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【本人降臨】ドイツにやって来たシリア難民が「何でも聞いて」と質問を受け付け! 質疑応答37選がコレだ!!

2015年10月10日

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世界中が頭を悩ませるシリアの難民問題。ヨーロッパを始め、世界中の国で対応や支援の方法が分かれている。ここ日本は「難民鎖国」と評され、国内外からもっと難民を受け入れべきではないかとの声も上がっているようだ。

では渦中にいる難民の人々は、一体どのような気持ちで過ごしているのだろう? そこで今回は海外サイト Reddit に寄せられた「僕はドイツにやって来たシリア人難民です。質問を受け付けるので、何でも聞いて下さい」という投稿をご紹介したい。2015年1月にドイツにやってきたという18才の彼は、なぜシリアを脱したのか? そして今どんな生活を送っているのか?……質疑応答37選を通して見ていこう。

なお、この投稿は2015年9月中旬のものなので、現在の情勢とは違った部分もあるかもしれない。

Q1:シリアのどこの地域から避難してきたんですか?
A1:シリア北東部、トルコ国境の都市カーミシュリーです。他の地域よりは比較的安全ですが、食べ物、水、電気などの住環境はあまりよくありませんでした。

Q2:もしもシリアに留まっていたら、今頃どうなっていたと思いますか?
A2:どこかの戦闘部隊に入るように勧誘されていたか、誘拐されていたでしょう。

Q3:では過激派組織 ISIS に強制的に入団させられる可能性もあったのですか?
A3: ISIS がコントロールしている土地だったら、そうですね。彼らのルールに従わなければならないからです。強制ではありませんが、家族の生活を支えるために自分から入団する人もいるんです。

Q4:どこの側にも立たない、 “中立的” な立場ではいられないのですか?
A4:中立的? 私がいた場所では、誰も “中立的” でなんていられません。どこかの側に付かないと、とても難しい立場に立たされることになります。

Q5:ドイツにはどのような方法でやって来たんですか?
A5:私の旅は、他の人に比べるとずっと安全でした。トルコからドイツに飛行機でやってきて、空港で難民申請を行いました。そこで居住許可を受け、今はドイツ語を学んでいます。

Q6:具体的な方法を教えてもらえますか?
A6:まずイタリアの偽の ID カードを手に入れ、イタリア訛りの英語を勉強し、最高級の洋服とオシャレな髪型でドイツ行きの航空チケットを買ったんです。

Q7:ヨーロッパにやってくる方法をどうやって知ったんですか?
A7:密航業者に頼みました。業者を見つけるのは簡単なんです。トルコの首都イスタンブールに行き、ヨーロッパへの行き方を知っている人はいるかと適当に尋ねると、プロセスを一つ一つ教えてくれる人物が現れるんです。気がつけばドイツに着いていた……といった感じです。

Q8:トルコは、あなたにとって危険な場所だったんですか?
A8:まず私はトルコに不法入国したのですが、入国した途端にトルコ兵に叩きのめされました。3日間拘束され、それからシリアに戻されたんです。1週間後、私は密輸入者に金を払ってトルコ兵を買収し、トルコに再度入国することができました。

トルコ兵は、私を近くの警察署に連れて行き、ID カードを発行してくれました。けれどもその ID カードでは、働くことも部屋を借りることもできず、その町の路上での滞在が許されただけでした。

国境の難民キャンプは、家族やシングルマザーが優先されたので、独り身の私は入ることが出来ませんでした。眠る場所も無く、働くこともできず、学校にも行けず、路上にいるだけ。そこでヨーロッパに渡る決心をしたんです。

Q9:ドイツのどこに住んでいるのですか? ドイツの文化をどう思いますか?
A9:難民申請が通るまでは、ザールラント州に住んでいました。ドイツは良い国ですね。人々の真面目さやビール、田園地方に広がる美しい風景が好きです。この国に恩返しできるように頑張りたいと思います。

Q10:なぜドイツを選んだのですか?
A10:特にドイツを目指していたわけではありません。成り行きですね。

Q11:あなたの家族で、まだ危険な地域で暮らしている人はいますか?
A11:私の父と姉は、比較的安全な地域に暮らしています。水も食べ物もあり、電気もある程度は通っています。なので特に緊急で国を脱出する必要はないようです。父は60才を超えているので、どこかの戦闘部隊に入るよう強制されることはありません。

……さらなる質疑応答は、次ページ(その2)へ!

参照元:Reddit(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:Wikimedia Commons

【本人降臨】ドイツにやって来たシリア難民が「何でも聞いて」と質問を受け付け!質疑応答37選がコレだ!!

