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お店の外観はお店の顔、大変重要である。できるだけキレイにして、お客さんを迎えるべきではないかと、私(記者)は考えているのだが、最近発見したお店、東京・池袋の四國屋はお世辞にもキレイなお店とは言えない。店頭には雑貨が雑然と積まれており、これらに値札がついているのである。

ここは何屋なのかな? と思うと頭上の看板には「素うどん」の文字が。異様に気になる……。入って大丈夫なのかなと、不安になりながらも素通りできず、思い切って入ってみた。そうしたところ、わびしい事実を知ることとなり、何とかしたいと強く思ったのである。何かしてあげることができれば……。

・入れない

まず驚いたのは、入り口の引き戸が開かないことだ。入り口には貼り紙がしてあり、開きにくくなっているのでノックするように書かれている。開きにくいとはいっても、限度があるだろう。思いっきり力を入れれば開くのではないかと思い、開こうとしたが1ミリも動かないのだ。固い! なんて固い入り口なんだ、コレでは入れないぞ!

・おばあさんが内側から開けてくれた

そう思っていると、なかから「今開けます」と人の声が聞こえた。そしてゆっくりではあるが、少しずつ入り口が開いた。そこにいたのは、お店の主と思われるおばあさんだった。大人の男が開けられない引き戸を、おばあさんが開いた! と感心していたのだが、どうやら建て付けが悪く、引き戸がレールを噛んでしまっているようだった。

・地震の影響で建物に歪み

詳しくおばあさんにお話を聞くと、東日本大震災の地震で建物そのものが歪んでしまったらしい。そのため引き戸がサッシごと歪み、開閉がスムーズにいかなくなったのだとか。おばあさんは推定で70歳くらいだろうか。出入りの度にこんなことをしているのでは、大変に違いなかった。

・驚くほど狭い店内

そして店内を見渡すと、驚くほど狭い。床面積にして5畳あるだろうか。そこにカウンターとささやかな厨房、座敷がある。カウンターは3席あるが、3人並んで座れるほどの広さはなく、座敷は腰を下ろす程度で畳の上に足を上げることができない。そんな強烈な狭さの店内には、表に積まれていたのと同じように雑貨がわんさか置いてある。なかには値札のついたものがあった。つまり販売品なのだ。

・壁のあちこちに品書き

一瞬、飲食店としてやる気がないのかな? と思ったのだが、そんな状況でも、壁には素うどんやカレーうどんなどのメニューがあちこちに貼られている。これはやる気があるな。店によっては、メニューがないなんてところもあるのだが、このおばあさんの方がはるかにやる気がある。

・想像した素うどんと違う

ここで私は看板にも掲げられている素うどんを注文した。1玉だと300円。せっかく訪ねたのに300円では忍びないので、2玉500円を注文した。私はお出汁にとろろこんぶが浮いた、シンプルなうどんが出てくるものとばかり思っていたのだが、それが全然違ったのである。丼の底にしょう油ダレが敷かれた、釜揚げうどんのようなものが出てきた。

・生タマゴはマスト

どちらかといえば、混ぜそばに近い感じだろうか。海苔・ネギ・ゴマがあしらわれており、これをしっかりと混ぜて食べる。うどんには特に特徴はなかったのだが、このしょう油ダレがおいしい。シンプルな味付けだが、うどんのウマさを引き出しているように感じられた。

だが、少し何か足りない……。ということで、追加で生タマゴ100円をいただき、タマゴを加えてさらに混ぜたところ、飛躍的においしさがアップしたのである。「これはタマゴとセットで提供した方が、お値段もアップできるのになあ」とひそかに感じた。

・見回してみると……

さて、食べ終わったところで、やはりこの建物そのものが気になった。狭い、狭すぎる。そして築年数もかなりのものだ。もしもまた震度4クラスの地震が来たら、結構心配な雰囲気である。空の丼を前にして、しばらく店内を見回していたら、私は衝撃的なことに気付いた!

・急すぎる階段

どうやらおばあさんは、この建物の2階にお住まいのようなのだが、2階に上がる階段がおそろしく急なのである。それは階段というよりも完全にハシゴ状態。勾配がきつすぎる。手に何かを持って、この階段を上ることはできないだろう。つかまるようにして上がらなければ、ひっくり返ってしまうかもしれない。ここで安心して生活できているのだろうか……。

・ビフォーアフターで何とかして欲しい

しかもトイレは1階にある。もし夜分に足を滑らしたりしたら、大変なことになる。う~ん……生活状況を想像すると不安になるばかりなのだが、おばあさんはかくしゃくとして明るく、ハキハキとしゃべられる。何とかしてあげたいけど、階段を付け替えることはできないなあ……。せめて入り口の引き戸を開き易くしてあげられたら。

また機会を見て、ご提案をさせていただきたいと思った。多分、引き戸のレースを少し開き易くなるはず。「ビフォーアフター」で匠が何とかしてあげられないかな~……。

・今回訪問した店舗の情報

店名: 素うどん 四國屋
住所:東京都豊島区池袋2-9-6
営業時間:11:30~翌2:00

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼お店の外にあるものは、値札がついているので、どうやら売り物のようだ
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▼素うどん 2玉500円
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▼混ぜそばのように、しっかり混ぜて食べる
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▼生タマゴ(100円)を入れるとおいしさ倍増!
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▼たくわんをサービスしてもらった。これもまたおいしかった!
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