東京のキング・オブ・下町「立石」といえば、安くてうまい居酒屋が多いことで有名。その道では「酒呑みの聖地」などと呼ばれているが、酒とつまみ以外にも見どころは多い。
てなわけで、いつ消えてしまってもおかしくない文化財クラスの町並みに、ちょっぴり危険なオヤジの香り。シラフの皆さんもドキドキで楽しめる、立石・路地裏探検記をお届けします。
・入場無料の昭和テーマパーク
南口商店街に一歩足を踏み入れれば、死んだはずのおばあちゃんとバッタリ出くわしそうなイッツア昭和ワールド。安くてうまい立ち食い寿司屋「S」、行列のできるモツ焼屋「U」など、有名店が軒を連ねているが、今回はあえて入らず、現存する日本最古のイトーヨーカドー「立石店」を横目で見ながら、深淵の北口へ移動する。
かすかに「お色気」漂う北口は、南以上の煤けっぷり。駅のホームからも見える「呑んべ横丁」は、東京に現存する飲み屋街でも筆頭クラスのうらぶれ度。一切手を加えることなく「三丁目の夕日」のロケに使えそう。
・近い将来、更地になってしまうかも?
野良猫をかきわけ路地裏を進むと、サザエさんもびっくりのスーパーレトロ病院。「マニラプラザ」という看板の付いた謎のビルに続いて、「わけあり」野菜や果物が激安な不思議青果店、その名も「わけありランド」が出現。
なんというか、中目黒や成城では絶対見かけないタイプのお店。どんなワケで安いのか、皆さんご自身の目で確認していただきたい。
さて、このように風情あふれる立石の町並みが、いま存亡の危機に瀕している。先ほどご紹介した「呑んべ横丁」をはじめとする駅前一帯を叩き潰し、どこにでもある駅ビルとタワーマンションに建て替える再開発計画が進行中なのだ。
北口では反対派がのぼりを立てて計画阻止をアピールしていたが、建物の老朽化や防災上の問題もあり、このままにしておくのもマズイらしい。もう百年ほど漬け置いて、マレーシアのマラッカみたいに、町全体を世界遺産にできたらいいのに。などと思いを馳せながら、町を後にしたのだった。
Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.
▼魔界の入口:京成立石駅
▼富士ビリヤード。ただの民家です。敷居高すぎ?
▼店名の書体が80年代ドット絵風の純喫茶
▼クァッと目を見開いた仲代達矢が出てきそうなお店
▼駅の真ん前にこんな店が普通にあります
▼映画のセットにしか見えないが、これも現実
▼二階は廃墟化が進んでいる
▼バイオレンスな一面も……
▼路地裏は猫だらけ
▼絶対、作動してなさそう
▼玄関は引き戸。趣のありすぎる病院
▼再開発反対運動が盛り上がっていた……
▼謎の「マニラプラザ」
▼人生いろいろ。わけありランド