男子厨房に入るべからず……そんな時代はとっくに過ぎて、男性でも料理をする人が増えた。それ自体は喜ばしいことなのだが、筋金入りの料理男子である筆者からすると、最近「なんちゃって料理男子が増えたのでは?」という気がしてならない。
簡単にいえば「カレーが作れるレベル」で、料理男子を名乗ってしまう男性が増えていると思うのだ。それはそれで構わないが、その程度で「自分は料理ができる」と思い込まれてしまっては、台所を預かる主婦や本当に料理ができる人が軽んじられてしまうのではないだろうか?
・3つのポイント
まず断っておくと、筆者は転職前までの約4年間、平日は毎日晩ごはん作りをしていた。元々料理は好きだし味覚も悪くはなかったので、メキメキと腕を上げた結果、筆者なりに「料理ができるってこういうことなんだな」といういくつかのポイントを掴んだのである。順を追って説明しよう。
・買い物ができる
一つ目のポイントは「買い物ができる」ということ。例えば最初から「今日はおでん!」とメニューが決まっていれば料理は簡単。ほぼ終わったも同然だ。だが実際は、あらかじめメニューが決定していることなど滅多になく、買い物をしながらその日の献立を決めなければならない。
冷蔵庫にあるものを把握し、その日のお買い得商品を中心にメニューを組み立てていく……ほぼ毎日。年に数回、バーベキューのためにスーパーに買い出しに行くのとはわけが違うということを、よくよく理解していただきたい。
・片付けながら調理できる
二つ目は「手際の良さ」とも言い換えられる。料理が出来上がったのはいいけれど、鍋やボウルが洗い場に山のように積み上がっては、料理ができると言って欲しくない。超広いキッチンならばそれでもいいが、多くの場合キッチンは手狭である。
逆にいえば片付けながらでないと、効率的に料理は進められない。切って煮て焼いて……だけが料理ではなく、キッチン道具をいいタイミングで洗いながら調理を進め、料理が完成したときには最低限の洗い物しか残さない……それを含め料理ができるということである。
・味が想像できる
少し嫌味な言い方になるかもしれないが、大さじや小さじに頼っているうちはまだ半人前。最初はそれで構わないが、毎日のように料理をしていると「この鍋にこれだけの塩を入れたらこういう味になる」という想像がついてくるものだ。
ほんの一つまみの調味料で、料理は美味しくもなるしマズくもなる。味が想像できるようになるには場数を踏む必要があるから、たまにしか料理をしない人に「俺のナポリタン超ウマいんだよ!」とか言われても「はい(無表情)」としか言いようがない。
──ざっとこんな感じである。このコラムは、なんちゃって料理男子を批判することが目的ではない。筆者が言いたいのは、テーブルの上の料理は “ただ作った” だけではなく、様々なプロセスを含んでいるということである。
もしあなたが奥さんに料理を任せ「料理くらいチャッチャとできて当たり前」と思っているなら、考えを改めたほうがいいだろう。料理は楽しい反面、とても手間がかかるのだ。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.