「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか?」「ダメ、絶対!」と言われているのが、覚せい剤や麻薬などの薬物乱用。手を染めてしまえば抜け出すことは困難で、人間を外側からも内側からも破壊していく。
そして今回の動画を見れば、多くの人が「薬物乱用は、本当にダメなんだ!」と痛感することになるだろう。それは、薬物中毒のお母さんから生まれてきた赤ちゃんの動画。なんとその小さな足が禁断症状のせいでブルブルと震えているのだ……。
・薬物中毒で生まれてきた赤ちゃん
生後数週間の赤ちゃんの足がブルブル震える……。その姿が撮影されたのは、米ウェストヴァージニア州に位置するキャベル・ハンティントン病院。母親の薬物乱用の影響を子宮内で受けた赤ちゃんが、薬物中毒で生まれてきて、離脱症状を見せているのだ。
なんとも痛ましい姿だが、アメリカではこのような赤ちゃんが増加の一途を辿っており、19分に1人の割合で薬物中毒の赤ちゃんが生まれてくるそうだ。
・母親「ヘロインでハイになることが全てだった」
恐ろしくなるほどの割合だが、薬物中毒を克服しようと頑張ったお母さんもいる。それが、1人目の赤ちゃんを出産した際に、ヘロイン中毒だったクロリサ・ジョーンズさんだ。
「多くの人から “赤ちゃんが可哀相” だと責められたけれど、当時の私はハイになることだけが全てだった」と語る彼女は、ある日、ヘロインを買いにいく途中で交通事故を起こし、子供の親権を失うことになったという。
・病院のリハビリプログラムに参加
それと同時に、2人目の妊娠が発覚したクロリサさんは、「同じ過ちを繰り返してはならない」と一念発起し、ジョーンズ・ホプキンス病院の “薬物中毒の母親向けリハビリプログラム” に参加したとのこと。
しかしそれでも、赤ちゃんに薬物乱用の影響は及んでしまうようだ。ヘロイン中毒を脱するために彼女がメタドンを摂取していたため、生まれてきたブラクストンくんがメタドン中毒になっていたのだ。
幸いにも現在では、ブラクストンくんも中毒症状をほぼ脱したそうで、クロリサさんは「病院は、自分だけでなく、息子も救ってくれた」と話しているのだった。
・赤ちゃんが生まれた背景は?
もちろん悪いのは、薬物に手を出す母親かもしれない。けれども彼女たちだけを責めても、被害者となる赤ちゃんを減らすことは難しいのではないか?
元アメリカ下院議員のジェイムズ・グリーンウッドさんは、「薬物中毒の子供が生まれた背景、母親、家族、近隣地域などの安全確認が必要だ」と、より広い目で状況を捉えた対策を訴えているのだった。
お伝えしたのはアメリカでの話だが、日本でも生後3カ月の赤ちゃんが覚せい剤を投与されて死亡した事件があったように、私たちにとっても異世界の問題ではないはずだ。確かに薬物乱用に対して「ダメ、絶対」と言うことはとても大切。けれども、他人事だ、自己責任などと、事態を突き放さない姿勢だって必要なはずだ。
参照元:YouTube、Reuters(英語)テレ朝NEWS
執筆:小千谷サチ