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「自分にはないだろう」と油断していると、突然、自分に降り掛かってきたりすることがある。今回の例でいえば、ロストバゲージだ。ロストバゲージとは、預けた荷物が空港で紛失したり、最悪なくなったりすることである。

筆者(以下、私)は約2年半前、○○航空(アメリカ系航空会社)でロサンゼルスからサンディエゴに行き、サンディエゴの空港でロストバゲージにあった。たった45分ほどのフライトである。出てきた荷物は、見慣れない大きな黒色のスーツケース。どうみても、私のものではない。私のスーツケースは黄色のやつだ。これは困った!

急いで、○○航空のスタッフに相談をすると、なんと私のスーツケースは南米エクアドルに行ってしまったらしい。つまり、ここにある黒いスーツケースは、エクアドルに行った旅行者のモノのようだ。完全にスイッチしてしまったようである……。

私は、「発見したらすぐに、郵送で届けてほしい!」とお願いし、書類をもらって空港を後にした。ただ、空港を後にしたのはいいが、着替えも歯ブラシもジャケットも何もない。だが、ここであることがひらめく。そう、アメリカに来る前に成田空港で保険に加入していたのだ。

「保険金が出るかも!」と思い、早速、保険会社に電話し事情を説明すると、何やら色々と説明をしてくる。結論からいうと私の入っていた保険では、1000ドルまでの保証を受けられるらしいが、いくつか条件があるという。その条件とは、以下の4つだった。

1:荷物がなくなってから6時間経過しないとロストバゲージと認定されない。
2:ロストバゲージにあった空港で、その証明書をもらう必要がある。
3:ロストバゲージから96時間以内(4日間)のレシートのみが保証の対象となる。
4:運送会社から自分の荷物が配達されたら、証明書をもらう必要がある。

なんだが凄く面倒くさそうなのだが、もっとも注意すべきは3番目の条件だった。96時間以内のレシートのみ有効ということは、4日間しか時間がないのだ。ということで、私はすぐに下着や洋服、化粧品などを買いにモールへ向かった。

必要なモノをバババババと購入し、今度はホテルにチェックイン。だが、これで安心はできない。なぜなら、荷物がいつ来るかわからないし、最悪紛失した可能性もあるからだ。したがって今度は、帰国便を遅らせるため、○○航空に電話した。

■以下、私とスタッフの会話

(私)「ロストバゲッジにあって、荷物がありません。いつ届くかわからないので、日本に帰る便を遅らせてください」

スタッフ「お客様のチケットは、変更が一切できないチケットです。したがって、変更はできません」

(私)「はい、変更ができないチケットであることは知っています。ですが、ロストバゲージで旅の予定が狂い、さらに現在も行方がわからないのです。それでも、難しいでしょうか?」

スタッフ「お客様、わかりました、一度上司に確認しますので、お待ちください」

(私)「はい、おねがいします」

「お願いします」と言ってから10分が経過、まだ受話器からは音楽が流れている。15分、20分と時間が経つも、一向に音楽は流れたままだ。いったい、どのくらいの時間を待てばいいのだろう? いつも温厚な私でも徐々に怒りが込み上げてくる。そして、約40分後、ようやく音楽が切れて、スタッフが電話に出る。

スタッフ「お待たせしました、えっと上司と相談させていただきまして……」

(私)「チョチョチョチョ!! お待たせしましたって、こっちは40分以上も電話口で待っているんですが。普通、これだけ長い時間待たせるなら、途中で通知を入れるとかしてくださいよ」

スタッフ「はい、お客様、大変申し訳ありませんでした。ですが、お客様、お客様のために、こちらも何度も交渉していたのです。」

(私)「いえ、そういうことじゃなくて、なぜ電話口で40分以上も待たせるのですか。待たせるなら、途中で『ちょっと時間かかりそうです』くらい言ってくださいよ。それで済む話じゃないですか」

スタッフ「お客様、申し訳ありません。ただ、今回はお客様のために特別にチケットの変更が認められました。お客様の便は○月○日でよろしいでしょうか。あと、エコノミープラスという、スペースが若干広いお席をおとりしました。」

(私)「わかりました。ありがとうございます。そちらでお願いします」

電話口の女性のスタッフは日本語なのだが、なぜかとても口調が辿々しいし、謝ることよりも、「自分がどれだけ上司との交渉を頑張っているのか」をアピールしてきた。アメリカだとこんな対応なのだろうか。まあ、結果的には本当に良かったのだが……。

そして、4日後──。なんということだろう! 運送会社から私のスーツケースが届く! 待ちに待った瞬間だ。迷子になった飼い犬が戻ってきたみたいだ。特になくなったモノとかもないし、これで一安心。よかった! よかった! この4日間はズーッと心配で夜も眠れなかった。最悪、紛失も覚悟していたのだ。本当によかった!  テンションもアゲアゲで残りの日数をエンジョイするぞ! そう、これからが旅の始まりなのである! 神様ありがとう。そんな感じで、残り数日間を普通に過ごすことができたのだった。

……それから、約10日後──。長い長い旅行も終わり日本へ帰国。しかし、まだやるべきことが残っている! そう、保険金の請求である。やるべきことは以下の4つ。

1:保険会社に電話をし、書類を送ってもらう。
2:書類に必要事項を超詳細に記入する。←マジで面倒なくらい超詳細
3:書類にレシートを張り付け、「何を買ったか」、「どこで買ったか」などをこれまた超詳細に明記する。
4:パスポートのコピーをとる。
5:最後に、空港でもらった証明書と運送会社からもらった証明書、それと1の書類とパスポートのコピーを同封し、保険会社に郵送。

いやマジでメンドクサ!!! 保険会社に請求方法を尋ね、書類を全て揃えるだけでもおよそ2時間。コピー機がないから、セブンイレブンまで行ってパスポートをコピー。保険金を請求するだけでこんなに手間がかかるのか!

アメリカで凄く大変な目にあったのに日本に帰ってもこんな時間が取られるとは! まあ、数日後には自分の口座に保険金が振り込まれたから良かったけど、ロストバゲージにはもうコリゴリだ……。

ちなみに、今回は自分で加入した保険会社から保険金が出たが、場合によっては、航空会社からも出るパターンもあるので、もしロストバゲージにあったらその航空会社のホームページにアクセスし、日本語ができる問い合わせ窓口に相談するといいかもしれない。

確か、私は数百ドルくらいの保険金をもらった記憶がある。もちろんその手続きもとても大変だったが……。

Report:Yoshio
Photo:RocketNews24.