以前、東京は中野にある「坊主バー」をご紹介したが、日本仏教の総本山ともいうべき、京都にも坊主バーが存在した! もちろん、マスターは現役のご住職である!!
しっとりとした京都の夜、住職の言葉に耳を、素敵な思い出にグラスを傾けるなんて、メッチャ素敵やん! というわけでさっそく行ってきたぞ!
・普通のバーとして超いい雰囲気
店に入ると、土曜日の夜だったせいか、店は満席。住職目当ての人も多いのだろうが、普通のバーとしてもとてもいい雰囲気だ。少し待ってから着席すると、住職が物静かだが暖かな視線で「大変お待たせしてしまいました」と言ってくれた。おお、不思議と心が落ち着くぞ。
・1年間お酒の勉強をした本格派
マスターでありご住職であるのは、浄土真宗本願寺派・光恩寺の羽田高秀(はねだ・たかひで)さん。大阪平野で発祥した坊主バーに共感し、約1年間みっちりとバーテンの勉強をしたそうだ。お酒に関する腕も知識も相当なもので、特に国産ワインと地ビールにこだわっているという。
「国産ワインも地ビールも本当においしいものがたくさんありますから」と語るマスターからは、慈しみ深い、お酒への愛情が感じられた。好みを聞いた上で勧めてくれたお酒はどれもおいしく、「どうしてツボがわかったんですかー!」と言いたくなるほどの、ピンポイントセレクトであった。
・マスターの言葉が沁みわたる
聞けばマスターは、「お客様に自分の心を見られない」ことを心がけているという。それがマスターのみならず、結果的にお客様の心までも穏やかにするというのだ。むむ、ふ……深いぞ! その証拠としてオープン以来、泥酔したお客さんは2人ほどしかいないという。アルコールを扱う店としては異例の少なさや!
初対面であるにもかかわらず、すっかりと心を開いてしまった私(筆者)は、フルパワーでいくつもの悩みを打ち明けた。時にはズバリと、時には視点を変え「こういう見方もありますよ」と語りかけてくれるマスターの言葉は、どれも優しさに満ちあふれたものであった。ほんまマスターのお言葉が五臓六腑に沁みわたったで!
・まさに現代の寺
帰りがけ、「今日の話」という印刷物をいただいた。お客さんを見て、その時々で渡す内容を変えるという。これがまた目からウロコものなのだ! 私の話は「82番」だったから、少なくとも82種類以上のお言葉があることになる。マスター、最後までどんだけ心憎いんですか!
店を出るお客さんの背中に、深々と頭を下げる様子をみて、その都度、恐れ入った気持ちになってしまった。威厳はあるが堅苦しさはない、これが「現代の寺なんだな」と感じた京の夜であった。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 京都 坊主BAR
住所 京都府京都市中京区油小路通蛸薬師下る山田町526番地
時間 20:00~24:00
休日 日曜日と木曜日(振り替えもあり)
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
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▼北海道の地ビールだ。
▼富士山のふもとで作られた地ビール。「ビールの燻製」のようだった!
▼ワインは全て国内産だ。
▼醤油ラスク。しょっぱくなく甘い。後味がほのかに醤油の風味。
▼なんにでも合うという、山ぶどうクリームチーズ。
▼普通のバーだとしてもお洒落だ。
▼落ち着いた雰囲気のお座敷もある。
▼呼び鈴!
▼帰り際にもらえる、「今日のお話」だ。