食事の前に「いただきます」と言う。あたり前のことである。きっと多くの人が食前は両手を合わせ「いただきます」と発しているに違いない。……だが、それは家族や友人などと一緒にいるときだけで、1人のときも「いただきます」と言えているだろうか?
お恥ずかしながら、私(P.K.サンジュン)は1人で外食するとき、例えば牛丼屋やラーメン屋で「いただきます」とは言っていなかった。だが、今は1人でも「いただきます」と言うようにしている。というのも、偶然居合わせたOLさんの「いただきます」にいたく感動したからだ。
・普通に食事をしていたときのこと
つい先日。取材でカレー店に訪れたときのことだ。その店はオールカウンター席でテーブルなどはない。当然、お客さんの多くは1人で来店しており、ラジオの音と外から入ってくる自動車の音だけが私の耳に入ってきた。つまり……普通の店である。
たまに聞こえてくる人の声は、店主が発する「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」、そしてオーダーの声だけだ。それを疑問に思うこともなく、ただ私は料理が到着するのをスマホをいじりながら待っていた。
私からひとつ席を空けた右隣には、先に入店していた1人きりのOLさん。彼女も私のように、スマホをいじりつつカレーを待っている。そして5分ほどが経過した頃だろうか、彼女のカレーが先に運ばれてきた。
・右隣にいたOLさん
「何カレーかな?」なんてことは気にしない。そもそも横にいるから視界に入らない。ただ時間が少し過ぎただけである。だが、彼女が「いただきます」と発した瞬間、銃声がした方角へ反射的に目が行ってしまう感覚で、その横顔をガン見してしまった。
なんて素晴らしいことだろう? 別に誰も聞いてないのに、そこで「いただきます」がなくても不自然じゃないのに、いや……どちらかと言うと1人で「いただきます」と言う方が目立ってしまうのに、彼女はごくごく自然に両手を合わせ「いただきます」と発したのだ。
きっと多くの人は、1人の場合「いただきます」と “心の中で” 唱えているに違いない。……だが思い返して欲しい。心の中で唱えるのがあたり前になりすぎて、1人のときに本当に「いただきます」と心で呟いているだろうか? ごめんなさい、私はついつい疎かになっていました。
数人で食べようと1人で食べようと、食べ物のありがたさは変わらない。誰かと一緒なら出てくる言葉ならば、1人でもきちんと唱えるべきなのだ。あの日あの時あの場所に偶然居合わせたOLさん……顔も覚えてないけど、あなたの「いただきます」に本当に感動しました。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
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▼このカレーが運ばれてくる直前の話である。