Q12:ドイツで、嫌な体験などしていませんか?
A12:これ以上望めないくらい、とても良くしてもらっています。人々は親切ですし、行政も協力的です。人種差別にも特に遭遇していません。

Q13:ドイツに来てから、一番のカルチャーショックはなんですか?
A13:インターネットやメディアのおかげで、ヨーロッパの文化については一通り知っていたので、特に驚いたりはしませんでした。けれども、人々が選挙に行かないことに驚きましたね。ドイツでは多くの人が選挙に行かないようですが、本当に驚きました。

Q14:毎日どのように過ごしているんですか?
A14:平日の午前中は、語学学校に通っています。午後は、ピンポン、サッカーをそれぞれ週に2日。そして頼み込んだ末に、ある大工の元で週に2日インターンとして働かせてもらっています。

インターンなので、給料は発生しないはずなのですが、大工のボスが払ってくれているんです。休日はサッカーを観たり、友人と一緒に過ごしています。

Q15:あなたは健康ですか? もしそうなら、国から逃げるのではなく、国に留まって、問題を解決するために頑張ろうとは思わないのですか? 祖先が悲しむとは思わないのですか?
A15: “問題を解決する” とはどのような行為を指すのでしょうか? 銃を構えて、私の意見に反対する人々を殺していくことなのでしょうか? 祖先が悲しむとも思っていません。

それに私はシリアで会社を運営しており、2人の従業員も雇っています。彼らの貧しい家族を支えています。あなたもシリアに行けば、多くの人々が国を離れていく理由がすぐに分かるはずです。

Q16: “多くの難民が、ヨーロッパにやってきて、よその国の政府の支援に頼りきっているだけ” という批判がありますね。どう思われますか?
A16:確かに多くの難民が、手厚い支援をしてくれる国を目指します。けれどもずっと頼りっきりというわけにはいかないでしょう。例えばドイツでは、語学クラスを卒業した後は生活支援も打ち切られ、自力で仕事を探さなければなりません。永久に支援に頼りきるということはないはずです。平均9カ月で、語学クラスを卒業となります。

Photo:Wikimedia Commons

Q17:サウジアラビアやアラブ首長国連邦など、難民受け入れに消極的ですね。もしもそれらのイスラム国家が難民を受け入れたら、あなたはそちらに行きますか?
A17:私はそれらの国を、悪い国だと思います。彼らがこれまでに良い行いをしたことがあったでしょうか? 私は覚えていません。正式に住める国なら私はどこでも構いませんので、文化や言語が同じイスラム教の国の方が暮らしやすいのは確かですね。

Q18:でも受け入れをしなくても、お金で支援をしてくれますよね? 例えばアラブ首長国連邦は、シリア難民を支援する団体に何億ドルもの多額の寄付金を出していますよね?
A18:「悪い国」とはちょっと言葉が過ぎたかもしれませんが、けれども何億ドルも支援したからといって、状況が良くなることはありません。なぜなら助ける難民の数が多すぎるので、お金だけで支援するには限界があるからです。

Q19:いつかシリアに帰りたいですか?
A19:もちろん。実現するとは思えませんが……。

Q20:あなたは、難民問題が今のように深刻になる何カ月も前に飛行機でドイツまでやってきたり、英語が話せたりしますね。他のシリア人よりも恵まれているように思うのですが……? 
A20:そうですね。私は中流家庭に育ち、また家族の中で私だけが国を出なければならなかった。その様な状況は、恵まれていると言えるかもしれませんね。

Q21:今後、シリアはどうなると思いますか?
A21:個人的な見解では、アラウィー派、スンニ派、クルド人自治区という、3つの国に分かれることがベストな選択肢だと思っています。けれども、そんなことは現実にならないでしょう。これから10年は、状況が良くならないと思っています。

Q22:祖国の何を恋しく思いますか?
A22:暑い気候です。ドイツは寒くはないし、夏だってちゃんと暑いです。けれども晴れていたかと思うと、急に雨が降ったりとちょっと変な天気だったりするんです。

Q23:おすすめのシリア料理は何ですか?
A23:ファッテです。美味しいですよ。

Q24:ISIS に対するアメリカやイギリスの空爆について、どう思いますか?
A24:素晴らしいことだと思います。シリアでの革命と内戦が始まって以来、一番よかったことだと思います。

……残りの質疑応答は、次ページ(その3)でへ!!

参照元:Reddit(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:Wikimedia Commons

【本人降臨】ドイツにやって来たシリア難民が「何でも聞いて」と質問を受け付け!質疑応答37選がコレだ!!

