日本のみならず、世界中にファンを持つ “スタジオジブリ”。世界中に多くいるジブリファンのなかでも、ちょっと変わったジブリファンを今回みなさんにご紹介したいと思います。
彼の名は、くろすけさん。製造オペレーターをやっている一見普通の40歳男性ですが、彼のアパートに一歩踏み入れると、そこには数え切れないほどのジブリグッズがあるではありませんか!
そう、彼はジブリグッズ、それも非売品のグッズを主に集めるジブリグッズコレクターなのです!!
一体なぜ彼は、ジブリグッズにこれほど魅了されているのでしょうか? そしてこれほどたくさんのジブリグッズを、彼はどう楽しんでいるのでしょうか? その真相を探るべく、くろすけさんのご自宅にお邪魔し、インタビュー取材をしてきました。以下がそのインタビュー内容です。どうぞ!
記者:いつからジブリグッズを集め始めたんですか?
くろすけさん(以下 くろすけ):2003年ぐらいからですね。
記者:ジブリグッズを集めようと思ったきっかけは?
くろすけ:たまたま観たテレビ番組で、手塚治虫作品の初版本にすごい価値があることを知って、自分も何か後世まで残る価値あるものを集めようと思ったんです。それでジブリがもともと好きだったので、ジブリグッズを集めることにしたのですが、どこのお店でも買えるグッズを集めるのは普通すぎて面白くないので、非売品を集めることにしました。
記者:なぜジブリが好きなんですか?
くろすけ:年齢によって違う楽しみ方ができるところですかね。ジブリ作品のストーリーは表向きは、子ども向け作品なんですけど、時代背景やキャラクター設定などを調べてみると、その裏側には大人も楽しめる深いストーリーが隠されているんです。だから子どもの時に観た感想と、大人の時に観た感想が全く違ったりして、面白いんです。またジブリ作品は、細かいところまでこだわって作られていて、好きですね。
記者:今までグッズに、どのくらいのお金を使ってきたんですか?
くろすけ:だいたい300万円~400万円ぐらいだと思います。
記者:それだけたくさんのお金をグッズ集めに使って、「他の事に使っておけばよかった…」などと後悔したことはありますか?
くろすけ:ないですね。最初にジブリグッズを集めようと決断した時に、とことんやろうと決めたので。実はジブリグッズを集める前はゲーマーで、その時も『バーチャファイター3』をやり始める時に、とことんやろうと決めて、2~3年間毎日ゲームセンターに通っていました。
北海道のバーチャファイター大会参加のために遠征などをしていたので、総額200万円~300万円ぐらいゲームに使いましたね。なので僕は “熱中しようと決めたら、とことん熱中しちゃう” タイプなんです。
記者:好きなジブリグッズは何ですか?
くろすけ:ジブリ作品はアニメーション作品なので、やはりジブリの絵が好きですね。
記者:ジブリグッズの主な入手方法は何ですか?
くろすけ:ネットオークションですね。主にYahoo!オークションを使っています。自分の(奥さんからの)お小遣いの許す範囲で、非売品グッズを買い集めています。
記者:欲しいグッズを見つけたけど、値段が高くて、買おうかどうか悩むことはありますか?
くろすけ:一点物(いってんもの)に近い物だったら、その時に買わないと、次にいつ手に入るか分からないので買うと思います。今までに欲しいものを買い逃して、後悔した苦い思い出があるので。後悔するなら、買って後悔したいですね(笑)
記者:ジブリグッズ集めをやっていて、よかったと思える時は、どんな時ですか?
くろすけ:ジブリ好きの友達ができたことですね。
記者:グッズを眺めている時ではないんですね?
くろすけ:違いますね。グッズ集めを通して、人との関わりができたこと、これが一番の宝物です。
記者:これだけたくさんのジブリグッズを持っていて、将来博物館とか開きたいと思わないんですか?
くろすけ:版権の問題があるから難しいでしょうね。でもスタジオジブリがそういうことをやると決めて、自分がお力になれる時は、自分が持っているグッズをお貸ししたいと思います。
記者:宮崎駿さんに対しては、今どんな想いを抱いていますか?
くろすけ:もう十分すぎるくらい頑張られたので、あとは本当に好きなことだけに没頭してほしいですね。今までは仕事として、興行収入や締め切りとか、いろんなしがらみがあったと思うんですけど、これからはそのしがらみがないので、自由に好きなものを好きな時に描いていってほしいです。
たぶんそういう時って、人ってすごくいいものが作れる気がするんですよね。そして宮崎監督がそうやって作った作品を僕はすごく観てみたいんです。
記者:宮崎さんと毎年お会いできる機会があるとおっしゃっていましたが、実際に宮崎さんとお会いしての印象はどうですか?(宮崎さんは毎年、淵の森周辺の草刈り行事を開催しており、そこにくろすけさんも参加しているとのこと)
くろすけ:気さくなおじさんって感じですね。全く偉ぶらず、冗談も普通に言いますし、本当に親しみやすい方です。だからこっちが逆に、「ああ! あの宮崎駿監督だ!!」と身構えてしまうと、宮崎さんもきっと心の壁を作っちゃうかもしれませんね。
記者:じゃあ、子どもの方が宮崎さんと仲良くなりやすいということですか?
くろすけ:そうですね。子どもには僕ら大人のような邪心がないですから(笑)。宮崎さんも子どもが大好きですし。
記者:最後の質問です。くろすけさんのこれからの夢は何ですか?
