いま、Amazonを舞台にした大規模な詐欺事件が横行している。どんな手口なのかをシンプルかつ簡単に説明すると、「Amazonのマーケットプレイスで、ありえないほどの激安価格で商品が売られている → 購入しても商品が届かない」てな感じだ。
彼らの真の目的は後々に説明するとして、どんな出品者が詐欺ってるのかなァ〜……と調査をしてみると、大きく分けて2つのパターンに分類されることがわかった。
まずひとつは、名前も英語の外国人風、住所も外国人の「見たまんま怪しい出品者」。過去の販売実績もゼロなので、すぐに怪しいと分かる。そしてもうひとつは、過去にAmazonで販売した実績のあるアカウントが乗っ取られているパターンだ。
・放置アカウントが乗っ取られているっぽい
さらに細かく調べてみると、運悪く乗っ取られているアカウントは、「遠い昔に少しだけマーケットプレイスを使っていました」的な出品者が多かった。5年以上前に少しだけ古本やCDなどを販売してから放置……みたいな業者さんだ。
表示されている「販売業者」の住所もバッチリ日本の住所であり、おそらく架空のものではない。会社名の出品者まで発見できた。さらに電話番号もバッチリ書かれており、そのほとんどが携帯電話。運営責任者名にも日本人の名前が書かれている。
だがしかし……どうやらこれらすべてがデタラメである可能性が極めて高いのである。もう少し詳しく書くと、どうも「組み合わせがメチャクチャ」っぽいのである。
・電話の向こうには誰かがいる
と、いうのも……どうも様子が変。野生の勘というか、架空の電話番号という感じではなく、確実に「向こうには誰かがいる感」がするのだ。
具体的には、コールの回数がランダムだったり。「またかかってきた!」と、相手側が切ってる感がしたのだ。気配を感じる。これは……確実に、いつか誰かが電話に出る!! そう確信してから約10件目あたりの電話番号で、ついに相手が電話に出た!!
──もしもし? 突然お電話してスミマセン。●●さんの携帯でしょうか?
女性「いいえ、私は●●ではありません。私の名前は■■と申しますが、実は……」
──電話に出たのは年配の女性。とても穏やかな人だった。私もロケットニュース24であることを名乗り、様々なことを聞いてみたところ……次々と衝撃的な事実が明らかに! はっきり言って、これは他人事ではない。話の続きは次ページに続く。
Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
女性「実は……きょう、『●●さんですか?』という電話が、もう30件以上もかかってきているのです……。そのうちの誰か親切な方が、インターネットのページに私の電話番号が載っているということも教えてくれたのですが、どうしていいのかわからず、とても困っています……」
──彼女は本当に親切に、ゆっくりと丁寧に、こと細かく今日あったことを教えてくれた。ざっくりと箇条書きでまとめると、以下のような感じだ。
・電話が始まったのは今日の朝から。
・30件以上かかってきている。
・Amazonの商品ページに書いてある販売業者の「住所」は東京都●●区だが、彼女が住んでいるのは千葉県。その東京の住所に心当たりはまったくない。
・Amazonの商品ページに書いてある販売業者の「運営責任者名」は●●だが、彼女の名前は■■。その名前についても心当たりはまったくない。
・Amazonの商品ページに書いてある販売業者の「お問い合わせ先電話番号」と「カスタマーサービスの電話番号」に書かれている電話番号■■■-■■■■-■■■■は、たしかに彼女の使っている携帯電話で間違いない。
・Amazonの商品ページの「フィードバック」に書き込まれているユーザー(被害者)の声「▲▲▲-▲▲▲▲-▲▲▲▲に連絡してもつながらない」という電話番号は知らない。
・ネットもやらないし、Amazonのことも知らないので、本当にどうしたらいいのかわからない。
・詐欺師の不気味すぎる細かい動き
──ようするに、電話番号だけを勝手に使われているのだが、それよりなにより気になるのは……詐欺の被害にあった人が書き込んだフィードバックから察するに、彼女の電話番号「■■■-■■■■-■■■■」が表示される前は、また別の電話番号「▲▲▲-▲▲▲▲-▲▲▲▲」が表示されていたという不気味な事実。
・ちょいちょい電話番号も変更しながら詐欺を続けている可能性がある
私が何を言いたいのかというと、今回のAmazonマーケットプレイス詐欺を実行しているアカウント乗っ取り犯は、目的は不明ながら、ちょいちょい電話番号も変更しながら詐欺を続けている可能性があるということである。もしかしたら、明日には、あなたの携帯電話がジャンジャンと鳴り始める可能性だってゼロではないのだ。
さらに言えば、電話番号だけでなく、住所や名前も勝手に使われる可能性すらある。
誰かのアカウントを乗っ取り → 名前と住所を書き換えて → 違う電話番号を組み合わせ → 商品を激安で出品 → 購入者の個人情報をゲット → その個人情報を、また違うところで、今回のAmazonマケプレ詐欺のように再利用……という流れなのかも。
・奴はお金よりも大切なものを盗んでいきました
ちなみに、「Amazonのマーケットプレイスで、ありえないほどの激安価格で商品が売られている → 購入しても商品が届かない」の詐欺に遭ってしまったとしても、基本的に被害者の金銭的なダメージは限りなくゼロ。なぜならば、Amazonには「マーケットプレイス保証」なる安心の補償制度があるからだ。最高30万円まで返ってくる。
さらに言えば、Amazonは、きちんと取引が成立するまで販売業者への支払いは発生しない仕組みになっている。よって、今回の「Amazonマーケットプレイス詐欺」の目的は……ズバリ「個人情報」なのであろう。支払ったお金は戻ってくるが、盗まれた情報は戻ってこない。どうか皆さんもお気をつけて。激安すぎたら要注意だ。
参考リンク:Amazonマーケットプレイス保証
Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.