Photo:Wikimedia Commons

Q25:密航にはどれくらいお金がかかったんですか?
A25:1万1000ユーロくらい(約150万円)ですね。私はシリアでネットカフェを営んでいるので、ある程度のお金があります。また父もカンパしてくれました。

Q26:シリアでは内戦のため、インターネットが繋がらないと聞いたのですが?
A26:ADSL や 3Gは無理ですが、人工衛星を介してネットにアクセスしていたんです。多くの人がネットを必要としていましたよ。

Q27:ISIS が遺跡などの歴史的な文化財を破壊することをどう思いますか?
A27:国がその歴史を失うとき、同時にアイデンティティも失うことになります。

Q28:“難民は、自分の国を守らない臆病者。同時にヨーロッパを滅茶苦茶にしている” という考えをどう思いますか?
A28:この問題を解決しない、幼稚な姿勢だと感じます。他人を “臆病者” と呼ぶことは簡単ですが、全体像を把握している人は少ないのではないでしょうか?

Q29:イスラム文化と西洋文化には、大きな違いがありますね。同性愛者を嫌ったり、女性をさげすむ人もいると聞きます。そんな人々が、ヨーロッパの社会に溶け込めると思いますか?
A29:確かにイスラム教徒には、ある程度の “傾向” があるかもしれません。けれども、古い考え方と宗教的な教えが混ざっている場合も多いです。他者の信仰を無理に変えることはできませんが、古い考え方なら変えていくことができるはずです。

新たな土地にやって来た人々に、そこでの暮らし方や常識を少しずつ教えていけば、人々も “古い考え” を改めていくのではないでしょうか。

Q30:メディアの報道を見ていると、ずいぶん嫌な難民の人々も見受けられます。どう思われますか?
A30:メディアは、普通のことは報道しないものですよね。変なこと、特殊なことを取り上げるものです。時間があったら難民キャンプに足を運んで、そこにいる人々と話してみて下さい。もっと難民の人々のことが分かると思いますよ。

Q31:ISIS のメンバーと遭遇したことがありますか?
A31:1度だけあります。他の町へ向かっているときに、ISIS が道を封鎖していたんです。彼らの言うとおりに従い、刺激しなければ、特に問題はありません。

Q32:シリアでは、密航業者などによる「ヨーロッパは天国の様に素晴らしい」という嘘が氾濫していると聞きます。本当ですか?
A32:実に多くの嘘が氾濫しています。みな、ヨーロッパは地上の楽園だと思っているんです。密輸業者がそのような嘘を垂れ流し、多くの人をヨーロッパへ誘い出すのです。私は、ヨーロッパはウェブサイトを作って、それぞれの国の方針や情報を掲載すればいいと思います。そうすれば、より多くの人が正しい情報を知ることができます。

Q33:シリア人とドイツ人がお互いを知るために、どんなことをすれば良いでしょうか?
A33:おしゃべりしたり、サッカーで遊んだり。何かを一緒にすることで、お互いのことをより知ることができると思います。

Q34:ヨーロッパにやって来た難民の人々のお手伝いをしたいと思っています。どんな方法がいいと思いますか?
A34:翻訳・通訳が出来るといいですね。一番求められている役割だと思います。もしもスポーツをするなら、近くの難民キャンプに行って、人々と一緒にやってみるといいでしょう。何にもならないかもしれませんが、気持ちは伝わるはずです。

Q35:外部勢力がシリア内戦に介入にすることに対して、国民はどう思っているんですか?
A35:立場によって違いますね。政府支持者なら外部介入を受け入れないでしょう。反政府派なら物流支援やトレーニングなどを求めるはずです。クルド人なら内戦を中断するだけで支配してこないなら、介入を受け入れると思います。

Q36:女性の難民は少ないと聞きました。なぜですか?
A36:過酷な旅になるからです。多くの場合、まず父親が多額の費用をかけて他の国に移り住みます。その後、家族を呼び寄せるんです。

Q37:ヨーロッパに住んでいると、アサド大統領はとても悪い人物だとよく聞きます。けれどもあるシリア人の男性は、“本当はそこまで悪くはない” と述べていました。私たちは間違った情報をメディアから与えられていたのでしょうか?
A37:今のシリアでは、悪いことを批判することも出来ず、政府が言うことを全て受け入れなければなりません。以前、シリア・ラタキアの路上で、アサド大統領の親戚が1人の大佐を射殺しました。その理由が、大佐の車に追い抜かれて腹を立てたから……。アサド一家を止めることは誰にも出来ません。

メディアの言うことばかりを聞かないで下さい。同時に私の言うことも鵜呑みにしないで下さい。色々な情報を仕入れて、自分の頭で考えてみて下さい。

参照元:Reddit(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:Wikimedia Commons

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