くろすけ:サツキとメイの家を建てて、そこに住み、平穏にジブリグッズを集めていきたいです。
いかがでしたでしょうか? きっと多くの方がくろすけさんの凄まじいジブリ愛に驚かされたのではないでしょうか?
実際にインタビューをしていて記者(私)が一番感じたことは、ジブリを熱く語っている時のくろすけさんの目がキラキラ輝いていたということ。
まるで少年のような目で、くろすけさんはジブリの素晴らしさを楽しそうに語っていて、聞いているこっちまで笑顔になったほどです。くろすけさん、本当にありがとうございました!
Special Thanks:くろすけさん(Twitter・Facebook)
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
▼くろすけさんのグッズルームを360度画像でどうぞ!
テスト - Spherical Image - RICOH THETA
▼くろすけさんのご自宅の玄関。ここからすでにジブリワールドが始まってる!
▼美術館のように、ひとつひとつ丁寧に飾られたジブリの絵が出迎えてくれました
▼浴室への扉には素敵な暖簾(のれん)が♪
▼ジブリ美術館にジョン・ラセターさんが来館された際に配られた記念Tシャツ
▼トイレもすごい!
▼こちらがリビング
▼結婚祝いに友達からもらったというユーモアたっぷりのムスカゴミ分別シール
▼お宝グッズが眠るくろすけさんのグッズルーム
▼くろすけさんがコレクターとして最初に手に入れたグッズは、『風の谷のナウシカ』の映画パンフレット
▼ジブリは映画本公開の1年後にまた映画を上映するという2次上映を『おもひでぽろぽろ』まで行っていたため、それまでの作品には映画パンフレットが2種類存在する
▼左は1次上映時の徳間書店からのパンフレット、右は2次上映時の大映からのパンフレット。昔のジブリ映画にはパンフレットが2種類あるなんて知らなかった!!
▼くろすけさんが持っているグッズのなかで一番高いグッズは、アカデミー賞受賞記念で作られた『千と千尋の神隠し』アカデミー賞レプリカトロフィー(写真左)&複製セル画。お値段はなんと6万8000円!!
▼『風の谷のナウシカ』のパソコンゲームは5万7000円でオークションで落札
▼ジブリは『もののけ姫』製作以降、その作品の記念腕時計を作っており、それもくろすけさんは集めています
▼くろすけさんはジブリグッズを買うために、いろいろと節約しているとのこと
▼ジブリの鈴木敏夫プロデューサーに書いてもらったサイン。鈴木さんは絵が上手いらしく、このカオナシも鈴木さん本人が描いたもの
▼『思い出のマーニー』の監督・脚本を務めた米林宏昌さんのサイン
▼左上の写真に写っている女性:『となりのトトロ』の主題歌や『天空の城ラピュタ』のエンディングテーマを歌った井上あずみさん、左下の写真の左の女性:くろすけさんの奥さん、真ん中の女性:ナウシカの声優を務めた島本須美さん、右上の写真に写っている男性:鈴木敏夫さん 右下の写真の男性:宮崎駿さん
▼昔、映画館に貼られていた映画宣伝用のロビーカード
▼今の映画館では見られないちょっと懐かしいグッズです
▼『ハウルの動く城』のDVD発売時に行われたプレゼントキャンペーンの賞品
▼映画『もののけ姫』の宣伝用に家電量販店に置かれていた巨大ボードとコダマ人形
▼映画の試写会招待状やジブリが関係者宛てに送った年賀状までくろすけさんは集めていました。全てオークションで買い集めたものです
▼『風の谷のナウシカ』が公開された当時に発売されたナウシカチョコとナウシカクッキーの箱
▼そして私が一番衝撃を受けたのが、トトロのゾエトロープ
▼上にストロボスコープがあり、部屋を暗くして使うと……
▼こうなる!!
▼あまりにたくさんのグッズがあるため、くろすけさんは自分でグッズ記録用の本を作っていました
▼現在持っているグッズの数は、だいたい1000点
▼くろすけさんの一番好きなジブリ作品は『となりのトトロ』。理由はストーリーにそこまで緩急がなく、安心してずっと見ていられるから
▼くろすけさんはジブリ好きが高じて、『となりのトトロ』に登場するサツキとメイの家をミニチュア版で再現してしまった! これを完成させるのにかかった年月はなんと2年半!!
▼現在はサツキとメイの家より何倍も大きいジブリ美術館を、ミニチュアで再現しようとしているらしいです。恐るべし、くろすけさんのジブリ愛!!
▼くろすけさんはグッズひとつひとつを大切にし、しっかりと楽しみたいから、グッズ同士をできるだけくっつけて置かないようにしています
▼映画『借りぐらしのアリエッティ』公開の舞台挨拶で使われたボードと実物サイズのアリエッティ
▼くろすけさん「このアリエッティの実物サイズ人形を売り出せば、絶対ヒットするはずなのに、ジブリは発売しないんです。それはアリエッティの映画のキャッチコピーが『人間に見られてはいけない』だから。そう、売り出すと、たくさんの人間の目に触れられてしまうからなんです」
▼ひとつのことに夢中になることの楽しさと素晴らしさを教えてくれたくろすけさん。みなさんもくろすけさんに負けないくらい夢中になれるもの、ありますか?