世の中には、一つや二つ苦手な食べ物がある人の方が多いに違いない。何でも食べられるという人は立派だと思うし、尊敬もする。「人生が楽しいだろうな」とも思う。ただ、私(筆者)にはどうしても食べられないものがあるのだ……。それが『納豆』である。
・「納豆好き」同士の連帯感
この世に生を授かり36年間、今まで一度も口に入れたことがない、いわゆる食わず嫌い。それでも、概ね健康に生きてこれたし、何より「納豆が食べられなくて損した」と感じたことが一度もないのだ。
ところがどうであろう、「納豆が食べられない」「食べたことがない」と告白したときの周囲の反応は……。私からすれば厄介、ともすれば性格が豹変するほどおせっかいになるのだ。しかも、一瞬にして “納豆好き同盟” が成立し、抜群のコンビネーションで攻めてくるからタチが悪い。
・納豆以外の食べ物ならここまでならない
「からしとネギをたっぷり入れると最高」「混ぜ方にコツがある」とレシピの指南から始まり、「納豆がどれだけ健康的か」を懇々と教授され、最終的には多少の憐れみも含めながら「どれだけ納豆を愛しているか」を語りかけてくる……。まるで宗教の勧誘のようではないか。
これが『梅干し』だったらどうだろう。「ふーん」「おいしいけどね」くらいで済むハズだ。納豆だけなのだ……。納豆だけが、人を異常なほどのおせっかいに変貌させるのだ。そしてここ数年、納豆と同じくらい人をおせっかいにしてしまうものが現れた……。漫画『ONE PIECE』(ワンピース)である。
・ワンピースも納豆と全く同じ展開になる
ワンピース……。尾田栄一郎(おだ えいいちろう)先生作の、全世界累計発行部数3億4500万部を誇る超人気作品だ。だがしかし……。私にはどうしてもピンと来ない。世代じゃないという理由が第一で、少年期に巡り合ったのなら、おそらく夢中になっていただろう。
実際に知人から30巻ほど借りて読んだこともある。が、どうも入ってこない。もちろん、作品自体の問題ではないのだ。ただただ、心が汚れたおっさんにとって、ワンピースは眩しすぎてしっくり来なかったのである。ところがそれを周囲に告げると……。納豆と全く同じ展開になるのだ……!
・お願いだから……
「ナミのくだりが泣ける」「ウソップとの別れが最高」「どれだけ深い話か」と、そこは一瞬にして “ワンピースを語る会” の会場となり、最終的にはワンピースを読むよう説得が始まる。これが『北斗の拳』ならば、そこまではいかない。せいぜい、話が盛り上がる程度で済むのだ。
納豆とワンピース……。これほどまでに、人をおせっかいに変貌させるものはあるだろうか? きっと、とんでもない魅力があるのだろう。それはわかった! もうわかったから……。ちょっと、そっとしておいてはくれないだろうか?
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼納豆はきっと美味しいのだろう……
▼ワンピースも、超いいんだと思う……!
▼でも、放っておいてほしい