一口に居酒屋と言ってもいろいろなタイプがある。大人の隠れ家的な店、ワイワイ騒がしい店、ムーディーでデート向きの店、モヤモヤする店。世の中には、何とも言い表せないモヤモヤ感を醸し出す居酒屋が確かに存在する。そこには不思議な魅力が溢れているのだ。
東京・市ヶ谷にある「いつでもハッピーアワーぼくらのラッキー」。最高である。名前からすでに最高である。実際に訪れたところ、そこには想像以上のモヤモヤが渦巻いていた。まさに『モヤモヤさまぁ~ず』。そしてその正体は、安くて美味しい超優良店だったのだ!
・モヤモヤPOINT 合っているのかよくわからない
東京メトロ・市ヶ谷駅を出て徒歩5分ほど。そこにあるのが「ぼくらのラッキー」……なのだが、パッと見、そこで合っているのかよくわからない。特に看板などがないのである。メニューが貼ってあるので、どうやら居酒屋らしき場所であることはわかるのだけど。
・モヤモヤPOINT 入口がやたら狭い
中に入ろうとすると、入口のドアがやけに細いことに気付く。ほら、クローゼットとか浴室についている中折れドアってあるだろ? あれの片側くらいの幅である。まあそれは言い過ぎかもしれないが、おそらく白鵬とかは中に入れないだろう。
・モヤモヤPOINT 生ビールをやめている
席に着き、ますはビールをと思ったのだが、ふと衝撃的な張り紙を発見した。「生ビールやめました」。やめちゃったのかよ! 冷やし中華始めました、みたいなノリで笑うだろこんなん。さらにその張り紙のモヤモヤっぷりはとどまることを知らなかった。
その下に書かれた「おいしいビール飲んでもらいたいから」という1文。謎である。理由になっていないというか、一体何があったんだよ。さらに、その横の「ジョッキあります」にも注目したい。元々「キンキンに冷えた」と書いてあったのが、二重線で消されているのだ。つまり、ジョッキはキンキンに冷えてはいない。
・モヤモヤPOINT 勝手にやっていい
生ビールは諦めて、『サッポロラガー赤星』の大瓶(税抜440円)をもらおうとしたところ、どうやら瓶はセルフサービスのようだ。このシステム自体は稀に見かけるが、今度も張り紙が素晴らしい。「勝手にどうぞ!」ときた。なんだろう、この絶妙な言葉のニュアンス。センスの塊である。
・モヤモヤPOINT 炊飯器がある
地味に笑うのが、炊飯器が客席の中に置いてあるという点だろう。厨房はちゃんと店の奥側にあるのだが、なぜか炊飯器は客席側に設置してあるのだ。途中、炊き上がったらしくピーピー言っていた。実家か、ここは。
・モヤモヤPOINT 料理はウマい
「ぼくらのラッキーアイテム」なるメニュー表が、店内中央の天井にぶら下がっているのもモヤモヤ度が高かったが、先を急いで注文しよう。『ポテトサラダ(税抜190円)』、『絞り出し明太子(税抜150円)、『三角ハムカツ(税抜120円)』など、100円台の料理も充実。そのどれもがしっかりとウマい。
特に、先述の「ぼくらのラッキーアイテム」にあった『ブリ照り焼き(税抜200円)』。この値段でこの大きさ、この味は非常に良心的だ。さすがラッキーアイテム。『いか刺し肝醤油添え(税抜550円)』なんてのもあり、これも美味しかった。意外に魚系が強いのかも。
・モヤモヤPOINT カラカラに干されている
油断していると、不意打ちでモヤモヤが来るから注意せねばなるまい。またまた張り紙にあった『カラカラに干されためざし(1尾税抜100円)』。このネーミングである。カラカラに干されたって、何したんだよ。横領でもしたのか。実に素晴らしい。
・モヤモヤPOINT 七味ではない
テーブルに七味があったので、なんとなく手に取ってみた。しかし、よく見るとそれは七味ではなかったのだ。こう書いてある。拾壱味。11って! なんか4つ多いし! 「ぼくらのラッキー」オリジナルなんだろうか。こういう不意打ち笑うからやめーや。
・モヤモヤPOINT カレーっぽくない
さっきから気になっていたのだが、マスターは厨房にいるせいか、先ほどご飯が炊けたことに気付いていない。くっ、混ぜてぇ……。そこで、ご飯を必ず使うだろう『みにキーマカレーライス(税抜370円)』を頼むことに。ほっとしていたら、なんかスゴイの来たぞ。
これは……コーヒーゼリーかな? 透明なカップになみなみとカレーが注がれている。カレーにこの器は斬新すぎるだろ。こんなカレー生まれて初めて見たかもしれん。味自体は美味しいけど、やっぱりセンスがすげえよ、センスが。
・モヤモヤしたい人に
この日は2名で訪れ、いろいろと頼んで2000円ずつとコスパ的にも優秀。面白いだけでなく、味も居心地も良いお店だったので、モヤさまファンにはぜひオススメしたい。正直まだモヤモヤを書き足りないのだが、あとはさまぁ~ずが来店した時用に残しておくとしよう。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 いつでもハッピーアワーぼくらのラッキー
住所 東京都新宿区払方町15 稲川ビル1F
時間 18:00~0:00(その日によって変わる可能性があるため要確認)
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼モヤモヤPOINT 入口がやたら狭い
▼モヤモヤPOINT 生ビールをやめている
▼モヤモヤPOINT 勝手にやっていい
▼サッポロラガー赤星大瓶(税抜440円)
▼モヤモヤPOINT メニューが天井にぶら下がっている
▼ポテトサラダ(税抜190円)
▼絞り出し明太子(税抜150円)
▼三角ハムカツ(税抜120円)』
▼モヤモヤPOINT 炊飯器がある
▼ブリ照り焼き(税抜200円)
▼いか刺し肝醤油添え(税抜550円)
▼モヤモヤPOINT カラカラに干されている
▼カラカラに干された目刺し(1尾税抜100円)
▼ジャンボニュー雷門サワー(税抜550円)
▼モヤモヤPOINT 七味ではない
▼モヤモヤPOINT 炊き上がったらしくピーピー言う
▼モヤモヤPOINT カレーっぽくない
▼来いよ、さまぁ~ず