! 今すぐ、その場から避難して下さい!!」と絶叫している。
どう考えても、仕事どころじゃない。が……やるしかないだろーが!! 服を着替え、PCに向かったるぞ、コラ!!
でも、やっぱり無理〜〜! 絶対に無理〜〜〜!!
そこから、気がつけば換気扇の下でタバコを吸っていた。あのときほど、「タバコの匂いって、なんて心地いいんだろ」と感じたことは、今までない……。
・禁煙計画が失敗した原因
——このようにして、私の禁煙計画は失敗に終わることに。なぜなのか!? あんなに気合十分で禁煙に挑んだというのに!! この結果を、どのようにして受け入れればいいのか……。
と、打ちひしがれていたら、その様子を見かねたのか、編集部のYoshioが、私の机に『ニコレットクールミント』を置いていった。
そ、そうだよな。こういうので、禁煙に挑戦すべきだったよな……。
今にして思えば、禁煙の方法を根本的なところで間違えていたような気がする。だって、シュールストレミングって、そもそも禁煙に全然関係ないじゃん。今さらだけど! 本当に今さらだけど!!
でも、挑戦は何度でも出来るというもの。今回の失敗だって、無駄ではない……ような気がする。
——そんなわけで、今回の私の禁煙チャレンジは残念な結果に終わってしまったが、失敗こそ今後への良い教訓である。次のページで、禁煙トライアル2〜5日目の様子を詳しく紹介しているので、禁煙を考えている人はご参考に!
参考リンク:ニコレットクールミント
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
『絶対にタバコをやめる』ための超過酷な6日間!「シュールストレミングの匂いを吸いこむ」などハード過ぎる6つのトライアルで禁煙に挑戦した結果(その2)
【2日目:水蒸気フレーバーのガジェットを吸う】
2日目は、水蒸気フレーバーのガジェットを使い、「何かを吸わないと落ち着かない」「口元が寂しい」という気持ちを紛らわせる作戦だ。
……が、実際に吸ってみると、いつもの紙巻きタバコと比べたら、全然ガツンと来ない。
水蒸気はムクムクと出るんだけど、パンチが足りない。もっとガツンと来ないものだろうか。
そして、そう感じた時点で、負けであった。
【3日目:大食いチャレンジ】
だったら、ガツンと来る方法でいこう。というわけで、大食いにチャレンジ。食欲を限界まで満たせば、タバコを吸いたい気持ちは薄れるのではないかと考えてる人がいたら、忠告したい。
「食欲が満たされまくると、より一層タバコが吸いたくなるから気をつけろ!」と。
今回は、大盛りカレーを食べ……
そこからさらに、夜までお菓子を食べ続けたところ……
こりゃ、タバコを吸ってしまうのは仕方がないというもの。完全なる作戦ミス。考えたヤツ、出てこい。
【4日目:自分の頭皮をマイクロスコープで見ながら仕事】
「タバコは百害あって一利なし」とよく言われる。そしてそれは、頭皮の健康にだって当てはまるはず。早い話が、自分の頭髪を薄くした犯人の1人が、タバコなのではないかということだ。許せん! お前のせいで……!
その被害状況を確認すべく、折り曲げたハンガーにマイクロスコープを取り付け、いつでも頭皮チェックが出来る即席のガジェットを作って装着。
目を背けたくなる現実をあえて直視するスタイルで、仕事をしてみた。
——見たくねえエエエエ! なにこれ、すごいストレス溜まるんですけど!! こんな状態で仕事をしていたら……
タバコを吸いたくなっちゃうでしょうが!!
【5日目:喫煙者の息を吸いまくる】
喫煙者の息は臭い。タバコだけでも十分に臭いのにコーヒーが加われば、さらにヤバくなる。その息を嗅ぎながら仕事をすれば、「自分の息はこんなにも臭かったのか! もうタバコなんて二度と吸うか!!」となるはず。
そこで、当編集部の佐藤(喫煙者)に、「佐藤さんの息を嗅ぎながら仕事をさせて下さい」とお願いしてみたところ……佐藤は機嫌良さそうに、タバコとコーヒーをキメはじめた。
その間に、佐藤の息を私の口まで届けるため、ホースを漏斗を使って器具を制作。漏斗をお互いの口元に当てると……確かに、佐藤の吐息がムワっと漂ってくる。
うん……キツイわ。文句なしにキツイわ。
と、そこまでは順調だったのだが……誤算が1つあった。最初こそ「エグい」と思ったものの、慣れてくると、「喫煙者の吐息より、もっとダイレクトにタバコを感じたい」と思ってしまったのだ。
その気持ちが限界まで高まり……またしてもやってしまった。
こうして、5日目は終わった。そして、色々なものが、同時に終わった。
その後、最終日にシュールストレミングに挑戦し、結果的に禁煙に失敗したのは、先に述べた通りである。
・反省点
とにかくだ。この6日間を振り返ってみると、私の禁煙成功に賭けるエネルギーが、間違った方向に出てしまった感は否めない。「否めない」というか、絶対そうだわ。疑いようがないわ。
——と、私は今ニコレットクールミントガムを噛みながら、ひしひしと感じている。
参考リンク:ニコレットクールミント
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.